【医師が解説】NIPTは認証施設と非認証施設のどちらで受けるべき?

2025.11.10

NIPTは認証施設と非認証施設のどちらで受けるべき??

新型出生前診断(NIPT)を検討されている妊婦の皆さまにとって、検査をどこで受けるべきかは重要な選択となります。現在、日本国内には認証施設と非認証施設の両方でNIPTを受けることが可能ですが、それぞれに特徴があり、ご自身の状況や希望に応じて適切な施設を選ぶことが大切です。

本記事では、医師の視点からそれぞれの施設で検査を受けることのメリットとデメリットをわかりやすく解説いたします。

NIPT認証施設とは

NIPT認証施設とは

NIPT認証施設とは、日本医学会の「出生前検査認証制度等運営委員会」による認証を受けた医療機関のことです。この認証制度は、NIPTが臨床研究として開始された際に、適切な遺伝カウンセリング体制と検査精度を確保する目的で設けられました。

認証施設は基幹施設連携施設の2つに分類されます。
基幹施設は、産婦人科医と小児科医が常勤し、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍している施設です [1]。
遺伝カウンセリングから検査、確定診断、その後のフォローアップまで一貫して自施設で対応できる体制が整っています。主に大学病院や総合周産期母子医療センターなどがこれに該当します。

一方、連携施設は、基幹施設と連携しながらNIPTを提供する施設です。連携施設では検査前のカウンセリングや採血を行いますが、より専門的な遺伝カウンセリングや陽性時の確定検査が必要な場合には、基幹施設と協力して対応する体制をとっています。
また、基幹施設の受診が困難な場合には、陽性時のカウンセリングも連携施設で行うことが認められています [1]。
これにより、地域のかかりつけ医療機関などでもNIPTへのアクセスが可能となり、妊婦さんの利便性が向上しています。
2013年の導入当初、NIPTは認証施設でのみ実施されていましたが、現在では認証を受けていない非認証施設でもNIPTを提供するところが増えています。

NIPTを非認証施設で受けるメリットとデメリット

NIPTを非認証施設で受けるメリットとデメリット

メリット

非認証施設の大きな魅力は、受けやすさと柔軟さです。
年齢や医学的条件に関係なく、希望すれば誰でも検査を受けられる場合が多く、「35歳未満でも受検可能」など、幅広いニーズに対応しています。予約の取りやすさも特徴で、全国各地に施設があり、Webから短期間で予約が完了するケースも多いため、忙しい方でもスムーズに受検できます。
費用面でも比較的抑えやすいのが利点です。プラン内容によって異なりますが、7〜15万円程度で受検できる施設が多く、検査内容やオプションを自由に選べる点も好評です。
さらに、検査項目の豊富さも非認証施設ならではの特徴です。基本となる21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーに加え、性染色体異常や微細欠失症候群などを含む拡張パネル検査を選択できる場合があります。 また、受診から採血までが1回で完結することも多く、仕事や育児で時間を取りづらい方にとっても負担が少ないのが魅力です。

デメリット

最も注意すべき点は、公的な認証を受けていないため、施設ごとに品質や運用体制に差があることです。
特に懸念されるのが、カウンセリングや検査前後のサポート体制の不足です。遺伝カウンセリングが十分に行われないまま検査を受けた結果、検査の意味を誤解したり、陽性結果に過剰な不安を感じてしまうケースが報告されています。オンライン中心で医師が常駐していない施設では、検査前の説明や結果後の相談が限定的になりがちです。さらに、陽性結果が出た場合、確定検査(羊水検査など)を自分で医療機関に依頼しなければならないこともあり、受検者が不安を抱えたまま結果に向き合うリスクがあります。
また、検査の精度や基準にもばらつきが見られる点も問題です。施設によっては海外の分析機関を利用しており、国内基準とは異なる評価法や報告書形式が採用されている場合もあります。こうした違いを理解せずに検査を受けると、結果の正確性や信頼性を判断しづらくなる可能性があります。

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NIPTを認証施設で受けるメリットとデメリット

NIPTを認証施設で受けるメリットとデメリット

メリット

認証施設の最大の魅力は、整った遺伝カウンセリング体制にあります。
検査前には、NIPTの仕組みや限界、陽性結果の意味などについて、医師や認定遺伝カウンセラーから丁寧な説明を受けることができます [1]。理解を深めるための時間がしっかり確保されており、安心して検査に臨むことが可能です。
基幹施設では、遺伝の専門家が常勤しており、複雑なケースにも柔軟に対応できる体制が整っています。また、連携施設で受検した場合でも、必要に応じて基幹施設の専門家によるサポートを受けられる仕組みがあり、地域にかかわらず質の高い医療を受けられる点が特徴です。
また、陽性結果が出た場合の医療連携体制も万全です。認証施設では羊水検査などの確定検査を自施設または連携施設で提供できる体制が整備されており、専門医への紹介もスムーズに行われます。さらに、産科・小児科・遺伝専門医が連携するチーム医療により、検査後の意思決定においても多角的なサポートを受けられます。
加えて、公的なリストで施設情報や実績を確認できる点も透明性の面で安心です。こうした体制の整備により、認証施設では検査を受ける前後の不安を軽減し、より納得した選択をサポートできる環境が整っています。

デメリット

一方で、認証施設にはいくつかの課題もあります。
まず、予約が取りにくい点が挙げられます。特に大学病院などの基幹施設では、遺伝カウンセリングに十分な時間を確保しているため、待機期間が長くなる傾向があります。連携施設では比較的予約が取りやすいものの、非認証施設と比べると受検までに時間がかかるケースが多いのが実情です。
また、検査を受けられる対象者が限定されていることも特徴です。一般的に、35歳以上の高齢妊娠や、過去に染色体異常のある胎児を妊娠した経験がある場合など、特定の医学的条件を満たす妊婦さんに対象が絞られる傾向があります [2]。
費用面でも一定の負担があります。遺伝カウンセリング費用を含めると、10〜20万円程度とされており、検査実施までに複数回の受診が必要となる場合もあります。そのため、時間的・経済的な余裕を考慮する必要があります。 さらに、検査の対象が13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーの3種類に限定されているため、性染色体異常や微小欠失症候群など、より包括的な検査を希望する方にとっては選択肢が限られてしまう点もデメリットといえます。

まとめ

まとめ

NIPTを認証施設で受けるか非認証施設で受けるかは、それぞれの妊婦さんの状況やニーズによって最適な選択が異なります。認証施設は、充実したカウンセリング体制とフォローアップ体制という点で優れており、特に検査結果の意味や今後の選択肢について専門家と十分に話し合いたい方に適しています。一方、非認証施設は、アクセスのしやすさや柔軟性という点でメリットがあります。
重要なのは、どちらを選択される場合でも、検査前に十分な情報を得て、検査の意義と限界を理解したうえで受検されることです。
本記事が、NIPTを検討されている妊婦さんとそのご家族にとって、より良い選択をするための一助となれば幸いです。

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【参考文献】

[1] 日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会. 2022.
[2] 日本産婦人科学会. 2019.

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著者

医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)


医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。