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睡眠時間の長さ

睡眠時間の長さのイメージ画像
  • 睡眠時間の長さは遺伝子PAX8の近くにあるDNA領域rs62158211と深く関係しており、GG型の人は睡眠時間が短い傾向があります。
  • 日本人のGG型保有率は79.9%で、世界平均の64.9%と比べて約1.2倍高い割合です。
  • PAX8遺伝子がうまくはたらかないと甲状腺ホルモンの出すぎを引き起こし、交感神経を活発にすることで睡眠時間を短くします。

概要

【概要】 睡眠時間の長さは遺伝子で決まるのでしょうか? ちょうどよい睡眠時間をとることは、健康に暮らすためにとても大切です。最近の研究で、「PAX8」という遺伝子の近くにある部分が、睡眠時間と深く関係していることがわかりました。 この部分は、眠りたくても眠れない状態に影響することがあり、タイプによっては睡眠時間を短くする可能性があります。 睡眠時間が短いと、心の病気や高血圧、糖尿病などになりやすくなるため、十分な睡眠をとることが大切です。 質の良い睡眠には、体への良い効果だけでなく、ストレスをやわらげたり、うつ病を防いだりする心への効果もあります。 遺伝子検査で自分の遺伝子のタイプを知ることで、睡眠に関する遺伝子の情報を理解し、より健康的な生活に役立てられるかもしれません。

【特徴】 イギリスで行われている、大勢の人の健康データと遺伝子を集めた研究事業(バイオバンク)から、「PAX8」という遺伝子の近くにある特定のDNA領域が、睡眠時間の短さに関係していることがわかりました。 この部分には「rs62158211」というDNA領域があり、「GG」型、「GT」型、「TT」型の3つの遺伝子型があります。 日本人では、「GG」型が77.4%で最も多く、「GT」型が21.2%で次に多く、「TT」型が1.4%で最も少なくなっています。そして「GG」型の人は睡眠時間が短い傾向があり、「GT」型の人はやや睡眠時間が短い傾向があることも報告されています。

【科学的根拠】 「PAX8」という遺伝子は、人間が持つ24種類の染色体のうち、2番染色体にあります。この遺伝子は甲状腺(のどにあるホルモンを出す器官)に特に多くあり、甲状腺が作られることや、そのはたらきを保つことに関わる情報を持っています(参考リンク3)。 甲状腺は甲状腺ホルモンを出す役割を持っていますが、「PAX8」がうまくはたらかないと、甲状腺ホルモンが出すぎてしまうことがあります。 甲状腺ホルモンが出すぎると、交感神経(体を活動モードにする神経)が活発になることが知られています。その結果、心臓の拍動が速くなって体が興奮した状態になり、寝つきにくくなって睡眠時間が短くなる傾向があります。 このように、「PAX8」遺伝子と睡眠時間の長さには関係があると考えられています。そのため、「rs62158211」は、睡眠時間の長さに関わるDNA領域のひとつとして注目されています。

睡眠時間の長さとは何か

睡眠時間の長さとは、一晩に眠る時間の合計のことです。遺伝子PAX8の近くにあるDNA領域rs62158211が、その長さに影響することが研究でわかっています。十分な睡眠時間をとることは、体と心の健康を保つためにとても大切です。

睡眠時間が健康に与える影響とは

睡眠時間が多すぎたり少なすぎたりすると、体と心の両方の健康に悪い影響が出ます。具体的な影響を以下にまとめます。

睡眠不足による身体への影響

  • 高血圧:睡眠時間が6時間未満だと、高血圧になる危険が約1.5倍に高まります。
  • 糖尿病:睡眠不足が続くと、血糖値を下げるホルモン(インスリン)が効きにくくなり、2型糖尿病になりやすくなります。
  • 体を守るはたらきの低下:睡眠不足は免疫細胞(体を守る細胞)のはたらきを弱め、感染症にかかりやすくします。
  • 肥満:睡眠不足は食欲を調整するホルモン(グレリン・レプチン)のバランスをくずし、食べすぎにつながります。

心と頭のはたらきへの影響

  • 心の病気:うつ病・不安障害(強い不安が続く病気)になりやすくなります。
  • 集中力や記憶力の低下:集中力・判断力・記憶力が落ち、ふだんの生活に支障が出ます。
  • ストレスに弱くなる:ストレスホルモン(コルチゾール)の出かたが乱れます。

十分な睡眠と睡眠不足の比較

比較項目 十分な睡眠(7〜9時間) 睡眠不足(6時間未満)
血圧 正常な範囲を保つ 高血圧になる危険が約1.5倍に
代謝機能(栄養をエネルギーに変えるはたらき) インスリン(血糖値を下げるホルモン)が正常に効きます。 糖尿病になりやすくなります。
精神状態 ストレスをやわらげ、うつ病を防ぐ効果 うつ病・不安障害になりやすくなります。
免疫機能(体を守るはたらき) 免疫細胞(体を守る細胞)が正常にはたらきます。 感染症にかかりやすくなります。

遺伝子と睡眠時間の長さの関係

DNA領域rs62158211と睡眠時間の関係

イギリスのバイオバンク事業(大勢の人の健康データと遺伝子を集めた研究)とマサチューセッツ総合病院のLaneらの研究で、遺伝子PAX8の近くにあるDNA領域rs62158211が、睡眠時間の長さと関係していることがわかりました。

  • rs62158211にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型があります。
  • GG型の人は睡眠時間が短い傾向があります。
  • GT型の人はやや睡眠時間が短い傾向があります。
  • このDNA領域はPAX8遺伝子(2番染色体)に関係しています。

日本人と世界の遺伝子型の割合の比較(rs62158211)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
GG型(睡眠時間が短い傾向) 79.9% 64.9%
GT型(やや睡眠時間が短い傾向) 18.9% 31.3%
TT型 1.1% 3.7%

日本人のGG型保有率は79.9%で、世界平均の64.9%と比べて約1.2倍高い割合です。日本人はGG型の割合が世界平均より高く、遺伝子の影響で睡眠時間が短くなりやすい人が多い集団だと考えられています。

PAX8遺伝子はなぜ睡眠時間に影響するのか

PAX8遺伝子は2番染色体にあり、甲状腺が作られることや、そのはたらきを保つことに関わる情報を持っています。この遺伝子がうまくはたらかない場合、次のような流れで睡眠時間に影響します。

  1. 甲状腺ホルモンが出すぎる:PAX8がうまくはたらかないと、甲状腺ホルモンが出すぎてしまいます。
  2. 交感神経が活発になる:多すぎる甲状腺ホルモンが交感神経を刺激します。
  3. 心臓の拍動が速くなり、興奮した状態に:交感神経が活発になって心臓の拍動が速くなり、体が興奮した状態になります。
  4. 寝つきにくくなり、睡眠時間が短くなる:興奮した状態のため寝つきにくくなり、その結果、睡眠時間が短くなります。

DNA領域rs62158211で、日本でそれぞれの遺伝子タイプを持つ人の割合

  • GG
    79.9%
  • GT
    18.9%
  • TT
    1.1%

DNA領域rs62158211で、世界でそれぞれの遺伝子タイプを持つ人の割合

  • GG
    64.9%
  • GT
    31.3%
  • TT
    3.7%

検査の科学的な根拠

代表的なDNA領域:睡眠時間の長さ

睡眠時間の長さに最も強く影響するDNA領域は、rs62158211です。 日本でのこの部分の遺伝子タイプの割合は下のとおりです。

  • GG
    79.9 %
  • GT
    18.9 %
  • TT
    1.1 %

検査の根拠

マサチューセッツ総合病院のLaneらの研究で、睡眠時間の長さが遺伝子と関係していることがわかりました。人間のDNAには、rs62158211という部分があり、そこにはGとTの2種類のタイプがあります。Gタイプを持つ人は、睡眠時間が長い傾向にあることがわかりました。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAの模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 LINC02966

よくある質問

Q1. 睡眠時間の長さとは何ですか?

睡眠時間の長さとは、一晩に眠る時間の合計のことです。ちょうどよい睡眠時間には個人差がありますが、一般的に大人では7〜9時間がすすめられています。睡眠時間が6時間未満だと、高血圧・糖尿病・心の病気などになりやすくなります。質の良い睡眠には、ストレスをやわらげたり、うつ病を防いだりする心への効果もあります。

Q2. 睡眠時間の長さは遺伝子と関係していますか?

はい。イギリスのバイオバンク事業(大勢の人の健康データと遺伝子を集めた研究)とマサチューセッツ総合病院のLaneらの研究で、遺伝子PAX8の近くにあるDNA領域rs62158211が、睡眠時間の長さと関係していることがわかっています。rs62158211にはGG・GT・TTの3つの遺伝子型があり、GG型の人は睡眠時間が短い傾向があります。

Q3. 睡眠時間の長さに関わる遺伝子型(rs62158211)は、日本人ではどのような割合ですか?

日本人でのrs62158211の遺伝子型の割合はGG型79.9%、GT型18.9%、TT型1.1%です。世界全体ではGG型64.9%、GT型31.3%、TT型3.7%で、日本人はGG型の割合が世界平均より約1.2倍高いという特徴があります。

Q4. PAX8遺伝子はなぜ睡眠時間に影響するのですか?

PAX8遺伝子は2番染色体にあり、甲状腺が作られることやそのはたらきを保つことに関わっています。PAX8がうまくはたらかないと、甲状腺ホルモンが出すぎてしまいます。甲状腺ホルモンが多すぎると交感神経(体を活動モードにする神経)が活発になり、心臓の拍動が速くなって体が興奮した状態になります。そのため寝つきにくくなり、睡眠時間が短くなります。

参考文献