seeDNAロゴアイコン 感染症の重症化リスク

概要

1. 概要

多くの感染症が存在する中で、そのかかりやすさは人によって異なります。一度もかかったことがない人もいれば、毎年かかってしまう人もいます。そこで、自分が感染症にかかりやすいタイプなのか気になる人が多いのではないでしょうか。
感染症は病原体が体内に侵入し、様々な症状を引き起こす病気の総称であり、風邪や肺炎、B型肝炎、咽頭炎、はしかなどが含まれます。感染症は世界で2番目に多い死因でもあります
。驚くべきことに、かかりやすさは遺伝的要因(体質)が関与していると言われています(参考リンク1)。
そこで、あなたも自分が感染症にかかりやすい体質かどうかを遺伝子検査で一度調べてみませんか?

2. 理論的根拠

体内に侵入したウイルスや細菌などの情報は、白血球を介して免疫の実行部隊である「T細胞」や「B細胞」などに伝えられます。
この情報伝達に重要な役割を担う遺伝子の一つが13番染色体に存在する「KLHL1 (Kelch Like Family Member 1)」という遺伝子で、この遺伝子に属する様々な遺伝子タイプの一つが「rs9542155」と呼ばれるDNA領域です。
このDNA領域は、20万人以上のヨーロッパ系の人を対象に遺伝子多型を調べた解析で、「感染症」に伴う扁桃炎に関連して多型が認められるDNA領域として発見されました。(参考リンク2)
DNA領域「rs9542155」には、「TT型」、「TC型」、「CC型」の3つの遺伝子型です。日本人の遺伝子型は、「TT型」が32.5%、「TC型」が49.0%、「CC型」が18.5%となっています(参考リンク3)。
「TC型」や「CC型」では、白血球による抗原提示機能が抑制型になるため、病原体に対する免疫応答が弱まります。
また、日本人で最も少ない「CC型」のタイプでは、免疫応答の抑制が強くなるため、「感染症」にかかりやすく、重症化や他の病気を併発しやすくなることが分かっています(参考リンク2、3)。

3. 作用機序

白血球は、体内に侵入した病原体を取り込み、免疫の実行部隊である「T細胞」や「B細胞」に情報を伝える役割を担っています。その情報伝達には、「HLA(ヒト白血球抗原)」が重要な役割を果たしています。
「HLA」は細胞表面に発現し、病原体を認識するために必要な情報を提供します。そしてT細胞などが「HLA」からの情報を読み取ることで病原体を認識し、免疫反応が起こります(参考リンク4)。
KLHL1は細胞骨格の形成に重要なタンパク質であり、白血球の抗原提示機能にも関係しているタンパク質です。
DNA領域「rs9542155」が「TC型」や「CC型」のタイプになると、HLA抗原の構造が抑制型になり(参考リンク2、5)、免疫細胞の活性化が妨げられるため、感染症にかかりやすくなります。
そのため、DNA領域「rs9542155」が「TC型」や「CC型」のタイプの人は、栄養バランスのとれた食事や十分な睡眠などで免疫機能を高めておくことが大事になります。

遺伝子領域rs9542155において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

28.99% 49.70% 21.30%
  • TT28.99%
  • TC49.70%
  • CC21.30%

遺伝子領域rs9542155において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

11.00% 44.33% 44.67%
  • TT11.00%
  • TC44.33%
  • CC44.67%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:感染症の重症化リスク

体表的なDNA領域:感染症の重症化リスク

感染症の重症化リスク に最も強く影響する遺伝子領域は、rs9542155です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • TT

    29.0
    %
  • TC

    49.7
    %
  • CC

    21.3
    %

検査の根拠

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 KLHL1

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 KLHL1
  • 参考リンク : 2016 Jul、Joseph K Pickrellと研究グループがNat Genet に発表したDetection and interpretation of shared genetic influences on 42 human traitsという研究によると感染症の重症化リスク に関連するrs9542155の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 KLHL1
  • 参考リンク : 2017 Sep、Chao Tianと研究グループがNat Commun に発表したGenome-wide association and HLA region fine-mapping studies identify susceptibility loci for multiple common infectionsという研究によると感染症の重症化リスク に関連するrs9542155の関連性が認められました。