【医師が解説】NIPTで性別が外れることはある?間違いの確率と5つの原因を徹底解説

2026.05.06

NIPT(新型出生前診断)の性別判定は精度約99%と高確率ですが、稀に外れることもあります。本記事では、性別判定が間違う5つの原因(バニシングツイン等)をわかりやすく解説します。

NIPTで性別がわかる仕組みとは?

NIPTで性別がわかる仕組みとは?

妊娠すると、赤ちゃんの性別を早く知りたいと思うのは自然な感情です。NIPT(新型出生前検査)は、染色体異常のスクリーニング検査として知られていますが、同時に胎児の性別も高精度で判定することが可能です。

NIPTでは、母体の血液中に含まれる「cell-free fetal DNA(cffDNA)」と呼ばれる胎盤由来の微小なDNA断片を解析します。解析には次世代シーケンサーという装置を用い、数百万のDNA断片を一度に調べます。具体的には、このDNA断片の中にY染色体特有の塩基配列(SRY遺伝子など)が検出されれば「男児」、検出されなければ「女児」と判定されます。
超音波(エコー)検査による外性器の観察とは違い、妊娠10週前後という早い時期から検査できるのが大きな特徴です。

NIPTの性別判定の精度は?当たる確率はどれくらい?

NIPTとエコー検査で性別が違う?誤判定が起きる5つの原因

結論から言うと、NIPTによる性別判定の精度は非常に高いですが、まれに誤判定(間違い)が生じることはあります。

2017年の大規模研究によると、NIPTでの性別判定の精度は以下の通り報告されています。

  • 感度(実際の男児を正しく男児と判定する割合):98.9%
  • 特異度(実際の女児を正しく女児と判定する割合):99.6%

精度は約99%と極めて高いものの、完全に誤判定がゼロになるわけではなく、検査数が増えれば理論上一定数の間違いは起こり得ます。また、別の研究ではNIPTと超音波検査(エコー)の結果が一致しない割合が0〜0.9%程度あると報告されています。ここで重要なのは、NIPTは「確定診断検査」ではなく、あくまで「スクリーニング検査」であるという点です。

NIPTとエコー検査で性別が違う?誤判定が起きる5つの原因

なぜ精度が高いNIPTでも性別を間違えてしまうのでしょうか。その主な原因は以下の5つに分類されます。

原因 誤判定のパターン 発生のメカニズムと詳細
1. Fetal Fraction(FF)の低下 男児を「女児」と誤判定 母体血中のcffDNAの割合(FF)が低い(妊娠週数が早い、母体の体重が大きい等)と、Y染色体の検出が不安定になるため。
2. 胎盤モザイク 男児を「女児」と誤判定 胎盤と胎児の染色体構成が異なる現象。NIPTは胎盤由来のDNAを調べるため、胎盤側にY染色体がないと女児判定となる。
3. バニシングツイン 女児を「男児」と誤判定 双子の一方が早期に消失する現象。消失した男性双胎のY染色体DNAが母体血中に残り、検出されてしまうため。
4. Y染色体の構造異常・転座 男児を「女児」と誤判定 SRY遺伝子がX染色体に転座した胎児など。転座断片が小さすぎてY染色体由来のDNAが検出されないため。
5. 母体側の要因 女児を「男児」と誤判定 母親自身がキメラ(46,XX/46,XY)である場合など、母体血中に元々Y染色体由来のDNAが含まれているため。

※特にバニシングツイン妊娠の場合、NIPTの性別判定と超音波検査の結果が一致しない割合は0.8〜10.2%に上るとの報告もあります。

NIPTの結果が不安なときの対処法

NIPTの結果が不安なときの対処法

NIPTによる性別判定は感度・特異度ともに約99%と高精度ですが、バニシングツインや胎盤モザイク、FFの低下などの要因により、まれに結果が外れることがあります。

NIPTはあくまでスクリーニング検査です。もし検査結果に疑問を感じたり、その後の超音波検査(エコー)で言われた性別と違ったりする場合は、結果を鵜呑みにせず必ず担当医に相談してください。必要に応じて羊水検査などの確定診断で確認することが推奨されます。限界や仕組みを正しく理解し、安心して妊娠生活を送りましょう。

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FAQ(よくある質問)

Q1. NIPTで赤ちゃんの性別はいつからわかりますか?

A. 妊娠10週前後という比較的早い時期から判定が可能です。

Q2. NIPTで性別が外れる(間違う)確率はどれくらいですか?

A. 2017年の研究では感度98.9%、特異度99.6%と報告されており、精度は約99%です。しかし、超音波検査と一致しないケースが0〜0.9%程度報告されており、100%ではありません。

Q3. NIPTで「女の子」と言われたのにエコーで「男の子」と言われました。なぜですか?

A. Fetal Fraction(母体血中の胎児DNA割合)の低下や、胎盤モザイク、Y染色体の構造異常などが原因で、実際は男の子でもNIPTでY染色体が検出されず「女の子」と判定されてしまうことがあります。疑問がある場合は担当医にご相談ください。

【参考文献】

【1】 BJOG. 2017 Jan.
【2】 American Journal of Obstetrics & Gynecology. 2021.
【3】 The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine. 2017 Jan.
【4】 ScienceDirect. 2020.
【5】 Prenatal Diagnosis. 2023.
【6】 Journal of the Endocrine Society. 2025 Feb.
【7】 LabCorp/Sequenom Laboratories. 2019.

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著者

医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)


医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。

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