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ワーキングメモリの機能維持

ワーキングメモリのイメージ画像
  • ワーキングメモリは情報を少しの間おぼえながら作業を進める脳の働きで、50歳以降に約30%低下します。
  • GRIN2B遺伝子(DNA領域rs3764030)がワーキングメモリの働きを保つことに影響すると研究で分かりました。
  • TTまたはTCタイプは年をとっても働きを保ちやすく、CCタイプは弱まりやすい傾向があります。

概要

【概要】 ワーキングメモリとは、頭の中で情報を少しの間おぼえておきながら、同時に別の作業を進める力です。 例えば、電話番号を聞きながらメモを取るときに使われています。

【特徴】 このような「作業記憶」は、毎日の生活に欠かせない力です。 しかし、年齢を重ねるとワーキングメモリの働きは弱まり、50歳を過ぎると約30%も低下すると言われています。 実は、年をとってもワーキングメモリの働きを保てるかどうかには、DNAが関わっていることが分かっています。 アメリカのケンタッキー大学の研究グループの調査では、GRIN2Bという遺伝子のDNA領域が、人のワーキングメモリの働きを保つことに影響していると報告されています。

【メカニズム】 (参考リンク1) 遺伝子検査で自分の遺伝子タイプを調べると、ワーキングメモリの働きを保ちやすいかどうか、遺伝子の面からの傾向を知ることができます。 ぜひ試してみてはいかがでしょうか。 検査の根拠 アメリカのケンタッキー大学の研究で、GRIN2B遺伝子のタイプによって、ワーキングメモリの働きの保ちやすさに違いがあることが分かりました。 この遺伝子のDNA領域は「rs3764030」と呼ばれ、TT、TC、CCの3つの遺伝子型があります。 TTまたはTCタイプの人は、年齢に関係なくワーキングメモリの働きを保ちやすいのに対し、CCタイプの人は年齢とともにワーキングメモリの働きが弱まりやすい傾向があります。 TTまたはTCタイプの人は、年をとっても毎日の基本的な作業をこなしやすくなります。 一方、CCタイプの人は、年をとると物の置き忘れが増えたり、作業を進めにくくなったりすることがあります。 (参考リンク2) このような症状は認知症の初期によく似ており、将来認知症になる可能性が高いことも考えられます。 対策としては、ラベルを貼って物を整理する、予定や約束を目につく場所に貼る、日記を書く、といった習慣をつけることが役立ちます。 このように、ワーキングメモリに関する遺伝子の傾向を科学的に確かめることで、自分に合った対策を前もって考えられるかもしれません。 しくみ GRIN2B遺伝子は、人の24種類の染色体のうち12番染色体にあり、脳の海馬(記憶をつくる場所)で新しい記憶をしまうときによく働いています。 この遺伝子は、学習と記憶に大切な役割を果たしていると考えられています。 (参考リンク1) また、東京大学大学院の薬学研究グループによると、問題を解くのに必要な効率のよいワーキングメモリには、海馬の働きが関わっていることが分かっています。 世界では、ワーキングメモリの働きが早く弱まりやすいとされるCCタイプの人の割合は62.7%に上ります。

【科学的根拠】 日本人の場合、TTタイプが11.8%、TCタイプが45.1%、CCタイプが42.9%です。 (参考リンク2,3) このことから、rs3764030は、ワーキングメモリの力に関係する遺伝子の個人差(一塩基多型)の中でも、注目すべきものの一つです。

ワーキングメモリとは何か

ワーキングメモリ(作業記憶)とは、頭の中で情報を少しの間おぼえておきながら、同時に別の作業を進める脳の働きです。電話番号を聞きながらメモを取る作業がよい例です。

ワーキングメモリが重要な理由

ワーキングメモリは、毎日の基本的な作業をこなすために欠かせない力です。

  • 会話の理解:相手の話の流れをおぼえながら返事を考えます。
  • 計算処理:途中の数字をおぼえながら計算します。
  • 判断:いくつかの情報を比べながら決めます。

ワーキングメモリはなぜ低下するのか

年齢を重ねるとワーキングメモリの働きは弱まり、50歳を過ぎると約30%低下すると報告されています。この低下には遺伝子の影響も関わっています。

ケンタッキー大学の研究グループにより、GRIN2B遺伝子のDNA領域rs3764030がワーキングメモリの働きを保つことに影響していると分かりました(参考リンク1)。

ワーキングメモリの低下で起こる症状

ワーキングメモリが低下すると、次のような症状が出ます。

  • 物の置き忘れが増えます。
  • いくつかの作業を同時に進めにくくなります。
  • 会話の内容を忘れやすくなります。
  • 計画を立てたり段取りをしたりする力が落ちます。

これらの症状は認知症の初期症状と類似しており、将来認知症になる可能性が高いことも考えられます。

遺伝子タイプ別のワーキングメモリの働きの比べ

遺伝子型(rs3764030) 年齢による働きの低下 特徴
TTタイプ 弱まりにくいです。 年をとっても毎日の作業をこなしやすいです。
TCタイプ 弱まりにくいです。 年をとっても毎日の作業をこなしやすいです。
CCタイプ 弱まりやすいです。 物忘れや作業の進めにくさが起こりやすいです。

ワーキングメモリを維持するための対策

CCタイプの人には、次のような対策が役立ちます。

  • ラベルを貼って物を整理する習慣をつけます。
  • 予定や約束を目につく場所に貼る方法を活用します。
  • 日記を書く習慣をつけて、おぼえることを紙に書き出します。

遺伝子検査で自分の遺伝子タイプを知ることで、自分に合った対策を前もって考えられます。

遺伝子とワーキングメモリの働きを保つことの関係

DNA領域rs3764030と働きの保ちやすさの関係

ケンタッキー大学のYang Jiangらの研究(2017年)で、GRIN2B遺伝子のDNA領域rs3764030がワーキングメモリの働きを保つことに関係していると分かりました。

  • rs3764030にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型が存在します。
  • TTまたはTCタイプの人は、年齢に関係なくワーキングメモリの働きを保ちやすいです。
  • CCタイプの人は、年齢とともにワーキングメモリの働きが弱まりやすい傾向があります。

日本人における遺伝子型分布(rs3764030)

遺伝子型 日本人の割合 世界の割合
CCタイプ 36.1% 62.7%
CTタイプ 47.9% 32.9%
TTタイプ 15.9% 4.3%

世界ではCCタイプが62.7%を占めますが、日本人ではCCタイプは36.1%と比較的少なめです。日本人はTTまたはTCタイプの人が合わせて63.8%いて、世界平均(37.2%)と比べると、働きを保ちやすい遺伝子型を持つ人が多い傾向です。

GRIN2B遺伝子のしくみ

GRIN2B遺伝子は12番染色体にあり、脳の海馬(記憶をつくる場所)で新しい記憶をしまうときに働きます。この遺伝子は学習と記憶に大切な役割を果たしています(参考リンク1)。

東京大学大学院の薬学研究グループの研究では、問題を解くのに必要な効率のよいワーキングメモリに、海馬の働きが関係していることが分かっています。

DNA領域rs3764030の各遺伝子タイプを持つ人の割合(日本)

  • CC
    36.1%
  • CT
    47.9%
  • TT
    15.9%

DNA領域rs3764030の各遺伝子タイプを持つ人の割合(世界)

  • CC
    62.7%
  • CT
    32.9%
  • TT
    4.3%

検査の根拠

代表的なDNA領域:ワーキングメモリの機能維持

ワーキングメモリの機能維持 に最も強く影響するDNA領域は、rs3764030です。 日本での遺伝子タイプの割合は下のとおりです。

  • CC
    36.1 %
  • CT
    47.9 %
  • TT
    15.9 %

検査の根拠

ケンタッキー大学のYang Jiangらの研究で、GRIN2B遺伝子のDNA領域rs3764030がワーキングメモリの働きを保つことに関係していると分かりました。rs3764030にはTT・TC・CCの3つの遺伝子型があり、TTまたはTCタイプの人は年齢に関係なくワーキングメモリの働きを保ちやすいのに対し、CCタイプの人は年齢とともに働きが弱まりやすい傾向があります(参考リンク1,2)。

今回調査したDNA領域

細胞の中にあるDNAマップの模式図

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関連遺伝子

関連遺伝子 GRIN2B

よくある質問

Q1. ワーキングメモリとは何ですか?

ワーキングメモリ(作業記憶)とは、頭の中で情報を少しの間おぼえておきながら、同時に別の作業を進める脳の働きです。電話番号を聞きながらメモを取る作業がよい例で、50歳を過ぎると約30%低下するといわれています。

Q2. ワーキングメモリの低下と遺伝子の関係は?

GRIN2B遺伝子のDNA領域rs3764030がワーキングメモリの働きを保つことに影響します。TTまたはTCタイプの人は年齢に関係なく働きを保ちやすく、CCタイプの人は年齢とともに働きが弱まりやすい傾向があります(参考リンク1,2)。

Q3. ワーキングメモリが低下するとどうなりますか?

物の置き忘れや、作業を進めにくくなることが起こります。これらの症状は認知症の初期症状と類似しており、将来認知症になる可能性が高いことも考えられます。

Q4. ワーキングメモリの低下を防ぐ対策は?

ラベルを貼って物を整理する習慣、予定や約束を目につく場所に貼る方法、日記を書く習慣が役立ちます。遺伝子検査で自分のタイプを知れば、自分に合った対策を前もって考えられます。

参考文献