ビタミンB12の代謝能力
- ビタミンB12の代謝能力はDNA領域rs2287921の遺伝子型と関係し、Cのタイプを持つ人は代謝能力が高い傾向にあります。
- 日本人の90.6%がTT型を持ち、世界の平均(26.6%)とくらべてCのタイプを持つ人が少ないです。
- ビタミンB12は脳の働き・神経・赤血球・DNAづくりに欠かせない栄養素で、不足すると貧血や神経の障害を起こします。
概要
【概要】 ビタミンB12の測定は、血液の中にあるこの大切な栄養素の量を知るために行います。
【特徴】 ビタミンB12は体の中でいろいろな大切な役割を持っています。脳の働きや神経の健康を保ち、赤血球やDNAをつくるのに欠かせません。 ふつうは、腕の静脈からとった血液を使って、検査室でビタミンB12の濃さを調べます。
【メカニズム】 ビタミンB12をちょうどよい量に保つことは、健康のためにとても大切です。 不足すると、疲れやすさや便秘、もの忘れなどの症状が出ることがあり、ひどい場合は神経の異常や貧血につながる可能性があります。 反対に、ビタミンB12が異常に多い場合は、何かの病気のサインのことがあります。 たとえば、肝臓の病気や、骨髄で血液の細胞が増えすぎる病気(骨髄増殖性疾患)などです。 そのため、ビタミンB12の量を正しく知り、適切にケアすることは、さまざまな病気の診断や治療、予防に役立ちます。
【科学的根拠】 バージニア大学とイーストカロライナ大学のKeeneらの研究で、ビタミンB12を体の中で使う力(代謝能力)が、rs2287921というDNA領域と関係していることが分かりました。 このDNA領域にはTT、TC、CCの3つの遺伝子型があり、Cを持つ遺伝子型の人は、ビタミンB12の代謝能力が高い傾向にあることが分かりました。
ビタミンB12の代謝能力とは何か
ビタミンB12の代謝能力とは、体の中でビタミンB12を吸収し、使いやすい形に変えて利用する働きのことです。ビタミンB12(コバラミン)は水に溶けるタイプのビタミンで、脳の働きや神経の健康を保ち、赤血球やDNAをつくるのに欠かせない栄養素です。
バージニア大学とイーストカロライナ大学のKeeneらの研究で、この代謝能力がDNA領域rs2287921と関係していることが分かっています。rs2287921にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、Cのタイプを持つ人はビタミンB12の代謝能力が高い傾向にあります。
ビタミンB12の役割と重要性
ビタミンB12は体の中で次のような大切な役割を持っています。
- 神経を守る:ミエリン鞘(神経をおおう保護膜)をつくり、保つのに欠かせません。
- 赤血球をつくる:骨髄で赤血球が正常に育つために必要です。
- DNAづくり:細胞が分裂するときに必要なDNAづくりを助けます(補酵素として働きます)。
- ホモシステインの処理:体に害のあるホモシステインを、アミノ酸の一種のメチオニンに変えて血管を守ります。
ビタミンB12が不足するとどうなるか
ビタミンB12が足りなくなると、段階的に症状が出てきます。
| 段階 | 主な症状 | 重症度 |
|---|---|---|
| 初期 | 疲れやすさ、食欲がない、便秘 | 軽度 |
| 中期 | もの忘れ、集中しにくい、口内炎 | 中度 |
| 後期 | 巨赤芽球性貧血(大きく未熟な赤血球ができる貧血)、末梢神経障害(手足の神経の障害)、手足のしびれ | 重度 |
ビタミンB12が異常に高い場合の原因
ビタミンB12が正常範囲より高い場合、次のような病気が疑われます。
- 肝疾患:肝炎や肝硬変で、肝臓にたくわえられていたB12が血液中に出てきます。
- 骨髄増殖性疾患:真性多血症(血液の細胞が増えすぎる病気)などで、白血球からB12と結びつくたんぱく質が多くつくられます。
- 腎臓の働きの低下:腎臓がB12の分解物をうまく体の外に出せなくなります。
ビタミンB12の検査方法
ふつうは腕の静脈からとった血液を使って、検査室でビタミンB12の濃さを調べます。血液中のビタミンB12の正常範囲は233〜914 pg/mLです。200 pg/mL未満は欠乏症(足りない状態)、200〜300 pg/mLは境界域(足りなくなりかけの状態)と判断されます。
遺伝子とビタミンB12代謝能力の関係
DNA領域rs2287921と代謝能力の関係
バージニア大学とイーストカロライナ大学のKeeneらの研究で、ビタミンB12の代謝能力がDNA領域rs2287921と関係していることが分かりました。
- rs2287921にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があります。
- Cのタイプを持つ人(CC型・TC型)はビタミンB12の代謝能力が高い傾向があります。
- TT型は代謝能力がくらべて低めの傾向があります。
遺伝子型ごとの特徴くらべ
| 遺伝子型 | 日本人の割合 | 世界の割合 | 代謝能力の傾向 |
|---|---|---|---|
| TT型 | 90.6% | 26.6% | 標準 |
| TC型 | 9.1% | 49.9% | やや高い |
| CC型 | 0.2% | 23.3% | 高い |
日本人ではTT型が90.6%ととても多く、Cのタイプを持つ人の割合は世界の平均とくらべて低いのが特徴です。
検査の理論的な根拠
代表的なDNA領域:ビタミンB12の代謝能力
ビタミンB12の代謝能力 に最も強く影響するDNA領域は、rs2287921です。 日本でのこの場所の遺伝子型の分布は下のとおりです。
- TT
90.6 % - TC
9.1 % - CC
0.2 %
検査の根拠
バージニア大学とイーストカロライナ大学のKeeneらの研究で、ビタミンB12の代謝能力が遺伝子と関係していることが分かりました。人の全遺伝情報(ゲノム)の中にはrs2287921という場所があり、そこにはTとCの2種類のタイプがあります。Cのタイプを持つ人は、ビタミンB12の代謝能力が高い傾向にあることが分かりました。日本人ではTT型が90.6%、TC型が9.1%、CC型が0.2%で、世界の平均とくらべてCのタイプを持つ人がとても少ないのが特徴です。
今回調査したDNA領域
細胞の中にあるDNAマップの模式図
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関連遺伝子
| 関連遺伝子 | RASIP1 |
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よくある質問
Q1. ビタミンB12の代謝能力とは何ですか?
ビタミンB12の代謝能力とは、体の中でビタミンB12を吸収し、使いやすい形に変えて利用する働きのことです。この能力はDNA領域rs2287921の遺伝子型によって人それぞれ違い、Cのタイプを持つ人は代謝能力が高い傾向にあります。ビタミンB12は、脳の働き・神経の健康・赤血球やDNAをつくることに欠かせない栄養素です。
Q2. ビタミンB12が不足するとどうなりますか?
ビタミンB12が足りなくなると、疲れやすさ、便秘、もの忘れ、食欲がないなどの症状が出ます。ひどい場合は巨赤芽球性貧血(大きく未熟な赤血球ができる貧血)や末梢神経障害(手足の神経の障害)につながり、手足のしびれや歩きにくさが出る可能性があります。
Q3. 遺伝子検査でビタミンB12の代謝能力は分かりますか?
DNA領域rs2287921の遺伝子型を調べることで、ビタミンB12の代謝能力の傾向を知ることができます。TT型・TC型・CC型の3つの遺伝子型があり、Cのタイプを持つ人ほど代謝能力が高い傾向にあります。日本人ではTT型が90.6%と大部分をしめます。
Q4. ビタミンB12の正常値はどれくらいですか?
血液中のビタミンB12の正常範囲は233〜914 pg/mLです。200 pg/mL未満は欠乏症(足りない状態)、200〜300 pg/mLは境界域(足りなくなりかけの状態)と判断されます。腕の静脈から採血し、検査室で濃さを測ります。
Q5. ビタミンB12が異常に高い場合は何を意味しますか?
ビタミンB12が異常に高い場合は、肝疾患(肝炎・肝硬変)、真性多血症などの骨髄増殖性疾患(骨髄で血液の細胞が増えすぎる病気)、または腎臓の働きの低下が疑われます。サプリメントのとりすぎで高くなることもあります。