【医師が解説】プラダー・ウィリ症候群とは

はじめに

はじめに

出生前検査をご検討中の妊婦の皆さまへ。
お腹の赤ちゃんの健康について関心をお持ちのことと思います。

今回は、妊娠中に知っておいていただきたい遺伝的疾患の一つ、 プラダー・ウィリ症候群(Prader-Willi Syndrome: 以下PWS)について、分かりやすく解説いたします。

基本知識

基本知識

PWSは、1956年に肥満、糖尿病、低身長、性腺機能不全などの内分泌学的異常、 および、発達遅滞、筋緊張低下、特異な性格障害や行動異常などの神経学的異常を呈する症候群として初めて報告された先天性遺伝子疾患で、 現在では約15,000人に1人の頻度で発症することが知られています。※1
発症メカニズムとしては、下記の通りです。※1

近年の研究により、15番染色体のインプリンティング領域(父親由来の遺伝子だけが働く)にある 「SNORD116」という遺伝子の働きが失われることが、 PWSの発症において極めて重要な要因である可能性が高いと考えられています。※4

大多数の症例に遺伝性はなく、受精後に偶発的に起こるものと考えられています。※1

症状と特徴

症状と特徴

◇ 年齢による症状の変化

PWSの症状の特徴は年齢とともに変化し、かつ個人差も大きいことです。※4

◇ 身体的特徴

顔面の特徴としては、前頭部幅径の狭小化、アーモンド形の眼瞼裂、狭い鼻梁、薄い上赤唇などが見られます。
これらの特徴は出生時に明らかにみられる場合もあれば、そうでない場合もありますが、 一般的に時間の経過とともに徐々に顕著になっていきます。※2

その他にも脊柱側彎症(40-80%)、斜視(40-60%)などの身体的特徴を呈することがあります。※2

予後と生活の質

治療とケア

適切な管理によりPWS患者の予後は改善し、コホート研究では年間死亡率がおよそ1〜1.3%と報告されています。※6
小児期の主な死因は呼吸不全や感染症に伴う突然死であり、 成人期では心疾患・心不全、肺血栓塞栓症、肥満関連合併症、胃の問題(胃破裂、胃壊死)などが報告されています。※2

多くの患者は軽度の知的障害を示しますが、約40%は境界域から正常低値の知能を示します。※2
学童期以降は福祉就労が目標になりますが、知的能力に比べると、職場での適応に問題が多いと言われています。※1
性格は、年齢を経るに従い、可愛いから、しつこい、頑固、パニック、暴力へとエスカレートすることがあり、 行動異常では、万引き、嘘を言うなどの反社会的行動が目立ち、社会の中で適応が困難となることがあります。※3

治療とケア

治療とケア

まとめ

PWSは、15番染色体の異常によって起こる遺伝性疾患です。
新生児期には筋肉の緊張が弱く、 力の入りにくさが目立ちますが、成長するにつれて過食や肥満、特有の行動面の特徴が現れるようになります。
このように、症状が年齢に応じて変化していくことが大きな特徴です。
現在は、早期に発見して適切に管理することで、患者さんの生活の質は大きく改善されるようになりました。
治療や支援の中心には、食事療法・運動療法・ホルモン治療などの医療的対応があり、 さらに重要なのはご家族を含めた継続的な支援体制です。

こうした医療の進歩と包括的なサポートの整備により、現在では多くの患者さんが安定した生活を送ることが可能になっています。

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【参考文献】

※1:難病情報センター「プラダー・ウィリ症候群(指定難病193)」 ※2:GRJ プラダー・ウィリ症候群 ※3:小児慢性特定疾病情報センター「プラダー・ウィリ(Prader-Willi)症候群」 ※4:日本小児内分泌学会「プラダーウイリ症候群コンセンサスガイドライン」 ※5:J Clin Res Pediatr Endocrinol, Sep. 2018. ※6:Orphanet J Rare Dis., Nov. 2019.

著者

医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)


医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。