母親の血液で行うお腹の赤ちゃんの親子DNA鑑定の歴史
2016.12.13
最終更新日:2025.09.15
概要
出生前DNA鑑定(非侵襲的出生前父性検査:NIPPT)は、妊婦の血液に含まれる胎児由来のセルフリーDNA(cfDNA)を利用して、妊娠中に胎児と父親と思われる男性の父子関係を確認する検査です。
侵襲的手技(羊水穿刺・絨毛採取)と異なり、母親の採血だけで親子鑑定ができる胎児と母親へのリスクがない点が特徴です。
cfDNA は妊娠初期から検出可能で、妊娠の進行に伴い割合が上昇します。技術的には NIPT(染色体数的異常のスクリーニング)と共通基盤を持ちます。
出生前DNA鑑定の歴史
- 1997年:母体血漿中に胎児の DNA(cfDNA)が含まれていることが報告。
- 2008–2011年:大規模並列シークエンス(NGS)を用いた NIPT の有効性が確立し、臨床導入が加速。
- 2012年:非侵襲的新型出生前診断(NIPT)を示す臨床報告が登場。※1
- 2016年:国内初の出生前DNA鑑定(妊娠中の父性判定:NIPPT)が登場。※2
妊娠中のDNA鑑定の仕組みと限界
仕組み
妊娠中の母体血に含まれる胎児由来の cfDNA を抽出し、父親と思われる男性のDNAと比較解析することで妊娠中に胎児の父親を特定する。
限界
- 母体血内に含まれる胎児DNAの割合(fetal fraction)が低い場合、判定することができない場合がある。
- 胎盤限局性モザイク(CPM)など胎盤と胎児の差異により不一致が起こり得る。
- 検体取り違え・汚染などの人的要因は稀ながら起こり得るため、確認的検査や臨床的整合を要する。※1
倫理・社会的観点
インフォームド・コンセント、プライバシー、家族関係への影響(鑑定結果の扱い・開示)など、検査の利用に際しては倫理的配慮が必要です。
髪の毛やタバコの吸い殻などを使うことで、相手の男性には知られずにコッソリ検査できるため、安易な中絶を助長するとの批判もあるが、お腹の赤ちゃんと擬父との親子関係に不安を感じる女性が妊娠を継続するための重要な判断材料になるとの声もある。
次世代DNA配列分析装置のようなDNA解析技術の発展が、利便性を高めるとともに倫理的に新たな問題も生み出している。※3
seeDNAの安心サポート
seeDNAは、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
お腹の赤ちゃんの親子の血縁関係や疾患リスク、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、遺伝子検査の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
【専門スタッフによる無料相談】
【参考文献】
※1:日本産科婦人科学会(JSOG) 「母体血を用いた出生前遺伝学的検査に関する見解」※2:seeDNA「妊娠中のDNA鑑定 の国内サービス」
※3:日本経済新聞、パパは誰?出生前に鑑定
著者
医学博士 富金 起範
筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発