【専門家が解説】新型出生前診断(NIPT)と従来の出生前診断の違いとは?

2025.10.28

NIPTとNIPPTの違いとは

~母体血清マーカー・羊水・絨毛検査との比較~

妊娠がわかると、多くの方が「おなかの赤ちゃんが健康に育っているだろうか」と気になるものです。そうした不安に寄り添い、赤ちゃんの染色体や遺伝子の状態を早期に知るために行われるのが「出生前診断」です。
出生前診断にはいくつかの種類がありますが、大きく分けると「従来の検査(母体血清マーカー検査・羊水検査・絨毛検査)」と、近年注目を集めている「新型出生前診断(NIPT)」があります。
今回は、それぞれの特徴や精度、リスク、そして対象となる異常の範囲を比較しながら、違いをわかりやすく解説します。

従来の出生前診断とは?

従来の出生前診断とは?

① 母体血清マーカー検査

母体の血液中に含まれる特定のタンパク質やホルモンの量を測定し、染色体異常のリスクを統計的に推定する検査です。
検査時期は妊娠15?18週頃で、採血のみで行えるため母体への負担は少ない一方、検査結果は「可能性の高低」を示すに過ぎません。

主に推定できる疾患:
ダウン症候群(21トリソミー)
エドワーズ症候群(18トリソミー)
パトウ症候群(13トリソミー)

② 羊水検査

妊娠15?18週頃に、超音波で確認しながら母体の腹部から細い針を刺して羊水を採取する検査です。羊水の中には胎児由来の細胞が含まれており、その染色体を直接調べることで確定的に診断ができます。

③ 絨毛検査査

妊娠11?14週頃に、胎盤の一部(絨毛)を採取して調べる検査です。羊水検査よりも早期に結果を得られるのが特徴の確定的な診断ですが、流産のリスクは羊水検査と同程度あります。

新型出生前診断(NIPT)とは?

新型出生前診断(NIPT)とは?

NIPT(Non-Invasive Prenatal Testing)は、母体の血液中に含まれる「胎児由来のDNA断片(cfDNA)」を解析することで、染色体や遺伝子の異常を推定する検査です。
採血だけで行える非侵襲的な検査であり、母体や胎児にリスクがほぼない点が最大の特徴です。

検査でわかること

基本的には以下の染色体異常を調べます。

  • 21トリソミー(ダウン症候群)
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群)
  • 13トリソミー(パトウ症候群)

施設によっては追加で以下も解析可能です。

  • 性染色体異常(例:ターナー症候群、クラインフェルター症候群)
  • 部分的な染色体欠失・重複症候群
  • 単一遺伝子疾患リスク検査(例:軟骨無形成症、嚢胞性線維症など)

単一遺伝子疾患リスク検査とは?

近年の技術進歩により、NIPTで染色体だけでなく、単一の遺伝子変異に起因する疾患のリスクも推定できるようになりました。
これらは従来の染色体検査では検出できなかったもので、次世代シーケンサー(NGS)技術により解析が可能になっています。

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比較表

項目 母体血清マーカー 羊水/絨毛検査 新型出生前診断(NIPT)
検査方法 採血 針で採取(侵襲あり) 採血のみ
検査時期 妊娠15?18週 妊娠11?18週 妊娠10週以降
精度 約80% ほぼ100% 約99%以上
リスク なし 流産リスクあり なし
結果の性質 確率的 確定的 高精度スクリーニング

どの検査を選ぶべき?

どの検査を選ぶべき?

どの検査を選ぶかは、「何をどこまで知りたいか」によります。

  • リスクを避けつつ概要を知りたい → NIPTまたは母体血清マーカー
  • 確定的な結果がほしい → 羊水検査/絨毛検査
  • 家族に遺伝性疾患がある場合 → 単一遺伝子疾患NIPT

検査を受ける際は、遺伝カウンセリングを受けて十分に理解することが重要です。

まとめ

まとめ

新型出生前診断(NIPT)は、母体や胎児への負担が少なく、高精度に染色体・遺伝子の異常を推定できる点で大きな進歩を遂げました。
一方で、NIPTは「確定診断」ではなく「スクリーニング検査」であり、陽性の場合は確定検査が必須です。
検査ごとの特徴を理解し、ご家族でよく話し合って選択することが何より大切です。

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【参考文献】

厚生労働省「母体血清マーカー検査に関する見解」
厚生労働省「いのちとの出会い 出生前検査の現状と課題」
出生前検査認証制度等運営委員会「絨毛検査とは」
厚生労働省「先端医療技術評価部会報告書(NIPT等)」
A Systematic Review of NIPT Accuracy ? MDPI, 2024
Comparison of NIPT Platforms for Screening Fetal Aneuploidy ? AJOG, 2021
Non-Invasive Prenatal Testing (NIPT): Reliability and Future Directions ? MDPI Diagnostics, 2023
Implementation of NIPT in Japan: A Qualitative Study ? IJERPH, 2022

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seeDNA遺伝医療研究所医学博士 富金 起範 著者

医学博士 富金 起範

筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発