球状赤血球症
概要
球状赤血球増加症(Spherocytosis)は、遺伝的な血液疾患で、赤血球の形と機能に大きな影響を与えます。通常の赤血球は中央がくぼんでおり、端が盛り上がった二重凹円盤状です。
これにより血管内をスムーズに流れることができます。しかし、球状赤血球増加症では、赤血球が球形に変形し、本来の形を失っています。
この疾患は、赤血球膜にある特定のタンパク質(バンド3タンパク質やタンパク質4.2)の欠陥が原因で起こります。これらのタンパク質は赤血球の形を保ち、柔軟性を与える役割を果たしています。
欠陥があると、赤血球は脆くなり、脾臓などで早く壊れてしまい、溶血性貧血を引き起こします。
球状の赤血球は血管内で変形しづらく、細い毛細血管を通るのが難しくなります。これが組織の酸素不足を招く一因です。また、これらの赤血球は凝集しやすく、血管を詰まらせ、臓器の機能に影響を与える可能性があります。
症状には、貧血、黄疸、脾臓の腫れなどがあります。軽度の場合は栄養補助や薬物療法でケアできますが、重度の場合は脾臓の摘出手術が必要になることもあります。
要するに、球状赤血球増加症は赤血球の形と機能に影響を及ぼす遺伝的疾患で、溶血性貧血を引き起こします。
治療法は限られていますが、薬物療法や手術により、多くの患者が症状をコントロールし、生活の質を向上させることができます。
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究により、球状赤血球症の罹患リスクがrs113021938というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領にはTT,TG,GGの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、球状赤血球症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs113021938において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT98.09%
- TG1.90%
- GG0.01%
遺伝子領域rs113021938において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- TT98.38%
- TG1.61%
- GG0.01%
遺伝子領域rs45479691において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG100.00%
- GA0.00%
- AA0.00%
遺伝子領域rs45479691において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG90.69%
- GA9.08%
- AA0.23%
遺伝子領域rs77542162において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA100.00%
- AG0.00%
- GG0.00%
遺伝子領域rs77542162において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA96.88%
- AG3.10%
- GG0.02%
遺伝子領域rs964184において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG10.38%
- GC43.67%
- CC45.95%
遺伝子領域rs964184において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG2.20%
- GC25.27%
- CC72.53%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:球状赤血球症
体表的なDNA領域:球状赤血球症
球状赤血球症 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs113021938です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
TT
98.1% -
TG
1.9% -
GG
0.0%
他に、球状赤血球症に関わる遺伝子領域はrs45479691があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
99.9% -
GA
0.0% -
AA
0.0%
他に、球状赤血球症に関わる遺伝子領域はrs77542162があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
AA
99.9% -
AG
0.0% -
GG
0.0%
他に、球状赤血球症に関わる遺伝子領域はrs964184があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
10.4% -
GC
43.7% -
CC
45.9%
検査の根拠
ケンブリッジ大学のVuckovicらの研究により、球状赤血球症の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs113021938という領域が存在し、その領域の遺伝子にはTとCの2種類の変異があります。Tタイプの変異を持つ人は、球状赤血球症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | LINC02571 |
|---|---|
| 関連遺伝子 | ALAS2 |
| 関連遺伝子 | ABCA6 |
| 関連遺伝子 | ZPR1 |
参考文献
- 参考リンク1 : 2020 Sep., Dragana Vuckovic, Cell
- 参考リンク2 : 2016 Nov., William J Astle, Cell