【専門家が解説】法的鑑定と私的鑑定の違いはなに?―DNA鑑定精度および法的証明力の整理―
2026.01.24
親子DNA鑑定や胎児DNA鑑定を検討する際、多くの方が迷うのが「私的DNA鑑定」と「法的DNA鑑定」の違いです。
本記事では、利用目的・検査方法・証明力の違いを中心に、専門的かつ分かりやすく解説します。
DNA鑑定の基本的な考え方
DNA鑑定は、遺伝情報を解析することで親子関係や血縁関係を科学的に確認する検査です。
鑑定精度は検査方法や管理体制により左右されますが、「誰が、どのように検体を採取したか」が法的有効性を決定づける重要な要素となります[1]。
私的DNA鑑定とは
私的DNA鑑定は、個人的な確認を目的として利用されるDNA鑑定です。
「自分自身で事実を知りたい」「家族内で参考として確認したい」といったケースに適しており、裁判や公的手続きでの使用を前提としていません。
この鑑定は、医学的・科学的に信頼性の高い結果が得られる一方、法的証明を目的としないため、手続きを簡素化して実施できる点が特徴です。
法的DNA鑑定とは
法的DNA鑑定は、調停・裁判・認知・相続・移民申請など、法的手続きにおいて証拠として使用されるDNA鑑定です。
鑑定結果に法的な証明力を持たせるため、検体の採取から管理、鑑定書の作成に至るまで、厳格な手続きが求められます。
seeDNA遺伝医療研究所では、こうした法的要件を満たす体制のもと、第三者による確認を含む管理手順に基づいて法的DNA鑑定が行われています。
検査方法と手続きの違い
【私的DNA鑑定の特徴】
私的DNA鑑定では、検体は口腔上皮(頬粘膜)に限らず、DNAが付着している物品全般が対象となります。
歯ブラシ、タバコの吸い殻、割りばしなどからもDNA解析が可能であり、検体選択の自由度が高い点が特徴です[2]。
私的DNA鑑定の主な特徴は以下のとおりです。
- 手続きが比較的簡便
- 被験者氏名は鑑定報告書に記載されない
- 本人確認書類の提出は不要
- 被験者自身による自己採取で実施される
- 来所せずに実施することも可能
これらの点から、私的DNA鑑定は、個人的な確認を目的とする場合に利用しやすい鑑定方法といえます。
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【法的DNA鑑定の特徴】
一方、法的DNA鑑定では、検体の真正性を確保するため、原則として口腔上皮(頬粘膜)検体のみが使用されます。
検体採取は、第三者による確認を伴う必要があるため、専門スタッフの立会いのもとで実施されます[3]。
そのため、検体採取時には、以下の手続きが行われます。
- 被験者・親権者の本人確認書類の確認
- 本人確認のための写真撮影
- 検体採取証明書(Chain of Custody)の作成
立会いは、代理店や提携法律系事務所への来所、または出張対応で行われます。
これらの厳格な手続きを経ることで、法的DNA鑑定は裁判や公的手続きにおいて証拠として使用することが可能となります。
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私的DNA鑑定では鑑定精度が下がるのか?
結論から言うと、私的DNA鑑定と法的DNA鑑定では、科学的分析の前提条件は共通しており、私的DNA鑑定であっても鑑定精度そのものが下がることはありません。
両者は、使用するDNA解析技術、調べる遺伝子の数、判定に用いる統計計算方法がいずれも同一であるため、検査室で行われる科学的な分析精度に違いはないとされています[1]。
では、なぜ私的DNA鑑定は裁判で使用できないのでしょうか。
その理由は精度ではなく、「検体が誰のものであるかを第三者が証明しているかどうか」にあります。
私的DNA鑑定では自己採取が行われるため、検体の出所を法的に保証する仕組みがなく、この点が裁判や公的手続きにおいて証拠として使用できない理由となります。
私的鑑定と法的鑑定の比較表
| 項目 | 私的鑑定 | 法的鑑定 |
|---|---|---|
| 鑑定の目的 | 個人的な確認 | 裁判・調停・相続・移民申請などの公的手続き |
| 科学的鑑定精度 | 法的鑑定と同一 | 私的鑑定と同一 |
| 使用する解析技術 | STR解析等(標準手法) | STR解析等(標準手法) |
| 検体の種類 | DNAが付着しているすべての検体 | 口腔上皮(頬粘膜)のみ |
| 検体採取方法 | 被験者自身による自己採取 | 専門スタッフ立会いによる採取 |
| 本人確認 | 実施しない | 身分証明書確認・写真撮影 |
| 検体採取証明 | なし | あり(Chain of Custody) |
| 鑑定書への氏名記載 | なし | あり |
| 法的証明力 | なし(参考資料) | あり(法的証拠) |
| 海外提出 | 不可 | 可(公印確認・アポスティーユ対応) |
海外提出・国際的な証明について
海外の裁判所や移民局へ提出する際には、外務省による公印確認やアポスティーユが求められる場合があります[4]。
seeDNA遺伝医療研究所では、法的DNA鑑定において、国際的に求められる認証要件に対応した手続き体制を整えています。
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DNA鑑定を選ぶ際の注意点
- 目的(私的か法的か)を明確にすること
- 将来、裁判や公的提出の可能性がある場合は最初から法的鑑定を選択
- 管理体制・国際基準への準拠を確認
まとめ
私的DNA鑑定と法的DNA鑑定の違いは、
「鑑定精度」ではなく「証明力と手続き」にあります。
目的に合った鑑定方法を選択することが、後悔しないための最重要ポイントです。
特に将来の利用可能性を見据えた鑑定方法の選択が重要です。
【参考文献】
(1)Forensic Science Regulator, 2024.(2)Investigative Genetics, 2010.
(3)National Institute of Justice, 2006.
(4)HCCH Publications, 2023.
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seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
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著者
医学博士/遺伝子解析担当:A.M.
2015年東京医科歯科大学大学院 医学博士課程を修了後、同大学整形外科にて特任研究員および研究補佐員として勤務。
2018年より株式会社seeDNAに入社後、STR鑑定5,000件以上、NIPPT鑑定約4,000件以上の検査やデータ解析、研究開発などを担当。
正確性と品質管理を徹底することで、鑑定ミス「0」を継続中。
これまで培った研究経験と分析力を活かし、お客様に安心と信頼をお届けできるよう、品質向上に日々取り組んでいます。