【専門家が監修】 DNA鑑定の検査方法を理解できると、結果に納得! STRプロファイルは“遺伝子の指紋”
2025.11.21
DNA鑑定とは?
DNA鑑定とは、人の体に含まれるDNAを調べて、個人や血縁関係を特定する法科学検査です。
親子関係の確認や犯罪捜査、行方不明者の身元確認など、信頼性の高い方法として世界中で使われています。
DNAは「体の設計図を含む指紋」
DNAはすべての細胞の中に存在し、髪の毛や血液、皮膚の一部など、ほんの少量からでも検出できます。
DNAは4種類の塩基(A・T・G・C)が並んだ分子で、私たちの体の特徴を決める「設計図」のような役割を持ちます。
人とチンパンジーの遺伝子は約99%が一致し、人と人の間ではDNAのうち約99.9%は共通していますが、残りの0.1%が一人ひとり異なる部分であり、その差を調べることで「誰のDNAか」を特定できます[1][2]。
STRとは?“遺伝子の指紋”の正体
DNA鑑定では「STR(Short Tandem Repeat)」という領域を重点的に調べます。
STRは、特定の短い塩基配列が何回も繰り返されている部分で、その繰り返し回数が人によって異なります。
例えば、あるDNAの領域では「GATA」という塩基配列が
- Aさん:10回繰り返し
- Bさん:13回繰り返し
というように違いが出ます。
このパターンを複数のSTR領域で分析して並べたものが、「STRプロファイル」=遺伝子の指紋です。
まさに指紋と同じように、一卵性双生児を除けば誰一人として同じSTRプロファイルは存在しません[3]。
DNA鑑定の仕組みと流れ
- 試料の採取
ほおの内側を綿棒でこすり、細胞を採取します。歯ブラシ、血液、髪の毛、爪など人の細胞が付着していればどのようなモノでも利用可能です。 - DNAの抽出
採取した細胞から化学的にDNAを取り出します。 - PCRでDNAを増やす
DNAの量は非常に少ないため、「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)」という技術を使って、必要なDNA部分を数百万倍に増やします。 - STR領域の解析
増やしたDNAのうち、特定のSTR領域を解析装置で読み取り、各人のSTRプロファイルを作成します。 - 結果の照合
親子鑑定では、子どものSTRパターンが父母のどちらからも1本ずつ受け継がれているかを確認します。
犯罪鑑定では、現場のDNAと容疑者のDNAのSTRプロファイルが一致するかを統計的に判定します。
結果の見方と信頼性
DNA鑑定の結果は、確率として示されます。
親子鑑定では「親子確率99.99%以上」なら親子関係あり、0%なら親子関係なしと判断します。
STR解析を用いた個人識別は、誤判定の確率が1兆分の1以下と非常に高精度です。
DNA鑑定の主な用途
- 親子・親族関係の確認(親子、祖父母、兄弟など)
- 犯罪捜査(犯人特定、被害者照合)
- 遺体の身元確認(災害時や事件の識別)
- 医療・研究(遺伝子疾患、祖先解析など)
- 動物の血統確認・保護
法的鑑定と私的鑑定の違い
- 法的鑑定:裁判や戸籍の手続きなどに利用できる公的効力を持つ鑑定。本人確認・立会い・証拠保全が厳格に行われます。
- 私的鑑定:家庭内確認など個人利用向け。簡易に実施できますが、法的効力はありません。
まとめ
DNA鑑定は、STRプロファイルという“遺伝子の指紋”を読み取ることで、個人や血縁関係を科学的に明らかにする技術です。
PCRによる増幅や精密なSTR解析技術によって、現代のDNA鑑定は極めて高い信頼性を持っています。
まさに「あなたの遺伝子は、世界でたった一つの証拠」と言えるでしょう。
【参考文献】
1.法務省:DNA鑑定に関する情報2.警察庁:科学警察研究所(DNA型鑑定)
3.DNA 型鑑定による個人識別の歴史・現状・課題
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監修者
医学博士/検査員:L. L.
国際医療福祉大学大学院で臨床医学部の博士号取得後、seeDNAで検査員として勤務。
妊娠中の親子DNA鑑定の検査やデータ解析を担当している。