リライティング日:2025年08月30日
出生前DNA鑑定(NIPPT)の費用相場は9.8万〜25万円。検査精度・cfDNA管理体制・採血費用・報告書の有無などで料金差が生じるため、価格だけでなく信頼性を含めた総合比較が重要です。
はじめに

出生前DNA鑑定(NIPPT:出生前親子鑑定)の費用は、検査機関によって大きく異なります。費用が安いという理由だけで選んでしまうと、正確な結果が得られないリスクがあるため、慎重な判断が求められます。費用面だけでなく検査体制に対する信頼性を含めて、総合的に比較・検討することが大切です。[ref:1]
NIPPTは妊娠中に母体の血液から胎児のDNAを抽出し、父子関係を科学的に判定する検査です。従来の侵襲的な方法(羊水穿刺や絨毛検査)と異なり、母体や胎児にほとんど負担をかけずに実施できるため、近年急速に普及が進んでいます。しかし、検査の精度や信頼性は検査機関ごとの技術水準・管理体制に大きく左右されるため、費用だけで判断するのは避けるべきです。[ref:5]
この記事では、NIPPTの費用相場から料金に差が生まれる具体的な理由、そして検査機関を選ぶときの注意点まで、専門的な視点から詳しく解説します。
出生前DNA鑑定の費用相場に関する概要

一般的なNIPPT費用の相場は、98,000円〜250,000円程度で、検査機関によってかなりの金額差があります。さらに同じ検査機関であっても、検査の精度や採血体制、報告書の有無などによって金額が変わるため、単純な価格比較だけでは正しい判断ができません。
医療機関で採血を行う場合は、別途2,000円~22,000円程度の費用が追加でかかる場合もあります。自社で採血対応が可能な機関では基本料金に含まれていることもありますが、提携医療機関での採血を指定する場合は別途費用が発生するケースが一般的です。[ref:2]
また、再検査の保証や迅速な結果報告・特殊な検体への対応など追加オプションを利用する場合は、基本費用同等の追加料金が発生することもあるため注意が必要です。たとえば、結果を急ぐ場合の特急オプションには2万〜5万円程度の追加費用がかかることがあり、父親候補の検体が特殊検体(爪・毛髪・タオルなど)の場合にも別途料金が発生します。[ref:2]
NIPPT(出生前親子鑑定)とは?

NIPPT(Non-Invasive Prenatal Paternity Test)は、妊娠中の母親の血液を採取して行う非侵襲的な親子鑑定検査です。採取した血液から胎児由来のDNA(cfDNA:cell-free DNA)を抽出し、父親と思われる男性のDNAと比較することで、父子関係を科学的に判定します。[ref:1]
妊娠6週以降になると胎盤を通じて胎児由来のcfDNAが母体血中に放出されるため、母体や胎児に負担をかけず検査が行えるのが最大の特徴です。従来の羊水穿刺や絨毛検査では流産リスク(約0.1〜0.5%)が存在しましたが、NIPPTは採血のみで完結するため、こうしたリスクを回避できます。[ref:5]
適切な検査機関であれば99%以上の高い精度が期待できます。ただし、この精度はcfDNAの十分な量が確保されていることが前提であり、cfDNA濃度が低い場合には再検査が必要になることもあります。そのため、cfDNA濃度の事前チェック体制が整った検査機関を選ぶことが重要です。[ref:1][ref:6]
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出生前DNA鑑定の費用相場
各社の公開情報を調査したところ、NIPPTの費用相場は以下のとおりでした。
| サービス内容 | 費用の目安 |
|---|---|
| 標準検査(1名の父親検体) | 約9.8万~25万円 |
| 迅速な結果報告オプション | +2万~5万円 |
| 再検査保証付きプラン | +0~3万円 |
| 医療機関での採血費用 | +2,000円~22,000円 |
標準的な検査(1名の父親検体)では9.8万円から25万円が相場です。基本料金だけでなく追加費用も含めた総額で比較することが大切です。主要な検査機関の詳細は以下のとおりです。
seeDNA
- 料金:99,800円
- 疾患リスクオプション(NIPT):無料
- 早期オプション:妊娠6週目のみ+33,000円、7週以降は追加費用なし
- 特急オプション:+20,000円(4~8営業日)
- 綿棒以外の特殊検体:+33,000円
- 再検査費用:無料再検査または30%返金保証
- 採血費用:+3,000円~5,000円
- 返金:キット発送前4%、キット発送後は50%(上限5万円)差引
ヒロクリニック
- 料金:98,000円
- 疾患リスクオプション(NIPT):+98,780円
- 早期オプション:妊娠6~8週は+33,000円、9週以降は追加費用なし
- 特急オプション:+33,000円(3~7営業日)
- 綿棒以外の特殊検体:詳細は要相談
- 再検査費用:無料再検査または互助会加入で羊水検査補助
- 採血費用:本院以外は+22,000円
- 返金:お申込み後、キャンセル不可
法科学鑑定研究所(DNA Japan)
- 料金:129,800円
- 疾患リスクオプション(NIPT):対応不可
- 早期オプション:妊娠7週から検査可能(追加費用なし)
- 特急オプション:対応なし(7~11営業日)
- 綿棒以外の特殊検体:+28,000円(一部無料)
- 再検査費用:+28,000円(無料再検査のケースもあり)
- 採血費用:詳細は要問合せ
- 返金:条件を満たせば返金対応あり(詳細は要問合せ)
2025年7月31日時点
※法科学研究所とDNAジャパンは住所と代表が同じなので、一つの会社として取り扱います。
上記の比較から分かるように、基本料金が近い場合でも、疾患リスクオプション(NIPT)の有無、特急対応の料金、採血費用、キャンセルポリシーなどに大きな違いがあります。一旦入金をすると一切キャンセルできない検査機関もあるため、事前確認が不可欠です。[ref:1]
特にseeDNAでは疾患リスクオプション(NIPT)が無料で付帯される点が特徴的であり、出生前親子鑑定と同時に胎児の染色体異常リスクも確認できるため、トータルコストで見ると大きなメリットがあります。[ref:2]
費用差が生まれる理由とは?
検査の解析精度・マーカー数
NIPPTの検査費用に差が生じる主な要因の一つが、解析の精度と調べられるDNAマーカーの数および質の違いです。NIPPTでは数百から数千のSNP(一塩基多型)と呼ばれるDNA領域を調べ、母体・胎児・父親検体のDNAを比較して親子関係を判定します。[ref:1]
一般的に、数多くかつ質の高いマーカーを用いるほど、より精度の高い判定が可能です。ただし、単にマーカー数が多いだけでは不十分で、マーカーの選定基準や解析アルゴリズム、統計処理の手法も重要な要素です。次世代シーケンシング(NGS)技術を用いた解析は従来のマイクロアレイ法よりも多くの情報を取得できますが、その分コストも高くなります。[ref:5][ref:6]
cfDNAの検出管理体制
cfDNA検出の管理体制も料金に大きく影響します。妊娠中は胎盤の栄養膜細胞が分解されることで胎児由来のcfDNAが母体血中に放出されますが、その濃度は全cfDNAのうちわずか数%〜十数%程度にとどまります。[ref:1][ref:6]
信頼性の高い検査機関では、cfDNA濃度を事前にチェックし、基準値以下の場合は再検査を実施する体制を整えています。「胎児分画(fetal fraction)」が通常4%程度を下回る場合、正確な判定が困難と判断され、再採血・再検査が推奨されます。しかし、一部の検査機関ではcfDNAが不足していても判定結果を提示する場合があり、誤判定のリスクにつながるため注意が必要です。[ref:7]
適切な管理体制を維持するには専門スタッフと設備投資が必要であり、管理費が費用に反映されます。ISO9001などの国際品質規格を取得している検査機関は、品質管理プロセスが第三者機関により認証されているため、より高い信頼性が期待できます。[ref:3]
採血費用
採血費用は、検査機関の運営体制によって大きく異なります。NIPPTの採血では通常の血液検査よりも多い量(約20〜30mL程度)の血液を、cfDNAの分解を防ぐ安定剤入りの専用採血管に採取する必要があります。自社で採血対応できる機関は無料〜5,000円程度、提携医療機関での採血は3,000円〜22,000円程度が相場です。[ref:2]
報告書・法的文書の有無
NIPPTの検査結果は「私的鑑定」と「法的鑑定」の2種類があります。私的鑑定は個人的な確認目的で比較的簡易な報告書が通知されます。一方、法的鑑定は裁判や認知手続きで証拠として使用することを想定しており、本人確認や第三者立会いなどより厳密なプロセスが必要になるため、費用も高くなる傾向があります。将来的に法的な証拠として使用する可能性がある場合は、法的鑑定に対応した検査機関を選択してください。
見積もり時に注意すべきポイント
検査機関を選ぶ際に後悔しないためには、以下のポイントを事前に確認しておくことが重要です。
- 検査機関の公式サイトで基本料金とサービス内容を確認する
- 追加費用(送料・採血費・報告書作成費・特急オプションなど)の有無を問い合わせる
- cfDNA濃度チェック体制や再検査保証の内容を確認する
- キャンセルポリシーと返金条件を確認する
- 結果報告までの期間と報告書の種類(私的/法的)を確認する
- 総額を算出し、複数の検査機関と比較検討する
基本料金以外に送料や採血費、報告書作成費が別途必要か?
検査費用の総額を正確に把握するためには、項目ごとに費用を明確にしておくことが大切です。ウェブサイトの料金が基本料金のみの場合、実際の支払額はそれよりもかなり高くなる可能性があります。再検査時の追加費用や、父親候補が複数いる場合の検体追加料金も事前に確認しましょう。[ref:2]
結果が出るまでの期間も事前に調べておく
通常は7〜14営業日程度かかりますが、追加費用を支払うことで3〜8営業日程度に短縮できる場合があります。急いで結果を知りたい場合は、特急オプションの有無と料金を確認しましょう。ただし、cfDNA濃度の不足等により通常より日数がかかることもあります。
極端に安価な業者には注意
相場を大幅に下回る料金には注意が必要です。胎児分画の事前チェック省略、SNPマーカー数の不足、再検査保証がないといった問題が考えられます。海外ラボへ検体を送付する形式の場合、輸送中のcfDNA劣化リスクや個人情報管理の不安もあります。ISO9001やプライバシーマークなどの第三者認証の取得状況、検査実績なども含めて総合的に判断してください。[ref:3][ref:4]
まとめ
出生前DNA鑑定費用の相場は9.8万円から25万円で、検査精度や管理体制、サービス内容によって料金に差が生まれます。安価な検査には精度や体制面でリスクもあるため、料金だけでなく総合的な判断が必要です。検査機関を選ぶ際は、以下の点を総合的に評価しましょう。
- cfDNA濃度(胎児分画)の事前チェック体制が整っているか
- 再検査保証や返金保証の制度があるか
- ISO9001やプライバシーマークなどの第三者認証を取得しているか
- 追加費用を含めた総額が明確に提示されているか
- キャンセルポリシーが合理的であるか
- 専門スタッフによる相談窓口が設けられているか
「安いから」ではなく「正確な検査結果」という視点で検査機関を選び、信頼性と価格のバランスを見極めることが大切です。出生前DNA鑑定は人生に関わる重要な検査であるからこそ、費用対効果を冷静に比較し、最も信頼できる検査機関を選択してください。[ref:1]
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よくあるご質問
Q1. NIPPTの費用相場はいくらですか?
A. NIPPT(出生前親子鑑定)の費用相場は、標準的な検査(1名の父親検体)で約9.8万円〜25万円程度です。ただし、採血費用、特急オプション、特殊検体対応、報告書作成費などの追加費用によって総額は変動します。検査機関を選ぶ際は、基本料金だけでなく追加費用も含めた総額で比較することが重要です。
Q2. NIPPTはいつから受けられますか?
A. NIPPTは一般的に妊娠6〜7週以降から受けることが可能です。これは妊娠6週頃から胎児由来のcfDNA(cell-free DNA)が母体の血液中に十分な量で検出されるようになるためです。ただし、妊娠早期(6〜8週)の検査には追加費用が発生する検査機関もあるため、事前に確認しておきましょう。
Q3. 検査結果が出るまでどのくらいかかりますか?
A. 通常は検体到着から7〜14営業日程度で結果が報告されます。追加費用を支払うことで結果報告を早めることができる特急オプションを提供している検査機関もあり、その場合は3〜8営業日程度に短縮されることがあります。ただし、cfDNA濃度の不足により再検査が必要になった場合は、さらに日数がかかる可能性があります。
Q4. 検査機関によって費用に差があるのはなぜですか?
A. 費用差が生じる主な理由は、解析精度(使用するDNAマーカーの数と質)、cfDNA濃度の事前チェック体制、採血費用の設定、報告書の種類(私的鑑定/法的鑑定)、再検査保証の有無、品質管理体制(ISO認証など)の違いです。高精度な検査や充実した品質管理体制を維持するためにはコストがかかるため、料金に反映されます。
Q5. 極端に安い検査機関を選んでも大丈夫ですか?
A. 相場を大幅に下回る価格で提供されている検査には注意が必要です。cfDNA濃度の事前チェックが省略されている、使用するSNPマーカー数が少ない、再検査保証がないといった問題がある可能性があります。出生前DNA鑑定は人生に関わる重要な検査ですので、料金の安さだけでなく、検査精度や品質管理体制、第三者認証の取得状況なども含めて総合的に判断してください。
Q6. NIPPTの結果は法的に有効ですか?
A. 検査の種類によります。「私的鑑定」は個人的な確認を目的としたもので、そのままでは法的な証拠として認められない場合があります。一方、「法的鑑定」は本人確認の厳格な手続きや第三者立会いのもとでの採血などが行われるため、裁判や認知手続きなどの法的場面で証拠として使用できます。将来的に法的な利用を予定している場合は、法的鑑定に対応した検査機関を選びましょう。
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著者
久松綾香
助産師・看護師として10年以上の臨床経験を有し、総合病院および産婦人科クリニックにて周産期医療に従事。
妊婦健診や分娩介助、産後ケアに加え、不妊治療を受ける方の支援など、幅広いライフステージに対応したケアを実践してきた。アロマセラピストの資格を活かし、妊産婦に対する補完代替療法の分野にも取り組んでいる。医療と自然療法の両面から、女性の心身に寄り添うケアを提供している。