seeDNAロゴアイコン 子宮筋腫

概要

1. 概要

「子宮筋腫」は、女性の子宮壁(筋層)にできる良性腫瘍で、30歳以上の女性の20〜30%に見られる疾患です。がんに変化することはほとんどなく、大半の人は無症状です。
しかし、約25%の人には過多月経などの症状が表れ、筋腫が大きい場合は不妊の原因や流産のリスクが高くなると指摘されています。(参考リンク1)
子宮筋腫は、女性ホルモン(エストロゲン)の作用によって増大することがわかっていますが、発生の詳しいメカニズムは解明されていません
。一方、近年の研究から遺伝子と「子宮筋腫」に一定の相関関係があることが判明しており、遺伝子の働きにも注目が集まっています。
遺伝子検査を通じて、自身の遺伝子タイプを知ることは、子宮筋腫の予防や早期発見に役立つことが期待されます。

2. 理論的根拠

ハーバード大学医学部の研究者たちは、「子宮筋腫」の発症に遺伝子が関連していることを報告しています。その中でも特に、遺伝子「RAP2C」が関連していることがわかっています。(参考リンク1)
ヒトの遺伝情報は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の塩基成分の配列によって決まります。
遺伝子「RAP2C」には、DNA領域「rs12392108」という特定領域があり、一定の頻度でDNA領域「rs12392108」の中の一塩基「T」が「A」に置き換えられます。
この置き換えが、子宮筋腫の発症に相関関係がみられ、この場合の「A」を“リスクアレル”と呼びます。
DNA領域「rs12392108」の遺伝子タイプは「TT型」「TA型」「AA型」の3つの遺伝子型があります。「AA型」の人は子宮筋腫を発症しやすい傾向があり、「TA型」の人はやや発症しやすい傾向があります
。日本人の遺伝子タイプについては、「TT型」が89.7%で最も多く、「TA型」が10.0%、「AA型」が0.3%で最も少ないことがわかっています。(参考リンク2)
ただし、「子宮筋腫」はアフリカ系女性の罹患率が高いと指摘されており、アフリカ系では「AA型」が56.4%と高い割合を示しています。(参考リンク3)
また、「子宮筋腫」にはストレスなどの環境的な要因も影響しているため、遺伝子タイプとあわせて生活習慣などを見直すことが重要です。

3. 作用機序

子宮筋腫の発症に関わる遺伝子「RAP2C」は、性染色体のX染色体に存在しています。
「RAP2C」遺伝子は、細胞の成長や増殖など細胞機能を制御するタンパク質の合成に関与しており、こうした働きをするタンパク質を「RAS(ラス)」と呼ばれます。(参考リンク4)
通常、タンパク質「RAS(ラス)」はスイッチのように細胞増殖や細胞機能を制御しますが、遺伝子変異により、「RAS(ラス)」が恒常的に活性化することがあります。
こうなると、細胞増殖が必要のない状態でも起こり、細胞ががん化しやすくなると考えられています。
遺伝子「RAP2C」が、子宮筋腫を引き起こすメカニズムはまだ解明されていませんが、DNA領域「rs12392108」の遺伝子タイプがわかれば、「子宮筋腫」の発症のしやすさを把握でき、体調管理を通じて「健康の保持・増進」につながります。

遺伝子領域rs12392108において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

89.75% 9.97% 0.28%
  • TT89.75%
  • TA9.97%
  • AA0.28%

遺伝子領域rs12392108において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

37.90% 47.32% 14.77%
  • TT37.90%
  • TA47.32%
  • AA14.77%

遺伝子領域rs4360450において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

0.00% 0.00% 100.00%
  • AA0.00%
  • AG0.00%
  • GG100.00%

遺伝子領域rs4360450において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

11.04% 44.37% 44.58%
  • AA11.04%
  • AG44.37%
  • GG44.58%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:子宮筋腫

体表的なDNA領域:子宮筋腫

子宮筋腫 に最も強く影響する遺伝子領域は、rs12392108です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • TT

    89.8
    %
  • TA

    10.0
    %
  • AA

    0.3
    %

他に、子宮筋腫に関わる遺伝子領域はrs4360450があります。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです

  • AA

    0.0
    %
  • AG

    0.0
    %
  • GG

    100.0
    %

検査の根拠

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 AGKP2
関連遺伝子 SLC7A3

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 AGKP2
  • 参考リンク : 2019 Oct、C S Gallagherと研究グループがNat Commun に発表したGenome-wide association and epidemiological analyses reveal common genetic origins between uterine leiomyomata and endometriosisという研究によると子宮筋腫 に関連するrs12392108の関連性が認められました。
  • 関連遺伝子 SLC7A3
  • 参考リンク : 2019 Oct、C S Gallagherと研究グループがNat Commun に発表したGenome-wide association and epidemiological analyses reveal common genetic origins between uterine leiomyomata and endometriosisという研究によると子宮筋腫 に関連するrs4360450の関連性が認められました。