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不妊治療と不妊治療の公的支援

不妊治療する夫婦

2023年までに生まれた不妊治療による子供の数は世界で1,200万人を超えると言われおり(*1)、2022年度には毎年250万件以上の生殖補助医療が行われていると報告されています(*2)。

日本でも不妊治療を受ける方が年々増加しており、2022年には体外受精で生まれた子どもが77,206人、新生児の9人に1人であったことが発表されました(*3)。

この記事では年々増加を続けている不妊治療、生殖補助医療と政府が実施している不妊治療の支援について、関連する政府機関のリンクを交えて解説します。

1.不妊治療とは

不妊治療とは、子どもを希望しているにもかかわらず、一定期間(一般的には1年以上)妊娠に至らない場合に行われる医療的な支援のことで、卵子と精子を体外で受精させ受精卵を子宮に戻す体外受精(IVF)や精子を卵子に直接注入する高度な治療法である顕微授精(ICSI)だけではなく、排卵の時期を予測し、自然妊娠の確率を高めるタイミング法や、精子を直接子宮内に注入し、受精の確率を上げる人工授精(AIH)などの施術も含まれます。

(1)不妊の原因

不妊には、排卵障害、精子の異常、卵管閉塞、加齢などさまざまな要因があり、要因に応じて様々な不妊治療が行われますが、一般的には自費診療となることが多いため高額な費用がかかります。不妊治療に悩む多くのカップルには経済的な負担が大きいために、出産率の低下に悩む日本でも深刻な課題となっています。そこで、日本政府と各自治体ではさまざまな支援制度を設け、治療を希望する夫婦が負担を軽減できるよう支援しています。

不妊に悩む夫婦

2. 不妊治療の公的支援制度

国内で受けられる不妊治療支援には、大きく分けて「不妊治療の助成制度」「保険適用の拡大」の2種類があります。

(1)不妊治療の助成制度

不妊治療の助成制度とは、自治体ごとに実施されていた助成金制度ですが、2022年に制度が大きく変更されました。これまでは、体外受精と顕微授精のみが助成対象でありましたが、2022年4月から下記のように対象者と助成額、治療方法など全ての面において保険適用範囲が大幅に拡大されました。

  • 対象者法律上の夫婦、および事実婚関係にあるカップル(自治体によって条件が異なる場合あり)
  • 助成額自治体ごとに異なりますが、1回の治療につき最大10万円程度の助成を受けられるケースが多い
  • 助成回数年齢や治療内容に応じて異なります(例:40歳未満は複数回、40歳以上は回数制限あり)
  • 対象治療人工授精、体外受精、顕微授精など

各自治体で助成制度が異なるため、詳しくは、各自治体のウェブサイトでご確認ください。
例えば、東京都では「東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業」を実施しています。 青森県では、少子化対策の一環として公的医療保険が適用される体外受精などの不妊治療を完全無償化しました(青森県不妊治療費助成事業)。

特に法律上の夫婦だけではなく、事実婚関係にあるカップルまでが対象になったのは注目すべきことで、いずれはLGBTカップルも助成事業の対象となる日がくるかもしれません。

(2)不妊治療の保険適用拡大

2022年4月から、不妊治療の一部が健康保険の適用対象となったことで、不妊治療を受ける人々の経済的負担が大幅に軽減されました。これまで自由診療で高額だった体外受精や顕微授精が、他の健康保険同様に3割負担で受けられるようになりました。

保険適用の主なポイントは以下のとおりです。

  • 対象年齢:治療開始時に43歳未満
  • 回数制限:40歳未満は6回、40歳以上43歳未満は3回まで
  • 対象治療:人工授精、体外受精、顕微授精、胚凍結保存・解凍胚移植など
  • 自己負担額:3割負担となるため、1回の治療費が数十万円から10万円以下に減少

多くのカップルは不妊治療だけではなく、個人の卵子凍結も簡単に治療を受けられるようになりました (厚生労働省 不妊治療に関する取組)。

3. その他の支援制度

法律により強制的に実施される制度ではありませんが、他にも、不妊治療に関連する様々な支援策が実施されています。

(1)休業制度・働き方支援

  • 不妊治療のための休暇制度:企業によっては不妊治療を目的とした特別休暇を設けている場合があります。
  • テレワークや時短勤務:厚生労働省は企業に対し、不妊治療を受ける従業員が働きやすい環境を整えるよう推奨しています。

(2)相談窓口の設置

  • 不妊専門相談センター:全国の自治体が運営し、不妊治療に関する悩みや医療機関の情報を提供しています。 (厚生労働省 不妊治療に関する取組)
  • 医療機関の無料相談:一部の病院では、治療前に無料でカウンセリングを受けられる制度があります。

4. まとめ

日本は、低い出産率により地方の人口が減り続けている代表的な国の一つです。新生児の数も2011年1,050、807人であったものが、77万人まで減少しています。(政府統計 人口動態調査)。

出生率を引き上げるためにも、不妊治療を希望するカップルの経済的・精神的な負担を減らすことが重要です。2022年の保険適用拡大は大きな変革であり、これまで自由診療だった高度不妊治療をより身近なものにしましたが、今後も、各種助成制度や保険適用の拡大、休業制度などの支援が必要です。

各自治体の助成制度も毎年アップデートされているので、不妊治療を検討している方は最新情報をご確認ください。

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よくあるご質問

Q.不妊治療とは何ですか?

A.
不妊治療とは、1年以上妊娠に至らないカップルに対して行われる医療的支援です。タイミング法・人工授精(AIH)・体外受精(IVF)・顕微授精(ICSI)の4段階があり、原因や状況に応じて治療法が選択されます。2022年度には世界で年間250万件以上の生殖補助医療が実施されています(3)。

Q.不妊治療の保険適用はいつから始まりましたか?対象範囲は?

A.
2022年4月から体外受精・顕微授精・人工授精・胚凍結保存などが健康保険の適用対象になりました。対象は治療開始時43歳未満で、40歳未満は6回、40〜42歳は3回まで保険適用を受けられます。自己負担は3割です(2)。

Q.不妊治療の助成金制度はどのような内容ですか?

A.
各自治体が独自に実施する助成金制度で、法律上の夫婦および事実婚カップルが対象です。1回の治療につき最大10万円程度の助成を受けられるケースが多く、年齢・治療内容により回数制限があります。東京都の「特定不妊治療費(先進医療)助成事業」や青森県の不妊治療費完全無償化などが代表例です。

Q.不妊治療中に利用できる休業制度はありますか?

A.
法律による強制制度ではありませんが、企業によっては不妊治療専用の特別休暇を設けています。厚生労働省は企業に対し、テレワークや時短勤務など不妊治療を受ける従業員が働きやすい環境整備を推奨しています(2)。

Q.不妊治療に関する相談はどこにすればよいですか?

A.
全国の自治体が運営する不妊専門相談センターで、治療の悩みや医療機関の情報を無料で相談できます。一部の医療機関では治療前の無料カウンセリングも実施しています。詳細は厚生労働省の「不妊治療に関する取組」ページで確認できます(2)。