【専門家監修】お腹の子の父親は誰?出生前DNA鑑定は妊娠6週から可能?精度や注意点を詳しく解説
2025.08.05
はじめに

妊娠おめでとうございます。
新しい命の訪れは喜ばしい一方で、さまざまな不安や悩みを抱えていらっしゃるかもしれません。
特に「お腹の子の父親が誰なのか、一日でも早く知りたい」という切実な思いを抱えている方も少なくないでしょう。
この記事では、看護師の立場から、その不安を解消するための一つの選択肢である「出生前DNA鑑定」について、
医学的根拠に基づき、いつから検査できるのか、その精度や注意点は何かを詳しく解説します。
【結論】出生前DNA鑑定は妊娠6週から可能!
結論からお伝えすると、最新の出生前DNA鑑定(非侵襲的出生前父子鑑定、NIPPT)は、妊娠6週頃から可能です。
ただし、この早期検査で正確な結果を得るためには、以下の3つの条件が非常に重要になります。
- ❶ 国際的な基準を満たす、信頼性の高い検査機関を選ぶこと
- ❷ 妊娠週数だけでなく、母体血中の「胎児由来DNA(cffDNA)」が解析に十分な量に達していること
- ❸ 検査前にcffDNAの量を測定し、不足している場合は解析に進まず、再採血などを提案する体制が整っていること
これらの条件が満たされていれば、妊娠初期であっても、科学的根拠に基づいた極めて精度の高い父子関係の判定が可能です。
そもそも「出生前DNA鑑定」とは?

出生前DNA鑑定とは、お母さんの腕から採血した血液を使い、そこに含まれる胎児のDNA情報を解析する検査です。
◇検査の仕組み:母体血中の「胎児由来無細胞DNA(cffDNA)」
妊娠すると、胎盤の細胞の一部が自然に分解され、その中に含まれる胎児のDNA断片(cffDNA: cell-free fetal DNA)がお母さんの血液中に放出されます。
このcffDNAは胎児の遺伝情報を正確に反映しているため、これを抽出し、推定されるお父さんのDNA情報比較することで、生物学的な親子関係を明らかにします。
父とされる男性のDNA情報は、男性が使った歯ブラシや割りばし、又は髪の毛、口腔上皮(口腔内の細胞を綿棒でこする)などから採取できます。
お母さんと赤ちゃんに身体的な負担をかけることなく(非侵襲的に)、安全に検査できるのが大きな特長です。
【補足】NIPTとNIPPTの違い
同じく母体血を用いる出生前診断に「NIPT(非侵襲的出生前遺伝学的検査)」がありますが、これはダウン症候群(21トリソミー)などの染色体異数性を調べる検査です。
親子鑑定を目的とする「NIPPT(非侵襲的出生前父子鑑定)」とは目的が異なります。
どれくらい早く、正確に検査できるのか?

◇検査可能な時期:妊娠6週から
研究により、胎児由来のcffDNAは妊娠6週頃からお母さんの血液中に検出しうる量が存在することが分かっています。
そのため、技術的に優れた検査機関であれば、この時期から鑑定を行うことが可能です。
一部で「妊娠10週以降」が推奨されることがありますが、これは主に染色体異数性を調べるNIPTの基準であり、親子鑑定の必須条件ではありません。
親子鑑定で最も重要なのは、妊娠週数そのものよりも「解析に必要なcffDNAが十分量あるか」という点です。
◇検査の精度:父権肯定確率99.99%以上
適切に実施された出生前DNA鑑定では、父権肯定確率(Probability of Paternity)が99.99%以上という結果が期待できます。
これは「鑑定対象の男性ではない、血縁のない別の男性が偶然同じDNA型を持つ確率が1万分の1以下である」ことを意味し、
生物学的な親子関係をほぼ確定的に証明する、非常に高い精度です。
早期検査で後悔しないための3つの注意点
「早く知りたい」という気持ちに応えてくれる早期検査ですが、確実な結果を得るために、 以下の点をご自身でしっかり確認することが大切です。
❶ 検査機関の信頼性を見極める
最も重要なポイントです。以下の基準を参考に、慎重に選びましょう。
国際認証(ISO17025,9001など)を取得している
国際認証は検査の品質管理体制が世界基準で認められている証です。
cffDNAの事前確認を行っている
検査前にcffDNAが十分量あるかを確認し、不足時は無料で再検査を提案してくれるかを確認しましょう。
cffDNAが不足したまま解析を強行することは誤判定の最大のリスクとなります。
検体の管理体制が徹底されている
検体の取り違えなどを防ぐため、身元確認やバーコード管理などが厳格に行われているかを確認しましょう。
専門家によるカウンセリング体制がある
検査前後の不安や疑問について、専門知識を持つスタッフに相談できる体制があると安心です。
❷ cffDNAの量が結果を左右すると理解する
cffDNAの量は個人差が大きく、同じ妊娠週数でも変動します。
信頼できる検査機関は、このcffDNA量を解析前に必ずチェックします。
もし量が足りなければ、結果の信頼性が担保できないため、解析を行わずに再採血を行います。
このプロセスこそが、検査の精度を保証する要となるからです。
❸ 精神的な準備を整える
どのような結果が出たとしても、それを受け止める必要があります。
妊娠中は精神的にもとてもナイーブな時期です。
可能であれば、事前にパートナーや信頼できる第三者に相談し、一人で抱え込まない環境を整えておきましょう。
【まとめ】信頼できる検査で、確かな一歩を
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最短検査時期 | 妊娠6週以降(ただし、cffDNA量が十分であることが前提) |
| 推奨される目安 | 妊娠7〜8週以降は、より多くの方でcffDNA量が安定する傾向にあります。 |
| 検査の精度 | 父権肯定確率99.99%以上 |
| 安全性 | お母さんの採血のみ。母子ともに身体的リスクはありません。 |
| 最も重要なこと | cffDNAの事前確認を行う、国際認証を持つ信頼性の高い検査機関を選ぶこと。 |
妊娠中「お腹の子の父親は誰なのか」という悩みは、精神的に大きな負担となりますよね。
その不安を少しでも早く解消し、安心してマタニティライフを送るために、出生前DNA鑑定は有効な選択肢となります。
大切なのは、焦って不確かな情報に飛びつくのではなく、ご自身の目で信頼できる機関を見極め、納得した上で検査を受けることです。
この記事が、あなたの次の一歩を考えるための助けとなることを願います。
【免責事項】
本記事は医学的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療に代わるものではありません。
検査の実施にあたっては、必ず専門の医療機関や検査機関にご相談ください。
【参考文献】
参考:Non-Invasive Prenatal Paternity Test with Fetal DNA from Maternal Plasma.参考:「品質保証の国際規格『ISO9001』の認証を取得」
参考:日本医学会 出生前検査認証制度等運営委員会
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著者
内野 沙弥香(うちの さやか)
看護師/医療ライター
看護師歴15年
三次救急病院の救命救急センター・ICUで8年間、急性期医療や重症患者の集中ケアに携わる。
その後、再生医療クリニックにて脂肪由来幹細胞の抽出や細胞培養・管理の経験を積む。
現在は訪問看護師として在宅医療の現場で働き、地域の予防医学や患者さんの生活支援にも注力している。
これまでの豊富な臨床経験を活かし、一般生活者にもわかりやすい医療情報の発信・啓発を心がけている。