トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症
概要
TPI欠損症は、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)という酵素の欠損または機能不全によって引き起こされる遺伝性代謝障害です。
TPIは、糖代謝の過程で重要な役割を果たす酵素で、特に解糖系という糖をエネルギーに変える過程に関与しています。この酵素が正常に機能することで、トリオースリン酸という中間体がエネルギー源に変換されます。
TPI欠損症は常染色体劣性遺伝形式であり、両親からそれぞれ一つずつ異常な遺伝子を受け継ぐことで発症します。
この疾患は非常に稀で、主に運動機能や神経機能に悪影響を及ぼします。運動失調、筋肉のけいれん、知的障害、溶血性貧血、心筋症などの症状を示します。
この疾患の診断は、血液検査や尿検査によってTPI酵素の活性を測定することで行われます。さらに、遺伝子検査によってTPI遺伝子の変異を確認を行います。
治療は対症療法が中心で、神経系の症状を緩和させ、患者の生活の質を向上させることを目的としています。リハビリテーションや理学療法、作業療法などが行われますが、根本的な治療法は現在のところ確立されていません。
病気の進行を遅らせるための研究が続けられており、新しい治療法の開発が期待されています。
アイスランド心臓協会のEmilssonらの研究により、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症の罹患リスクがrs2071058というDNA領域と関連していることが明らかになりました。
このDNA領域にはAA、AT、TTの3つの遺伝子型があり、Aを持つ遺伝子型の人は、TPI欠損症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
遺伝子領域rs2071058において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA31.10%
- AT49.33%
- TT19.56%
遺伝子領域rs2071058において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合
- AA39.15%
- AT46.84%
- TT14.01%
検査の理論的根拠
体表的なDNA領域:トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症
体表的なDNA領域:トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症
トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs2071058です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。
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AA
31.1% -
AT
49.3% -
TT
19.6%
検査の根拠
アイスランド心臓協会のEmilssonらの研究により、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症の罹患リスクが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs2071058という領域が存在し、その領域の遺伝子にはAとTの2種類の変異があります。Aタイプの変異を持つ人は、TPI欠損症のリスクが高い傾向にあることが分かりました。
今回調査したDNA領域
細胞中に存在するDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | CDCA3 |
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参考文献
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関連遺伝子 CDCA3
- 参考リンク : 2018 Aug、Valur Emilssonと研究グループがScience に発表したCo-regulatory networks of human serum proteins link genetics to diseaseという研究によるとトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)欠損症 に関連するrs2071058の関連性が認められました。