リライティング日:2025年12月25日
病院では出生前親子DNA鑑定(NIPPT)を実施していない理由と、専門検査機関での正しい受検方法、私的鑑定・法的鑑定の違い、申し込み前の確認ポイントを詳しく解説します。
―病院で検査できない理由と正しく検査するための要点

「お腹の赤ちゃんの父親は誰なのか調べたい」と考えたとき、多くの人がまず思い浮かべるのが「病院で検査してもらえるのだろうか?」という疑問です。
結論から言うと、病院では出生前の親子鑑定(出生前DNA鑑定)は行っていません。これは日本だけに限った話ではなく、世界的にも出生前親子鑑定は医療行為ではなく「身分関係の確認」を目的とした検査であるため、通常の診療科で対応するものではないとされています。(1)
本記事では、医療機関で対応できない具体的な理由、検査を希望する場合に知っておくべき手順と注意点、さらには私的鑑定と法的鑑定の違いまで、出生前DNA鑑定に関する情報をわかりやすく解説します。検査を検討されている方は、正しい知識を持ったうえで安心して判断できるよう、ぜひ最後までお読みください。
病院では父子鑑定を行わない理由

病院で行う検査は、母体や胎児の健康状態を評価すること、あるいは妊娠経過の異常の有無を調べることなど、「診断・治療」を目的としたものが中心です。妊婦健診で行われる超音波検査や血液検査は、すべて母子の安全を守るための医療行為として位置づけられています。
一方、出生前の親子鑑定は、「誰が生物学上の父親なのか」を確認することや、裁判や公的機関での証明に使うことが主な目的です。つまり身分関係の確認が主な目的であり、医療保険の対象となる診療とは位置づけが根本的に異なります。健康保険が適用される医療行為は「傷病の治療または予防」に限定されており、父子関係の確認はこの範囲には含まれません。
病院が出生前父子鑑定を行わない背景には、以下のような複合的な要因があります。(1)
- 法的リスク
父子関係の確認は、離婚訴訟・認知請求・養育費請求・相続問題など、法的トラブルと極めて強く関連する領域です。万が一、鑑定結果をめぐって訴訟が発生した場合、鑑定を実施した病院側に重大な責任が及ぶ可能性があります。医療機関にとって、本来の診療目的から外れた行為で法的責任を負うことは大きなリスクとなります。 - 倫理的問題
出生前の父子鑑定は、家庭内の深刻な問題や心理的ストレス、場合によってはDV(ドメスティック・バイオレンス)のリスクなど、非常にデリケートな背景を含むケースが少なくありません。産婦人科の医療スタッフが本来担うべき「母子の健康を守る」という役割とは異なる次元の問題であり、医療機関が積極的に関与しにくい領域です。(2) - 医療事故やリスク管理の観点
出生前DNA鑑定の検体採取は母体からの採血のみで完結しますが、この採血は「医療目的」ではないという特殊な位置づけになります。万が一、採血時にアレルギー反応や感染症などのトラブルが起きた場合、医療目的ではない行為に対する責任の所在が曖昧になり、病院にとって深刻な問題に発展する可能性があります。こうしたリスク管理上の理由からも、病院は出生前親子鑑定を自院のサービスとして提供することに慎重にならざるを得ないのです。
さらに、厚生労働省が公表している出生前検査に関する資料でも、出生前遺伝学的検査は医療目的に限定して議論されており、親子鑑定の実施についてはガイドラインの範囲外として扱われています。 このような制度的な背景も、病院が父子鑑定を行わない一因となっています。(1)
お腹の赤ちゃんの父親を調べる方法は

現在もっとも一般的に利用されている方法が、非侵襲的出生前親子鑑定(NIPPT:Non-Invasive Prenatal Paternity Test)です。 この検査技術は、母体の血液中に含まれる胎児由来のセルフリーDNA(cell-free fetal DNA、略称cff DNA)を高精度で解析し、父親候補のDNAと比較することで親子関係を統計的に評価する仕組みです。(3)(4)
胎児由来のセルフリーDNAは、妊娠初期から母体血中に存在しており、妊娠の進行とともにその濃度が上昇していきます。NIPPTではこのcff DNAを次世代シーケンシング(NGS)技術などの最先端解析手法を用いて読み取り、父親候補の遺伝情報と照合します。統計学的な手法を駆使することで、99.99%以上の精度で父子関係の有無を判定することが可能とされています。(3)
従来、出生前に親子関係を調べるためには羊水穿刺や絨毛採取といった侵襲的な検査が必要でした。これらの検査は子宮に針を刺す必要があるため、わずかながら流産のリスクを伴います。一方、NIPPTは母体からの採血のみで完結するため、胎児へのリスクが極めて低いという画期的な利点があります。(4)
ただし、日本においてNIPPTは医療検査としては認可されておらず、あくまで民間サービスとして位置づけられています。そのため、健康保険は適用されず、費用は全額自己負担となります。また、検査を受けられる妊娠週数には制限があり、一般的には妊娠9週目以降が推奨されています。検査機関によって対応可能な週数は異なるため、事前の確認が重要です。
では、どこで受けられるのか
お腹の赤ちゃんの父親を調べる検査は、専門のDNA検査機関で行われます。 病院ではなく検査機関が担う理由は、前述のとおり法的・倫理的な背景がありますが、それに加えて、DNA親子鑑定には医療とは異なる専門的なノウハウが必要だからです。(5)
信頼性の高い専門検査機関には、以下のような体制が整えられています。
- DNA解析の専門チームが在籍 ─ 分子生物学や遺伝学の知識を持つ専門スタッフが検査から結果報告まで一貫して対応します
- 妊娠週数に応じた検査可否の判断 ─ 胎児由来DNAの濃度は妊娠週数によって変動するため、適切な時期の判断が精度に直結します
- 法的利用を想定した証拠管理(チェイン・オブ・カストディ) ─ 検体の受け渡しから解析結果の保管まで、厳密な管理体制で法的証拠能力を担保します
- 国際品質基準に準拠した検査環境 ─ ISO認証やAABB認定など、国際的な品質基準を満たした検査室で解析を実施します(5)
- 個人情報保護の徹底 ─ 遺伝情報という極めてセンシティブなデータを取り扱うため、プライバシーマークの取得など高水準の情報管理が求められます
検査の基本的な流れ
出生前DNA鑑定は、以下のステップで進みます。初めての方でも安心して受検できるよう、多くの検査機関では各ステップで丁寧なサポートを提供しています。
- Webまたは電話で申し込み ─ 検査の種類(私的/法的)や妊娠週数などを確認し、最適なプランを選択します
- キット受取り ─ 検査キットが自宅に届きます。父親候補の検体(口腔内スワブなど)はこのキットで採取可能です
- 採血(提携医療機関)→ 検体返送 ─ 母体血の採血は提携医療機関で実施します。採血後、キットとともに検査機関へ返送します
- DNA解析・結果確認 ─ 検査機関の専門ラボでDNA解析が行われ、結果が通知されます。通常、検体到着後5〜10営業日程度で結果が出ます
検査の申し込みや詳細については、seeDNA遺伝医療研究所の公式サイトからご確認いただけます。
\お腹の赤ちゃんの父親がわかる/
採血だけ病院で行われる理由
出生前DNA鑑定に必要なのは母体血であり、採血は医療行為です。日本の法律では、静脈からの採血は医師または看護師など医療資格を持つ者のみが実施できる行為と定められています。そのため、DNA検査機関が自ら採血を行うことはできず、以下の形で協力医療機関が関与する仕組みとなっています。
- 検査機関が契約した提携医療機関で採血を実施
- 検査機関が発行した採血指示書に基づき、医療機関は採血のみを実施
- 採血後の検体は専用の保冷容器に入れ、検査機関へ返送される
つまり、検査そのものは病院で行えないが、採血は医療行為として病院が担当するという明確な役割分担がなされています。病院は「採血」という医療行為のみを担い、DNA解析や結果報告には一切関与しません。これにより、病院は法的リスクを最小限に抑えつつ、検査の安全性が確保される仕組みです。
なお、採血に使用する専用チューブには、血液中のDNAを安定的に保存するための特殊な保存液が含まれています。これにより、採血から検査機関に届くまでの間にDNAが劣化することなく、高精度な解析が可能となります。
私的鑑定と法的鑑定の違い
出生前DNA鑑定には大きく分けて、私的鑑定(個人的確認)と法的鑑定(裁判・調停・入管提出)の2種類があります。 どちらを選ぶかは、鑑定結果をどのような目的で使用するかによって決まります。(6)
私的鑑定は、自分自身の安心のために親子関係を確認したい場合に利用されます。裁判所や行政機関への提出は想定されておらず、あくまで個人的な確認に限定されます。一方、法的鑑定は、鑑定結果を裁判所・家庭裁判所・入国管理局などの公的機関に証拠として提出することを前提とした鑑定です。そのため、検体採取時に第三者の立会いが必要であり、チェイン・オブ・カストディ(検体の連続的管理記録)が厳格に求められます。
病院がこれらの複雑な法的運用まで踏み込むことは困難であるため、seeDNA遺伝医療研究所のようなDNA鑑定の専門機関が中心となって手続きを進めます。
以下に、私的鑑定と法的鑑定の主な違いをまとめます。
私的鑑定と法的鑑定の比較
- 目的:私的鑑定は個人的な確認、法的鑑定は裁判・調停・入管などの法的手続きでの使用
- 検体採取:私的鑑定は郵送でのキット使用が可能、法的鑑定は立会人の前での採取が必須
- 採血:いずれも協力医療機関で実施(法的鑑定は立会いが必要な場合あり)
- 立会人:私的鑑定は不要、法的鑑定は必須(検査機関・代理店・法律事務所・出張立会人)
- 結果の法的効力:私的鑑定はなし、法的鑑定は公的証明として利用可能
- 手続き:私的鑑定は個人申込で完結、法的鑑定は書類準備・本人確認などが必要
- 病院の関与:いずれも採血以外なし(病院は法的手続きに関与不可)
法的鑑定を選択する場合は、弁護士や司法書士など法律の専門家と連携して進めることが推奨されます。seeDNA遺伝医療研究所では、法律事務所との連携体制が整備されているため、法的鑑定を希望される方にも安心してご利用いただけます。
\裁判・調停でも使える出生前DNA鑑定/
申し込み前に確認すべきポイント
検査機関によって体制・費用・提携先が異なるため、以下の点を必ず確認してください。特に費用面では、検査料金に含まれるサービス範囲が機関ごとに大きく異なることがあるため、料金表だけで判断せず詳細を問い合わせることが大切です。
■ 出生前DNA鑑定の申込前チェックリスト
- 鑑定の種類(私的/法的)── 目的に応じた正しい種類を選択しましょう
- 検査精度・解析方法の記載 ── 使用している技術や精度のエビデンスが公開されているか確認
- 妊娠週数の条件 ── 検査可能な週数は機関によって異なります
- 料金に含まれる内容 ── 解析費用、採血費用、送料などが含まれているか
- 追加費用(出張費・立会費・再検査費など) ── 想定外の出費を防ぐために重要
- 出張旅費が「定額制」か「実費制」か ── 遠方の場合は大きな差額になることがあります
- 自宅近くの協力医療機関の有無 ── 採血のために遠方へ行く必要があるかを事前確認
- 法的鑑定の際の法律事務所との連携体制 ── スムーズに法的手続きを進められるか
- 個人情報・遺伝情報の管理体制 ── プライバシーマークやISO認証の取得状況
- 結果報告までの日数/至急対応 ── 急ぎの場合はエクスプレス対応の有無を確認
- キャンセル・返金・再検査ポリシー ── 万が一の際の保証内容を確認
※これらの項目は、ホームページにすべて明記されていないことも多く、申込前にメールや電話で直接確認することが重要です。特に法的鑑定の場合は、手続きの不備が結果の法的効力に影響する可能性があるため、事前相談を強くお勧めします。
また、検査機関の信頼性を判断するうえで、国際的な認定や認証の有無は重要な指標です。AABB(アメリカ血液バンク協会)の認定は、関係検査ラボとしての国際標準を満たしていることの証明であり、ISO9001は品質管理システムの国際規格です。 これらの認証を取得している検査機関であれば、解析の精度やプロセス管理において一定以上の水準が保証されています。(5)
まとめ
- 出生前DNA鑑定は医療行為ではなく、専門の検査機関が提供する民間サービスです
- 病院では検査は行われないが、採血のみ医療行為として病院が担当します
- 私的鑑定と法的鑑定では手続きが大きく異なるため、目的に合った選択が重要です
- 費用・妊娠週数・追加料金などは機関によって異なり、事前確認がトラブル防止につながります
- 検査機関の選定では、国際認証の取得状況や個人情報保護体制もチェックポイントです
出生前親子鑑定は非常にデリケートなテーマであり、不安や迷いを抱えながら検討されている方も多いことでしょう。だからこそ、正しい情報に基づいた判断が何よりも大切です。
seeDNA遺伝医療研究所では、妊婦さんと赤ちゃんの安全を最優先に、検査内容・手続き・費用などを丁寧にご案内しています。国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得しており、安心してご利用いただける体制を整えています。不安な点があればお気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q1. なぜ病院では出生前のDNA親子鑑定を受けられないのですか?
A. 出生前DNA親子鑑定は「身分関係の確認」が目的であり、母体や胎児の健康を守るための「診断・治療」を目的とした医療行為とは異なります。法的リスク、倫理的問題、医療事故のリスク管理など複合的な理由から、医療機関では対応していません。検査は専門のDNA検査機関で受けることができます。
Q2. 出生前DNA鑑定(NIPPT)はいつから受けられますか?
A. 一般的には妊娠9週目以降から検査が可能です。ただし、検査機関によって対応可能な妊娠週数は異なる場合があるため、申し込み前に必ず確認してください。胎児由来のセルフリーDNAの濃度は妊娠の進行とともに上昇するため、適切な時期に受検することが精度向上につながります。
Q3. 出生前DNA鑑定は赤ちゃんに危険はありませんか?
A. NIPPT(非侵襲的出生前親子鑑定)は母体からの採血のみで検査が完結するため、胎児へのリスクは極めて低いとされています。従来の羊水穿刺や絨毛採取のように子宮に針を刺す必要がないため、流産のリスクもありません。母体への負担も通常の採血と同程度です。
Q4. 私的鑑定と法的鑑定はどちらを選べばよいですか?
A. 鑑定結果の使用目的によって選択してください。個人的な確認のみが目的であれば私的鑑定で十分です。一方、裁判所への提出・認知請求・入国管理局への提出など、公的機関での証明が必要な場合は法的鑑定を選ぶ必要があります。法的鑑定では立会人の同席や本人確認書類の提出が求められるため、事前に検査機関に相談されることをお勧めします。
Q5. 出生前DNA鑑定の精度はどのくらいですか?
A. 最新のNIPPT技術では、99.99%以上の精度で父子関係の有無を判定できるとされています。次世代シーケンシング(NGS)技術を用いて母体血中の胎児由来DNAを解析し、父親候補のDNAと統計学的に比較することで、高い信頼性を実現しています。ただし、検査機関によって使用する技術や精度は異なるため、エビデンスの公開状況を事前に確認することが重要です。
Q6. 採血はどこで受けられますか?自分のかかりつけ病院でも可能ですか?
A. 採血は基本的に検査機関が提携している協力医療機関で行います。かかりつけの産婦人科や一般の病院で対応できるかどうかは、検査機関の提携状況によります。自宅近くに提携医療機関があるかどうかは、申し込み前に検査機関へ問い合わせて確認しましょう。
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
家族や親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
【専門スタッフによる無料相談】

著者
医学博士/検査員:L. L.
国際医療福祉大学大学院で臨床医学部の博士号取得後、seeDNAで検査員として勤務。
妊娠中の親子DNA鑑定の検査やデータ解析を担当している。
【参考文献】
(1) みんなで話そう新型出生前診断はだれのため? – 厚生労働省, 1999年2月(2) 遺伝子検査・DNA鑑定のseeDNA, 2021年1月
(3) 非侵襲的出生前遺伝学的検査についての刑事法的一考察 – 武蔵野大学, 2007年4月
(4) MDPI, 2025年
(5) relationship testing, 2026年1月
(6) 無戸籍でお困りの方へ