トリグリセリド(中性脂肪)の値
- トリグリセリド(中性脂肪)の正常値は150mg/dL以下で、高いと動脈硬化や心臓・血管の病気になりやすくなります。
- DNA領域rs1260326のTタイプを持つ人は中性脂肪が高くなりやすいことが研究で分かっています。
- ちょうどよい食事の管理・有酸素運動・体重のコントロールで中性脂肪の値を良くすることができます。
概要
【疾患の概要】 トリグリセライド(中性脂肪)は、食事でとったエネルギーを体の中にためておく役割があります。しかし、量が多くなりすぎると体に悪い影響が出ます。
【症状と特徴】 中性脂肪の正常値は150 mg/dL以下とされていて、これを超えると高中性脂肪血症(血液中の中性脂肪が多すぎる状態)と診断されることがあります。 中性脂肪の数値が高いと、狭心症・心筋梗塞・弁膜症・不整脈などの心臓や血管の病気、動脈硬化(血管がかたく狭くなること)、糖尿病などになりやすくなります。
【治療と注意点】 中性脂肪の数値が高くなる原因には、カロリーのとりすぎ、糖分や脂肪分が多い食事、お酒の飲みすぎ、運動不足、遺伝子の影響などがあります。 そのため、中性脂肪を正常な範囲に保つには、健康的な食事、定期的な運動、体重の管理、お酒をほどほどにすることなどが大切です。
【遺伝的リスク】 華中科学技術大学のZhouらの研究で、トリグリセリド(中性脂肪)の多さがrs1260326というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Tを持つ遺伝子型の人は、トリグリセリドが高くなりやすいことが分かりました。
トリグリセリド(中性脂肪)とは何か
トリグリセリド(中性脂肪)は、食事でとったエネルギーを体の中にためておく役割を持つ脂質です。正常値は150mg/dL以下とされ、これを超えると高中性脂肪血症と診断されます(1)。
中性脂肪が高い原因とは?
中性脂肪が基準値を超える原因は、次の5つに分けられます。
- カロリーのとりすぎ:1日に使うカロリーより多く食べること
- 糖分・脂肪分の多い食事:お菓子・揚げ物・甘い飲み物をいつもとること
- お酒の飲みすぎ:肝臓で中性脂肪が作られやすくなります。
- 運動不足:脂肪を燃やす機会が減ります。
- 遺伝子の影響:DNA領域rs1260326のTタイプを持っています。
中性脂肪が高いとどうなるのか?
中性脂肪が150mg/dLを超える状態が続くと、次の病気になりやすくなります。
- 心臓・血管の病気(狭心症・心筋梗塞・弁膜症・不整脈)
- 動脈硬化(血管の壁に脂のかたまりがたまる)
- 糖尿病(血糖を下げるホルモンのインスリンが効きにくくなる)
- 急性膵炎(500mg/dL以上でなりやすくなる)
中性脂肪の基準値と分類
| 分類 | 中性脂肪値(mg/dL) | 病気へのなりやすさ |
|---|---|---|
| 正常 | 150未満 | 低い |
| 境界域高値 | 150〜199 | 要注意 |
| 高値 | 200〜499 | 治療を考えます。 |
| 非常に高値 | 500以上 | 膵炎(すい臓の炎症)になりやすいです。 |
中性脂肪を下げる方法
中性脂肪を正常な範囲に保つには、次の4つが大切です。
- 食事の管理:糖質・脂質をひかえ、青魚(魚の油に多い体によい脂肪)を進んで食べます。
- 有酸素運動:週150分以上のウォーキング・ジョギング・水泳
- 体重の管理:体格指数(体重と身長から計算する肥満の目安)25未満を保つのが目標です。
- お酒をひかえる:1日あたり日本酒1合(純アルコール20g)までです。
遺伝子とトリグリセリド(中性脂肪)の関係
DNA領域rs1260326と中性脂肪レベルの関係
華中科学技術大学のZhouらの研究(1)で、DNA領域rs1260326がトリグリセリド(中性脂肪)の値と関係していることが分かりました。
- rs1260326にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Tタイプを持つ遺伝子型(TT・TC)の人は、中性脂肪が高くなりやすいです。
日本人における遺伝子型分布(rs1260326)
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 |
|---|---|---|
| TT型 | 33.8% | 16.7% |
| TC型 | 48.6% | 48.3% |
| CC型 | 17.4% | 34.8% |
日本人はTT型の割合が世界平均(16.7%)の約2倍(33.8%)で、遺伝子の影響で中性脂肪が高くなりやすい傾向があります。
検査の根拠となる研究
代表的なDNA領域:トリグリセリド(中性脂肪)の値
トリグリセリド(中性脂肪)の値に最も強く影響するDNA領域は、rs1260326です。 日本での遺伝子型の割合は下のとおりです。
- TT
33.8 % - TC
48.6 % - CC
17.4 %
ほかに、トリグリセリド(中性脂肪)の値に関わるDNA領域として、rs964184があります。 日本での遺伝子型の割合は下のとおりです。
- GG
10.3 % - GC
43.6 % - CC
45.9 %
ほかに、トリグリセリド(中性脂肪)の値に関わるDNA領域として、rs306890があります。 日本での遺伝子型の割合は下のとおりです。
- TT
58.3 % - TC
36.0 % - CC
5.5 %
検査の根拠
華中科学技術大学のZhouらの研究で、トリグリセリド(中性脂肪)の多さが遺伝子と関係していることが分かりました。人間のDNAには、rs1260326という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Tタイプを持つ人は、トリグリセリドが高くなりやすいことが分かりました(1)。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | GCKR |
|---|---|
| 関連遺伝子 | ZPR1 |
| 関連遺伝子 | SPRY3 |
よくある質問
Q1. トリグリセリド(中性脂肪)とは何ですか?
トリグリセリド(中性脂肪)は、食事でとったエネルギーを体の中にためておくための脂質です。正常値は150mg/dL以下で、これを超えると高中性脂肪血症と診断されます。たまりすぎると、動脈硬化や心臓・血管の病気になりやすくなります(1)。
Q2. 中性脂肪が高い原因は何ですか?
主な原因はカロリーのとりすぎ、糖分・脂肪分の多い食事、お酒の飲みすぎ、運動不足、遺伝子の影響の5つです。DNA領域rs1260326のTタイプを持つ人は、遺伝子の影響で中性脂肪が高くなりやすい傾向があります(1)。
Q3. 中性脂肪を下げる方法は?
食事の管理(糖質・脂質をひかえる、青魚を食べる)、週150分以上の有酸素運動、ちょうどよい体重を保つこと、お酒の量をひかえることが効果的です。
Q4. 遺伝子検査で中性脂肪が高くなりやすいかは分かりますか?
DNA領域rs1260326の遺伝子型を調べることで、中性脂肪が高くなりやすい体質かどうかが分かります。Tタイプを持つ遺伝子型の人は中性脂肪が高くなりやすいことが、研究で分かっています(1)。
参考文献
- 参考リンク1 : 2013 Dec., Li Zhou, PLoS One
- 参考リンク2 : 2017 May., Lorraine Southam, Nat Commun
- 参考リンク3 : 2018 Mar., Thomas J Hoffmann, Nat Genet