【不倫の証拠】服に付いたシミは精液か? 科学的に確認する方法と検査の正確性
2025.11.02
はじめに:見た目では判断できない「シミ」の正体
衣服に残った不明なシミが「精液かもしれない」と気づくと、多くの人は戸惑うでしょう。
しかし、肉眼での判断は不可能です。光の反射や洗濯の影響で、他の体液や食品のシミと区別がつかないからです。
法科学では、こうした場合に「化学的検査」や「DNA分析」を行い、精液の有無や由来を特定します。
精液確認の主な科学的手法
1. 紫外線(UV)・可視光によるスクリーニング
暗室で紫外線ライトを当てると、精液は青白く蛍光することがあります。
これはスクリーニング(一次検査)として便利ですが、
他の物質(洗剤・皮脂・飲料)も蛍光するため確定はできません。
簡易的な目印に留めるのが賢明です。
2. 酸ホスファターゼ(AP)検査:最も古典的な簡易法
精液中の酵素「酸ホスファターゼ」と反応する試薬を用い、
紫や青に変色すれば陽性と判断します。
メリットは手軽で安価、わずかなサンプルでも反応する点。
デメリットは、唾液や植物由来物質でも反応してしまう可能性があること。
そのため、「精液らしい反応」とみなす仮判定に使われます。
3. PSA(p30)検査:前立腺特異抗原を検出
PSA(Prostate-Specific Antigen)は精液中に多く含まれるタンパク質です。
免疫学的キット(例:ABAcard p30)で検出する方法は、 現在、多くの法科学ラボで使われています。
特異性が高く、数分で結果が出るのが特徴。
ただし、PSAは一部の尿や体液にも微量に含まれるため、
確定検査ではなく確認的検査として扱われます。
4. RSID-Semen(セメノゲリン検出):高特異度の最新技術
近年主流になっているのが、精液特異タンパク「セメノゲリン」を検出するRSID-Semenキットです。
これは人の精液に特異的で、他の体液との交差反応が少なく、
信頼性が非常に高い方法として評価されています。
現場でもラボでも扱いやすく、法的鑑定の一次確認にも用いられます。
5. 顕微鏡による精子確認
試料をスライド上で観察し、精子の頭部や尾部を確認する方法です。
精子が確認できれば決定的証拠になります。
ただし、精子が存在しない(無精子症や劣化など)場合もあるため、
「見えない=精液でない」とは断定できません。
顕微鏡観察は専門家の技術が求められます。
6. DNA型検査:最終的な確定法
精液が疑われるシミからDNAを抽出し、STRやY-STR型で分析します。
これにより「人の体液か」「男性由来か」「誰のものか」を明確に判断可能です。
法的証拠として最も強力ですが、費用・時間・手続きが必要です。
特に訴訟や捜査の場面では、チェーン・オブ・カストディ(証拠の管理記録)が重要です。
現場での対応と注意点
精液の有無を確認したい場合は、以下を守ることが重要です。
- 洗わない・こすらない(DNAが破壊される)
- 乾燥させて保存(湿気でDNAが劣化)
- 写真で記録(全体と拡大の両方)
- 公的機関または法科学ラボに相談(自己判断せず専門家へ)
法科学的検査の選び方
| 目的 | 推奨検査 | 理由 |
|---|---|---|
| 個人的な確認 | RSID-Semen または PSA 検査 | 高特異度・短時間 |
| 捜査・法的証拠 | DNA型検査+顕微鏡観察 | 科学的確定力が最も高い |
まとめ:科学でしか「真実」は確定できない
衣服のシミが精液かどうかは、感覚や外見では判断できません。
化学的・法科学的手法のみが信頼できる証拠を示します。
検査目的(個人的か法的か)によって、選ぶ手法を変えることが大切です。
正しい知識と冷静な対応が、無用な誤解やトラブルを防ぎます。
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【専門スタッフによる無料相談】
著者
医学博士 富金 起範
筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発