【医師が解説】NIPT(新型出生前診断)で妊娠合併症や流産は起きる?羊水検査とのリスクの違いと安全性

2026.05.28

結論

NIPT(新型出生前診断)が原因で妊娠合併症や流産が起きる医学的な根拠はありません。妊婦の腕から少量の血液を採取するだけの検査であり、子宮への直接的な侵襲がないためです。

NIPTによる妊娠合併症のリスクは存在するのか?

NIPTによる妊娠合併症のリスクは存在するのか?

NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)は、母体の腕からの採血のみで完結する安全性の高い検査です。検査の手技が原因で、流産や感染症といった妊娠合併症を引き起こすことは原理的にありません。

NIPTとは?検査の仕組みと安全性の理由

NIPTとは?検査の仕組みと安全性の理由

NIPTは、母体の血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析するスクリーニング検査です。

  • cffDNAとは:胎盤の細胞が自然に老化・崩壊する際に、母体の血液中へ放出されるDNAの小さな断片です。分娩後数時間以内には自然に消滅します。
  • 検査の時期:妊娠10週以降になると、母体血液中のDNA全体の平均10〜20%をcffDNAが占めるようになり、安定した検査が可能となります。
  • 検査の方法:妊娠10週以降に採血を行い、次世代シーケンシングという最先端技術を用いてcffDNAを解析します。
  • 対象疾患:ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)などの染色体異常リスクを調べます。

羊水検査・絨毛検査との違い:なぜNIPTは合併症がないのか

NIPTと確定診断(羊水検査・絨毛検査)の決定的な違いは、「子宮に直接針を入れるか否か」です。

項目 NIPT 羊水検査 絨毛検査
検査手法 腕からの血液採取 超音波ガイド下で腹部から子宮へ針を刺し、羊水を約20mL採取 腹部または子宮頸部から胎盤組織を採取
検査時期 妊娠10週以降 妊娠15週以降 妊娠10〜14週ごろ
流産リスク 0%(構造的に存在しない) 0.1〜0.3% 0.1〜0.3%

確定診断となる羊水検査や絨毛検査は、子宮内に直接針を進める処置を伴うため、流産・感染・羊水漏出・出血といったリスクが存在します。一方のNIPTは採血のみであるため、お腹に針を刺す操作による合併症リスクが構造的に存在しません。

NIPTの安全性を裏付ける医学的根拠・論文データ

NIPTの安全性を裏付ける医学的根拠・論文データ

NIPTが安全であるという事実は、世界中の大規模な臨床研究によって証明されています。

  • 15,841名を対象とした大規模研究:2015年に医学誌「New England Journal of Medicine」で発表された研究では、欧米など6カ国35施設の妊婦において、採血だけで行うNIPTによる流産・感染・子宮への有害事象は1例も報告されませんでした。
  • 41本の論文の統合分析:NIPTに関する41本の論文を統合分析した研究においても、母子ともにNIPTに伴う有害事象がなかったことが確認されています。

NIPTを受ける際の注意点

NIPTは子宮や胎児への直接的な侵襲が一切ない安全な検査ですが、位置づけは「スクリーニング検査」です。検査結果が高リスク(陽性)となった場合は、結果を確定させるために羊水検査などによる確定診断が推奨されます。

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FAQ(よくある質問)

Q. NIPTを受けることで流産する確率はどのくらいですか?

A. NIPTの検査手技が原因で流産する確率は0%です。腕からの採血のみで行うため、お腹に針を刺すことによる流産や感染のリスクは存在しません。

Q. NIPTは妊娠何週目から受けられますか?

A. 妊娠10週以降から検査が可能です。妊娠10週ごろになると、検査に必要な胎児由来のDNA(cffDNA)が母体の血液中に平均して10〜20%含まれるようになり、安定した解析ができるためです。

Q. NIPTの結果が陽性(高リスク)だった場合はどうすればよいですか?

A. NIPTはスクリーニング検査であるため、結果を確定させるには羊水検査などの確定診断を受けることが推奨されます。

【参考文献】

Lancet. 1997 Aug
Ultrasound in Obstetrics & Gynecology. 2015 Jan
Ultrasound in Obstetrics & Gynecology. 2019 Oct
The New England Journal of Medicine. 2015 Apr
BMJ Open. 2016 Jan

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著者

医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)


医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。

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