睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も止まる病気で、高血圧・心臓病・脳卒中・糖尿病などの重い病気(合併症)のリスクと深く関わります。
- DNA領域rs1815739のTタイプを持つ人は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高い傾向があることが、QIMRバーグホーファー医学研究所の研究で分かりました。
- 日本人でTタイプを持つ人(TT型+TC型)の割合は73.4%で、世界平均の67.5%より高い割合です。
概要
【疾患の概要】 睡眠時無呼吸症は、寝ている間に呼吸が一時的に止まる病気です。 呼吸が止まった状態が数秒から数分続き、1時間に30回以上も起こる人もいます。
【症状と特徴】 呼吸が止まると血液中の酸素が減るため、深い眠りから浅い眠りに変わったり、夜中に目が覚めたりして、睡眠の質が悪くなります。 睡眠時無呼吸症には主に2つのタイプがあります。 よく見られる閉塞性睡眠時無呼吸症は、のどのやわらかい部分が落ち込んで空気の通り道(気道)がふさがることで起こります。 もう一方の中枢性睡眠時無呼吸症は、呼吸をコントロールする脳の一部(延髄)からの指令が不安定になることで起こります。 睡眠時無呼吸症の特徴は、呼吸が止まった後、大きないびきやむせ込みとともに呼吸が戻ることです。
【治療と注意点】 この病気では、朝の頭痛や昼間の眠気、集中力の低下、イライラ、うつ病などの症状が出ることがあります。 重くなると、高血圧や心臓病、糖尿病、脳卒中などにかかりやすくなる可能性があります。 診断には睡眠の検査が行われ、治療には生活習慣の見直しや、持続陽圧呼吸療法の機械(鼻から空気を送り込み、気道がふさがらないようにする装置)の使用があり、重い場合には手術も選択肢になります。
【遺伝的リスク】 QIMRバーグホーファー医学研究所のCamposらの研究で、睡眠時無呼吸症候群へのかかりやすさがrs1815739というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高い傾向があることが分かりました。
睡眠時無呼吸症候群とは何か
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も一時的に止まる病気です。呼吸が止まった状態は数秒〜数分間続き、1時間に30回以上起こる人もいます。血液中の酸素が減り、睡眠の質が大きく悪くなります。
睡眠時無呼吸症候群の2つのタイプとは
睡眠時無呼吸症候群は、原因によって2つのタイプに分けられます。それぞれの起こり方と特徴は以下のとおりです。
| 比較項目 | 閉塞性睡眠時無呼吸症 | 中枢性睡眠時無呼吸症 |
|---|---|---|
| 発生率 | 全体の約84%を占めます。 | 全体の約0.9%とまれ |
| 原因 | のどのやわらかい部分が落ち込み、気道がふさがります。 | 呼吸をコントロールする脳(延髄)からの指令が不安定 |
| 主な症状 | 大きないびき・むせ込み | 呼吸が止まります(いびきは少ないです)。 |
| なりやすくなる要因 | 肥満・年齢が上がること・飲酒 | 心不全・脳卒中にかかったことがあります。 |
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
- 夜の症状:呼吸が止まった後、大きないびきやむせ込みとともに呼吸が戻ります。
- 朝の症状:頭痛・口の渇き・疲れ
- 昼間の症状:強い眠気・集中力の低下・イライラ・うつ症状
睡眠時無呼吸症候群が引き起こす合併症(ほかの病気)のリスク
治療しないままの睡眠時無呼吸症候群は、以下のような重い健康リスクを高めます。
- 心臓と血管:高血圧・心臓病・不整脈になるリスクが2〜4倍に上がります。
- 代謝(体の中のエネルギー処理):2型糖尿病になるリスクが高まります。
- 脳の血管:脳卒中のリスクが約2倍に上がります。
- 事故リスク:昼間の眠気による交通事故のリスクが約2.5倍に増えます。
睡眠時無呼吸症候群の診断と治療法
診断には一晩かけて行う睡眠検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)が行われます。治療法は症状の重さに応じて以下の選択肢があります。
- 持続陽圧呼吸療法:空気を送り込む機械を使う標準的な治療(中くらい〜重い人向け)
- マウスピースを使う治療:下あごを前に出した状態で固定し、空気の通り道を確保します(軽い〜中くらいの人向け)。
- 生活習慣の見直し:体重を減らす・お酒をやめる・横向きに寝る習慣をつけます。
- 手術:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(のどの奥の余分な部分を取り除く手術)など(重い場合)
遺伝子と睡眠時無呼吸症候群の関係
DNA領域rs1815739と睡眠時無呼吸症候群の関係
QIMRバーグホーファー医学研究所のCamposらの研究(2023年、Sleep誌掲載)で、睡眠時無呼吸症候群へのかかりやすさがDNA領域rs1815739と関係していることが分かりました。
- rs1815739にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
- Tタイプを持つ遺伝子型(TT型・TC型)の人は睡眠時無呼吸症候群のリスクが高い傾向があります。
- このDNA領域はACTN3遺伝子に関係しています。
日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs1815739)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 23.5% | 18.5% |
| TC型 | 49.9% | 49.0% |
| CC型 | 26.4% | 32.3% |
日本人でTタイプを持つ人(TT型+TC型)の割合は73.4%で、世界平均の67.5%より高い割合です。一方、CC型の割合は日本人が26.4%で世界平均の32.3%より低く、日本人は睡眠時無呼吸症候群のリスクに関わるTタイプを持つ人の割合が高いという特徴があります。
検査の科学的な根拠
代表的なDNA領域:睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群 に最も強く関係するDNA領域は、rs1815739です。 日本でのそれぞれの遺伝子型の割合は下記のとおりです。
- TT
23.5 % - TC
49.9 % - CC
26.4 %
検査の根拠
QIMRバーグホーファー医学研究所のCamposらの研究で、睡眠時無呼吸症候群へのかかりやすさが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs1815739という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、睡眠時無呼吸症候群のリスクが高い傾向があることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
- ■
関連遺伝子
| 関連遺伝子 | ACTN3 |
|---|
よくある質問
Q1. 睡眠時無呼吸症候群とは何ですか?
睡眠時無呼吸症候群とは、眠っている間に呼吸が何度も一時的に止まる病気です。呼吸が止まった状態は数秒〜数分続き、1時間に30回以上起こる人もいます。閉塞性と中枢性の2つのタイプがあり、治療しないままだと高血圧・心臓病・糖尿病・脳卒中のリスクが高まります。
Q2. 睡眠時無呼吸症候群は遺伝子と関係していますか?
はい。QIMRバーグホーファー医学研究所のCamposらの研究(2023年、Sleep誌)で、DNA領域rs1815739が睡眠時無呼吸症候群へのかかりやすさと関係していることが分かっています。rs1815739にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、Tタイプを持つ遺伝子型の人はリスクが高い傾向があります。
Q3. 睡眠時無呼吸症候群に関係する遺伝子型(rs1815739)の日本人での割合は?
日本人でのrs1815739の遺伝子型の割合はTT型23.5%、TC型49.9%、CC型26.4%です。世界全体ではTT型18.5%、TC型49.0%、CC型32.3%で、日本人はTタイプを持つ人の割合(73.4%)が世界平均(67.5%)より高いという特徴があります。
Q4. 睡眠時無呼吸症候群にはどのような治療法がありますか?
最も広く使われている標準的な治療は持続陽圧呼吸療法(鼻から空気を送り込み、気道がふさがらないようにする治療)です。そのほか、マウスピースを使う治療、生活習慣の見直し(体重を減らす・お酒をやめる・横向きに寝る)、重い場合は手術(口蓋垂軟口蓋咽頭形成術など)が選択肢になります。診断には一晩かけて行う睡眠検査(終夜睡眠ポリグラフ検査)が行われます。
参考文献
- 参考リンク1 : 2023 Mar., Adrian I Campos, Sleep