血栓
概要
1. 概要
「将来、身体に麻痺が出て介護が必要になるのは怖いな。嫌だな。」と考えたことはありませんか?近年、「脳血管疾患」は、日本人が要介護になる理由の第2位で、死因では第3位に上がっています。
脳卒中は脳血管疾患の一種で、血栓症とも呼ばれます。血栓症は血管内に血の塊が詰まってしまい、血の流れを止めてしまう危険な病気です。
多くの場合、前触れもなく発症し、後遺症として麻痺や言語障害、運動障害などが残り、重症な場合は死に至ることもあります。血栓症は再発のリスクが高い病気です。
血栓症の原因は過食や運動不足などの生活習慣によるものが多いですが、驚くべきことに、血栓症の発生には遺伝的要因(体質)が関与していると言われています(参考リンク1)。
血栓症の発生について自分にリスクがあるのかどうか、遺伝子検査で調べてみませんか?
2. 理論的根拠
多くの脳卒中や血栓症の要因の一つは、血小板の数が多いことが挙げられます。血小板は血液凝固のために重要な役割を果たしますが、過剰な凝固が起こると、血栓ができて血管が詰まることがあります(参考リンク2)。
身体内では、血小板の数が過剰にならないように調整が行われており、その機能を担う遺伝子の一つが「TMEM131L」です。
「TMEM131L」は4番染色体に存在し、これに属するDNA領域「rs4558856」に血栓症の発生に関連して変異があることが発見されました。「rs4558856」には、「CC型」「CG型」「GG型」の3つの遺伝子型があります。
日本人の場合、遺伝子型の割合は、「CC型」が42.13%、「CG型」が45.56%、「GG型」が12.32%です(参考リンク3)。
そのうち「CG型」や「CC型」では血小板の数が増えて血栓症を引き起こしやすいことが分かっています。特に、日本人で最も持っている「CC型」「CG型」では心筋梗塞や脳卒中のリスクがより高くなる傾向が示唆されています(参考リンク4,5)。
3. 作用機序
人体には、血小板の過剰増加を防ぐための制御機能が存在します。血小板は、血液中の刺激に反応してアポトーシス(細胞死)を引き起こすことで数が減少します。
このアポトーシスは、量が厳密に制御されており、その機能は遺伝子「TMEM131L」によって担われています。
「TMEM131L」というDNA領域が「CC型」である場合、遺伝子「TMEM131L」によるアポトーシス抑制作用が強まり、血小板数が増加し、血栓の発生リスクが高まることが報告されています(参考リンク6)。
また血栓症のリスクは、過食や運動不足などの生活習慣によっても引き起こされる可能性があります。
特に、脂肪分の多い食事はリスクを高めると考えられています。遺伝子検査を活用して、生活習慣を見直すことで、血栓症の予防にもつなげられます。
遺伝子領域rs4558856において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC42.13%
- CG45.56%
- GG12.32%
遺伝子領域rs4558856において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC35.59%
- CG48.13%
- GG16.27%
遺伝子領域rs7279911において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG56.97%
- GA37.01%
- AA6.01%
遺伝子領域rs7279911において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- GG50.34%
- GA41.22%
- AA8.44%
遺伝子領域rs77542162において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA100.00%
- AG0.00%
- GG0.00%
遺伝子領域rs77542162において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA96.88%
- AG3.10%
- GG0.02%
遺伝子領域rs738409において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC33.28%
- CG48.82%
- GG17.90%
遺伝子領域rs738409において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- CC61.67%
- CG33.72%
- GG4.61%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:血栓
体表的なDNA領域:血栓
血栓 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs4558856です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
-
CC
42.1% -
CG
45.6% -
GG
12.3%
他に、血栓に関わる遺伝子領域はrs7279911があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
GG
57.0% -
GA
37.0% -
AA
6.0%
他に、血栓に関わる遺伝子領域はrs77542162があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
AA
100.0% -
AG
0.0% -
GG
0.0%
他に、血栓に関わる遺伝子領域はrs738409があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです
-
CC
33.3% -
CG
48.8% -
GG
17.9%
検査の根拠
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | TMEM131L |
|---|---|
| 関連遺伝子 | LINC02920 |
| 関連遺伝子 | ABCA6 |
| 関連遺伝子 | PNPLA3 |
参考文献
-
関連遺伝子 TMEM131L
- 参考リンク : 2020 Sep、Dragana Vuckovicと研究グループがCell に発表したThe Polygenic and Monogenic Basis of Blood Traits and Diseasesという研究によると血栓 に関連するrs4558856の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 LINC02920
- 参考リンク : 2020 Sep、Dragana Vuckovicと研究グループがCell に発表したThe Polygenic and Monogenic Basis of Blood Traits and Diseasesという研究によると血栓 に関連するrs7279911の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 ABCA6
- 参考リンク : 2016 Nov、William J Astleと研究グループがCell に発表したThe Allelic Landscape of Human Blood Cell Trait Variation and Links to Common Complex Diseaseという研究によると血栓 に関連するrs77542162の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 PNPLA3
- 参考リンク : 2020 Sep、Ming-Huei Chenと研究グループがCell に発表したTrans-ethnic and Ancestry-Specific Blood-Cell Genetics in 746,667 Individuals from 5 Global Populationsという研究によると血栓 に関連するrs738409の関連性が認められました。
-
関連遺伝子 ABCA6
- 参考リンク : 2016 Nov、William J Astleと研究グループがCell に発表したThe Allelic Landscape of Human Blood Cell Trait Variation and Links to Common Complex Diseaseという研究によると血栓 に関連するrs77542162の関連性が認められました。
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関連遺伝子 PNPLA3
- 参考リンク : 2020 Sep、Dragana Vuckovicと研究グループがCell に発表したThe Polygenic and Monogenic Basis of Blood Traits and Diseasesという研究によると血栓 に関連するrs738409の関連性が認められました。