seeDNAロゴアイコン 歩く速さ

概要

概要

歩行バランスは、日常生活で重要な役割を果たす身体の機能の一つです。特に高齢者にとっては、歩行バランスの低下が健康上のリスクを引き起こすことがあります。
歩行バランスは、歩行周期の中で両足支持期と単脚支持期が関係しており、単脚支持期の維持能力は、安全な生活を送るために欠かせないものです。
歩行バランスには、遺伝的要因や年齢、性別、身長、体重、認知機能、疾患の影響が複雑に絡み合っています。
最近の研究では、歩行バランスに関わる遺伝子が複数発見されており、高齢者の単脚支持時間と関連したLINC01049遺伝子付近の部位に着目されています。
高齢者の単脚支持時間が長いことが、LINC01049遺伝子付近の部位と関連していることが明らかになりました。(参考リンク1)
遺伝子の役割についてはまだ解明されていませんが、今後の研究によって、歩行バランスの維持に必要な遺伝子の特定や、その機能解明につながることが期待されます。
これにより、高齢者の健康維持に役立つ新たな治療法や予防策が開発されることが期待されます。

理論的根拠

オランダのエラスムス大学医療センターでの共同研究により、高齢者の単脚支持時間に影響を与えるLINC01049遺伝子付近の特定タイプが明らかになりました。
この部位は「rs80092143」と呼ばれ、3つの遺伝子型で構成されます。GGタイプの人は単脚支持時間が長く(高齢者の歩行バランスが安定)、CGタイプの人はやや短い(高齢者の歩行バランスがやや不安定)傾向があることがわかっています。(参考リンク2)
しかし、日本人の遺伝子型は、CCタイプが最も多い76.4%、CGタイプは22.0%、GGタイプは最も少ない1.6%であり、遺伝子タイプによって必ずしも歩行バランスと関連するわけではありません。(参考リンク3)
歩行バランスは環境による影響を大きく受けるため、必ずしも遺伝子タイプだけで決まるものではありません。歩行バランスの維持には筋力と関節の柔軟性が重要であり、年齢に合わせたトレーニングやストレッチ、栄養バランスのよい食事などが必要です。
遺伝子検査で遺伝子タイプを調べることで、能力の開花や早期対策のきっかけ作りに役立つかもしれません。

作用機序

LINC01049遺伝子は、ヒトの24の染色体のうち、13番染色体に位置しています。この遺伝子は、精巣や肺などの臓器に発現していることが知られていますが、足の筋肉(腓腹筋など)にも発現していることが分かっています。(参考リンク4)
しかし、LINC01049の生物学的機能や歩行バランスに対するメカニズムはまだ解明されていません。
しかしながら、LINC01049は細胞分裂などのあらゆる生体反応に関与している可能性があることから、LINC01049付近に存在するrs80092143の遺伝子タイプが、加齢に伴う筋力の低下に影響し、歩行バランスと関係している可能性があるとされています。(参考リンク5、6)
このように、「rs80092143」は、高齢時の歩行バランスと関係するDNA領域の一つとして注目を集めています。

遺伝子領域rs80092143において日本で各遺伝タイプを持つ人の割合

79.96% 18.92% 1.12%
  • CC79.96%
  • CG18.92%
  • GG1.12%

遺伝子領域rs80092143において世界で各遺伝タイプを持つ人の割合

78.38% 20.30% 1.31%
  • CC78.38%
  • CG20.30%
  • GG1.31%

seeDNAロゴアイコン検査の理論的根拠

体表的なDNA領域:歩く速さ

体表的なDNA領域:歩く速さ

歩く速さ に最も強く影響する遺伝子領域は、rs80092143です。 日本における同型の遺伝子タイプの分布は下記のとおりです。

  • CC

    80.0
    %
  • CG

    18.9
    %
  • GG

    1.1
    %

検査の根拠

エラスムス医療センターのAdamsらの研究により、歩く速さが遺伝子と関連していることが明らかになりました。人間のゲノムには、rs80092143という領域が存在し、その領域の遺伝子にはCとGの2種類の変異があります。Cタイプの変異を持つ人は、歩く速さが遅い傾向にあることが分かりました。

seeDNAロゴアイコン今回調査したDNA領域

細胞中に存在するDNAマップの模式図

seeDNAロゴアイコン関連遺伝子

関連遺伝子 KRT18P27

seeDNAロゴアイコン参考文献

  • 関連遺伝子 KRT18P27
  • 参考リンク : 2016 Jun、Hieab H H Adamsと研究グループがJ Gerontol A Biol Sci Med Sci に発表したHeritability and Genome-Wide Association Analyses of Human Gait Suggest Contribution of Common Variantsという研究によると歩く速さ に関連するrs80092143の関連性が認められました。