【専門家が解説】病院ではお腹の赤ちゃんの父親を調べられない?
2025.12.06
―病院で検査できない理由と正しく検査するための要点
「お腹の赤ちゃんの父親は誰なのか調べたい」と考えたとき、多くの人がまず思い浮かべるのが、「病院で検査してもらえるのだろうか?」という疑問です。
結論から言うと、病院では出生前の親子鑑定(出生前DNA鑑定)は行っていません。
本記事では、医療機関で対応できない理由、検査を希望する場合の手順、注意点についてわかりやすく解説します。
病院では父子鑑定を行わない理由
病院で行う検査は、
母体や胎児の健康状態を評価する
妊娠経過の異常の有無を調べる
といった「診断・治療」を目的としたものが中心です。
一方、出生前の親子鑑定は、
「誰が生物学上の父親なのか」を確認する
裁判や公的機関での証明に使うことがある
といった身分関係の確認が主な目的であり、医療保険の対象となる診療とは位置づけが異なります。
病院が出生前父子鑑定を行わない背景には、以下のような要因があります。※1
- 法的リスク
父子関係は法的トラブルと強く関連します。
鑑定結果をめぐる訴訟が発生すると、病院側に大きな責任が及ぶ可能性があります。 - 倫理的問題
家庭問題や心理的ストレス、DVリスクなど、デリケートな背景を含むケースも多く、医療機関が積極的に関与しにくい領域です。 - 医療事故やリスク管理
出生前鑑定は採血のみで可能ですが、医療目的ではない採血となるため、万が一トラブルが起きると病院の責任問題になる可能性があります。
お腹の赤ちゃんの父親を調べる方法は
現在もっとも一般的なのが、非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT:Non-invasive Prenatal Paternity Test)です。※2
母体血に含まれる胎児由来DNA(cff DNA)を解析し、父親候補と比較して親子関係を統計的に評価します。※3
ただし日本では医療検査ではなく民間サービスと位置づけられています。
では、どこで受けられるのか
お腹の赤ちゃんの父親を調べる検査は、専門のDNA検査機関で行われます。※4
- DNA解析の専門チームが在籍
- 妊娠週数に応じた検査可否の判断
- 法的利用を想定した証拠管理
など、専門体制が整っています。
検査の基本的な流れ
- Webまたは電話で申し込み
- キット受取り
- 採血(提携医療機関)→ 検体返送
- 結果確認
検査の申し込みや詳細については、seeDNA遺伝医療研究所の公式サイトからご確認いただけます。
\お腹の赤ちゃんの父親がわかる/
採血だけ病院で行われる理由
出生前DNA鑑定に必要なのは母体血であり、採血は医療行為です。
そのため、以下の形で協力医療機関が関与します。
検査機関が契約した医療機関で採血を実施
検査機関が発行した採血指示書に基づき採血のみを実施
つまり、検査そのものは病院で行えないが、採血は医療行為として病院が担当する仕組みです。
私的鑑定と法的鑑定の違い
出生前DNA鑑定には大きく分けて、
私的鑑定(個人的確認)
法的鑑定(裁判・調停・入管提出)※5
の2種類があります。
病院がこれらの運用まで踏み込むのは難しいため、seeDNA遺伝医療研究所のようなDNA鑑定の専門機関が中心となって手続きを進めます。
| 項目 | 私的鑑定 | 法的鑑定 |
|---|---|---|
| 目的 | 個人的な確認 | 裁判・調停・入管などの法的手続き |
| 検体採取 | 郵送でのキット使用が可能 | 立会人の前での採取が必須 |
| 採血 | 協力医療機関で採血 | 同左(ただし立会いが必要な場合あり) |
| 立会人 | 不要 | 必須(検査機関・代理店・法律事務所・出張立会人) |
| 結果の法的効力 | なし | 公的証明として利用可能 |
| 手続き | 個人申込で完結 | 書類準備・本人確認などが必要 |
| 病院の関与 | 採血以外なし | 採血以外なし(病院は法的手続きに関与不可) |
\裁判・調停でも使える出生前DNA鑑定/
申し込み前に確認すべきポイント
検査機関によって体制・費用・提携先が異なるため、以下の点を必ず確認してください。
■ 出生前DNA鑑定の申込前チェックリスト
- 鑑定の種類(私的/法的)
- 検査精度・解析方法の記載
- 妊娠週数の条件
- 料金に含まれる内容
- 追加費用(出張費・立会費・再検査費など)
- 出張旅費が「定額制」か「実費制」か
- 自宅近くの協力医療機関の有無
- 法的鑑定の際の法律事務所との連携体制
- 個人情報・遺伝情報の管理体制
- 結果報告までの日数/至急対応
- キャンセル・返金・再検査ポリシー
※これらの項目は、ホームページにすべて明記されていないことも多く、申込前にメールや電話で確認することが重要です。
まとめ
- 出生前DNA鑑定は医療行為ではなく、専門の検査機関が提供する民間サービス
- 病院では検査は行われないが、採血のみ医療行為として実施
- 私的鑑定と法的鑑定では手続きが大きく異なるため、目的に合った選択が重要
- 費用・妊娠週数・追加料金などは機関によって異なり、事前確認がトラブル防止につながる
seeDNA遺伝医療研究所では、妊婦さんと赤ちゃんの安全を最優先に、検査内容・手続き・費用などを丁寧にご案内しています。
不安な点があればお気軽にご相談ください。
【参考文献】
みんなで話そう新型出生前診断はだれのため? – 厚生労働省NIPPT: A Review on Genetic and Forensic Aspects
A theoretical base for non-invasive prenatal paternity testing
AABB – Standards for Relationship Testing Laboratories
DNA鑑定 – 法務省
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
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【専門スタッフによる無料相談】
著者
医学博士/検査員:L. L.
国際医療福祉大学大学院で臨床医学部の博士号取得後、seeDNAで検査員として勤務。
妊娠中の親子DNA鑑定の検査やデータ解析を担当している。