【専門家が監修】親子DNA鑑定の精度はどのくらい?——仕組み・数値・選び方を一気に理解
2025.11.19
はじめに
親子DNA鑑定(父子鑑定)は、標準的な条件で99.99%以上の肯定確率が得られる極めて高精度の検査です。
分析には短い反復配列(STR)が用いられ、米国ではCODIS(Combined DNA Index System)のコア20座位を中心に多数のマーカーを照合します。法的鑑定では国際品質規格ISO9001など第三者認定の有無が信頼性の重要指標になります。
なぜそんなに当たるのか:科学的な仕組み
子は父母から半分ずつDNAを受け継ぎます。
鑑定では親子三者(または二者)のSTR座位を多数比較し、親子の不一致がないか、統計学(尤度比)で「親であるらしさ」を数値化します。
STRの基礎や系譜マーカー(Y-STR、mtDNA)の使いどころはNIST(National Institute of Standards and Technology)の教育リソースが分かりやすいです。
精度(確率)の目安
- 肯定(父である):複数座位の一致を統計統合すると、99.99%以上の親子肯定確率(Paternity Indexに基づく)が一般的です。これはISFG(国際法医学遺伝学会)の生物統計ガイドラインに沿って評価されます。
- 否定(父でない):複数座位で不一致が出れば事実上100%で否定できます(遺伝的に同一父である可能性が消失)。医療機関の解説でも、頬粘膜スワブで高精度な判定が一般利用されている旨が整理されています。
どれくらいの座位を調べる?:分析マーカーの実際
米国のCODISは20のコアSTR座位を標準とし、データベース拡大や偶然一致低減のため拡充されてきました。
民間キットでは20~35座位以上を一括解析することが一般的です。STRの詳細や座位一覧はNIST STRBaseで公開されています。
法的提出に必要な「品質」の基準
同じDNAでも、提出目的で要件が変わります。
- 法的鑑定(裁判・入管等):本人確認・採取立会い・チェーン・オブ・カストディが必須。AABBのRelationship Testing Accreditation(関係性テスト認定)は米国移民手続きにおいて受理条件となり、多くの州法でも要件化。検査機関の一覧や標準はAABBが公開しています。
- 国際標準(ISO9001):国際品質規格の第三者認定が運用し、多くの公的ラボがこの要件で運営されています。
精度に影響する要因(実務目線)
- 検体品質:口腔粘膜スワブが基本。劣化・混入はプロファイル欠落の原因に。NISTのラピッドDNA多施設研究でも、極少量DNAでは座位の充足率に影響が出ることが示唆されています。
- 統計処理の適切性:ISFGガイドライン準拠の尤度比(PI、CPI)計算と報告。
- 手続き管理:採取から報告までのチェーン管理と第三者認定(AABB、ISO/IEC 17025)。
よくある疑問Q&A
Q. 99.99%と100%の違いは?
A. 肯定は統計学的推定で限りなく1に近い確率を示し、否定は遺伝学的排除で明確に断定できます。基準はISFG勧告に準拠。
Q. 私的鑑定と法的鑑定で精度は違う?
A. 分析自体の精度は同じですが、本人確認や記録管理が法的鑑定では厳格です。法的提出の予定が少しでもあるなら、最初からISO認定を受けている検査機関を選びましょう。
Q. どこで受けられる?
A. 海外ではAABBが認定ラボ一覧を公開。利用前に最新の掲載状況を確認してください。
まとめ:賢い選び方
- 精度:多数のSTR座位解析+統計評価で99.99%以上が標準。
- 信頼性:AABB認定やISO/IEC 17025の有無、チェーン管理の明記を確認。
- 目的整合:法的提出予定なら最初から法的鑑定に。医療機関や公的情報源の説明も併読を。
【参考文献】
NIST STRBase(STR座位の基礎とCODISコア20)CODISコア座位拡張の背景(講義資料)
ISFG 生物統計ガイドライン(PDF/抄録)
AABB:認定ラボ一覧/関係検査標準/FAQ
ISO/IEC 17025(ANAB/A2LAの運用情報)
Cleveland Clinic(一般向け解説)/MedlinePlus(遺伝学全般)
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監修者
農学博士/研究員:L. J.
東京農工大学大学院で博士号取得後、東京大学にて研究員として勤務。
現在は生体情報科学を専門とし、seeDNAにてデータ解析や遺伝子検査の解析技術開発に携わっている。