リライティング日:2026年01月27日
NIPTで検出される21・18・13トリソミーの基礎知識、発生メカニズム、母体年齢との関連、検査精度と限界について医師監修のもと詳しく解説します。
NIPTを検討されている妊婦さんの多くが、「トリソミー」という言葉に不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。医療機関で説明を受けても、専門的な内容が多く、十分に理解できないまま検査を受けるか悩んでいる方も少なくありません。
トリソミーとは、染色体の数に変化が生じる状態のことです。NIPTでは主に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の3つを検出しますが、これらが具体的にどのような状態なのか、検査の精度はどの程度なのか、正しく理解することが大切です。
本記事では、医師の視点から国内外の学術論文に基づくエビデンスをもとに、トリソミーについてわかりやすく解説します。トリソミーの発生メカニズムや母体年齢との関係性、さらにNIPTの検出精度とその限界に至るまでを網羅的に取り上げ、正しい知識を持つことで、ご自身とご家族にとって最適な選択ができるようお手伝いいたします。
- ・トリソミーの基礎知識 – 染色体数の変化とは
- └ 正常な染色体の構成
- └ トリソミーとは何か
- └ トリソミーが生じるメカニズム
- └ 完全型・転座型・モザイク型の違い
- └ 母体年齢との関連
- └ すべてのトリソミーが出生に至るわけではない
- ・NIPTで検出可能な主な3つのトリソミー
- └ 21トリソミー(ダウン症候群)
- └ 18トリソミー(エドワーズ症候群)
- └ 13トリソミー(パトウ症候群)
- ・性染色体トリソミーと稀少トリソミー
- └ 性染色体のトリソミー
- └ NIPTで検出される稀少トリソミー
- ・NIPTによるトリソミー検出の精度と限界
- └ NIPTの基本的な仕組み
- └ 主要3トリソミーにおける検出精度
- └ 陽性的中率と偽陽性の考え方
- └ NIPTは「非確定検査」である
- └ NIPTの限界
- ・NIPTを受ける前に知っておきたいこと
- └ 検査を受ける最適な時期
- └ NIPTの結果が出るまでの流れ
- └ 遺伝カウンセリングの重要性
- ・トリソミーについて正しく理解し、最適な選択を
トリソミーの基礎知識 – 染色体数の変化とは

正常な染色体の構成
ヒトの細胞には通常、46本の染色体が存在し、これらは23対を形成しています。このうち22対は常染色体、1対は性染色体(XX または XY)と呼ばれます。染色体には遺伝情報が詰まっており、私たちの身体の設計図として機能しています。
染色体はDNA(デオキシリボ核酸)がヒストンというタンパク質に巻きついて高度に凝縮された構造体です。各染色体には数百から数千の遺伝子が含まれており、これらの遺伝子がタンパク質の合成を指示することで、身体のあらゆる機能を制御しています。父親から23本、母親から23本の染色体を受け継ぐことで、私たちは両親の遺伝情報を半分ずつ受け取っています。(1)
トリソミーとは何か
トリソミーとは、本来2本であるべき特定の染色体が3本になっている状態を指します。「トリ(tri)」は「3」、「ソミー(somy)」は「染色体」を意味する医学用語です。つまり、46本ではなく47本の染色体を持つことになります。
反対に、本来2本あるべき染色体が1本しかない状態を「モノソミー」と呼びます。トリソミーやモノソミーは「異数性(アニュプロイディ)」と総称され、染色体の数の異常を表します。トリソミーでは余分な染色体1本分の遺伝子が過剰に発現するため、発達や身体機能にさまざまな影響を及ぼすことがあります。ただし、その影響の範囲や程度は、どの染色体がトリソミーになっているかによって大きく異なります。
トリソミーが生じるメカニズム
トリソミーの多くは、卵子や精子が作られる過程(減数分裂)で染色体の分配ミス(不分離)が起こることで発生します。
通常、減数分裂では染色体が正確に分かれて、卵子や精子は23本の染色体を持ちますが、この過程で染色体対が正しく分離せず、一方の細胞に24本、もう一方に22本が配分されることがあります。24本の染色体を持つ卵子や精子が受精すると、結果として47本の染色体を持つ胚が形成されます。
不分離が起こるタイミングは主に2つあります。減数分裂の第一段階(減数第一分裂)で相同染色体が分離しない場合と、第二段階(減数第二分裂)で姉妹染色分体が分離しない場合です。研究によると、21トリソミーの約75%は減数第一分裂のエラーに由来し、そのほとんどが母方の卵子形成時に生じるとされています。さらにごくまれに、受精後の体細胞分裂(有糸分裂)で不分離が起こる場合もあり、この場合は「モザイク型トリソミー」と呼ばれる状態になります。(2)
完全型・転座型・モザイク型の違い
トリソミーにはいくつかのタイプがあり、それぞれ発生の仕組みと臨床的な特徴が異なります。
- 完全型トリソミー:すべての細胞で特定の染色体が3本存在する、最も一般的なタイプです。21トリソミーの約95%がこの完全型に該当します。(3)
- 転座型トリソミー:余分な染色体の一部または全体が別の染色体に付着(転座)しているタイプです。21トリソミーでは約3〜4%がこのタイプであり、親が均衡型転座の保因者である場合、次の妊娠でもトリソミーの再発リスクが高まる可能性があります。(3)
- モザイク型トリソミー:体内の一部の細胞のみがトリソミーで、残りの細胞は正常な染色体数を持つタイプです。21トリソミーの約1〜2%を占め、一般的に完全型よりも症状が軽度であることが多いとされています。
母体年齢との関連
トリソミーの発生頻度は母体年齢と強い相関があることが知られています。
特に35歳以上になると発生リスクの上昇が顕著になります。これは卵子の老化に伴い、減数分裂時のエラーが起こりやすくなるためと考えられています。例えば、21トリソミー(ダウン症候群)の発生頻度は、20歳の妊婦では約1/2,000ですが、35歳では約1/365、40歳では約1/100にまで上昇します。
卵子の老化により減数分裂エラーが増加するメカニズムとしては、染色体を正しく分離するために重要な「コヒーシン」と呼ばれるタンパク質が、加齢に伴って劣化することが近年の研究で明らかになっています。コヒーシンの機能低下により、染色体の分離が不安定になり、不分離が起こりやすくなるのです。なお、母体年齢とトリソミーリスクの関連は21トリソミーだけでなく、18トリソミーや13トリソミーでも同様に認められます。(1)(2)(3)
すべてのトリソミーが出生に至るわけではない
理論的には、どの染色体でもトリソミーは生じ得ますが、ほとんどのトリソミーは胎児の発育に重大な影響を及ぼすため、妊娠初期に自然流産となります。
出生まで至るトリソミーは、主に13番、18番、21番染色体、そして性染色体のトリソミーに限られています。これは、これらの染色体が比較的小さく、遺伝子の数が少ないため、生命維持に与える影響が他の染色体と比べて相対的に小さいためと考えられています。
実際、流産組織の染色体検査では、16番染色体のトリソミーが最も多く認められますが、16トリソミーで出生に至ることはありません。1番や2番といった大きな染色体のトリソミーも同様に、発生した場合はほぼ確実に初期流産となります。自然流産全体の約50%に染色体異常が認められ、そのうちトリソミーが最も高い割合を占めるとされています。(4)
NIPTで検出可能な主な3つのトリソミー

NIPTでは主に3つの常染色体トリソミーを検出対象としています。それぞれの特徴と臨床的な意義について解説します。
21トリソミー(ダウン症候群)
21番染色体が3本存在する状態で、トリソミーの中で最も発生頻度が高く、出生700人あたり約1人の割合で見られます。
特徴的な顔貌、筋緊張低下、先天性心疾患、知的発達の遅れなどが見られますが、その程度は個人差が大きいことが知られています。先天性心疾患は約40〜50%の患者に見られ、心房中隔欠損や心室中隔欠損が多いとされています。また、甲状腺機能低下症、消化管閉鎖、視覚・聴覚障害なども併発する可能性がありますが、早期の発見と適切な治療によって多くの症状に対応できます。
医療やリハビリテーションの進歩により、現在では期待余命はここ数十年で著しく延長しています。1980年代には平均寿命が約25歳であったものが、現在では60歳以上に達しています。中には80代まで生存するケースもあり、多くの方が地域社会で生活されています。早期療育プログラムへの参加や教育的支援を受けることで、社会参加の機会も広がっています。(3)
18トリソミー(エドワーズ症候群)
18番染色体が3本存在する状態で、出生約6,000人に1人の頻度で発生します。
重篤な心疾患、消化器系の異常、中枢神経系の形成不全などを伴い、自然流産も多いとされています。妊娠中に診断された場合でも、相当数が出生前に流産や死産となります。出生児には特徴的な手の握り方(指の重なり)、小顎症、後頭部の突出、ゆりかご型の足底(ロッカーボトムフィート)などの身体的特徴が認められます。
出生児の約50%が生後1週間以内に、90%以上が1歳までに亡くなると報告されていますが、近年の医療技術の進歩により、長期生存例も報告されるようになっています。特に心疾患に対する外科的治療が可能なケースでは、生存期間の延長が見込まれる場合もあります。ただし、治療方針については家族と医療チームの間で十分な話し合いが必要です。(5)
13トリソミー(パトウ症候群)
13番染色体が3本存在する状態で、出生約10,000人に1人の頻度で発生します。
全前脳胞症などの重篤な脳の形成異常、口唇口蓋裂、多指症、重度の心疾患などを伴います。全前脳胞症は前脳が適切に二分されない状態であり、顔面の正中部にもさまざまな異常をもたらします。また、眼球の形成不全(小眼球症や無眼球症)も高頻度に認められます。
18トリソミーと同様に予後は厳しく、約80%が生後1か月以内に、90%以上が1歳までに亡くなると報告されています。モザイク型の場合は完全型よりも症状が軽度であることがあり、長期生存が報告される例もあります。(3)
性染色体トリソミーと稀少トリソミー

性染色体のトリソミー
NIPTでは性染色体(X染色体、Y染色体)のトリソミーも検出可能です。代表的なものとして、XXX(トリプルX症候群)、XXY(クラインフェルター症候群)、XYY症候群などがあります。
これらは常染色体トリソミーと比較して身体的・知的な影響が軽度であることが多く、診断されずに生涯を過ごす方も少なくありません。
- トリプルX症候群(47,XXX):女性に発生し、約1,000人に1人の頻度で見られます。多くの場合、身体的な外見は一般の女性と変わりませんが、一部の方に身長が高い傾向や学習面での軽度の困難が見られることがあります。
- クラインフェルター症候群(47,XXY):男性に発生し、約500〜1,000人に1人の頻度です。思春期の発達の遅れ、不妊、軽度の学習困難などが報告されていますが、ホルモン療法や適切な支援によって多くの方が通常の社会生活を送っています。
- XYY症候群(47,XYY):男性に発生し、約1,000人に1人の頻度です。やや高身長の傾向がありますが、それ以外に目立った身体症状はほとんど見られず、多くの場合、一般と変わらない生活を送っています。
性染色体のトリソミーは常染色体トリソミーに比べて予後が良好であり、適切な医療支援と教育的配慮があれば、質の高い生活を送ることが十分に可能です。ただし、NIPTにおける性染色体異常の検出精度は常染色体トリソミーと比較してやや低い場合があり、結果の解釈には注意が必要です。(3)
NIPTで検出される稀少トリソミー
近年の拡大版NIPTでは、13番・18番・21番以外の常染色体トリソミー(稀少トリソミー)の検出も可能になっています。しかし、これらの稀少トリソミーは出生に至ることがほとんどなく、検出された場合は胎盤モザイクの可能性を考慮する必要があります。稀少トリソミーが検出された際の臨床的意義や対応については、遺伝カウンセリングを通じて医療専門家と相談することが重要です。
\ダウン症や性染色体のリスクがわかる/
NIPTによるトリソミー検出の精度と限界
NIPTの基本的な仕組み
NIPTは、母体の血液中を循環する胎児由来のセルフリーDNA(cell-free DNA:cfDNA)を分析する検査です。妊娠中、胎盤の絨毛細胞が壊れる際にDNA断片が母体の血流中に放出されます。このcfDNA全体のうち胎児由来のもの(胎児分画:fetal fraction)は通常10〜20%程度とされ、この比率が検査の精度に大きく影響します。次世代シーケンシング技術を用いて各染色体に由来するcfDNAの量を測定し、特定の染色体由来のDNA量が統計的に期待値よりも多い場合にトリソミーの疑いと判定します。(6)
主要3トリソミーにおける検出精度
NIPTで最も精度が高いとされるのは21トリソミー(ダウン症候群)です。
複数の大規模研究をまとめたレビューでは、感度は99%以上、特異度も99.9%以上と、ほぼ誤判定のないレベルに近い精度が示されています。(3)
18トリソミー(エドワーズ症候群)についても非常に高い精度が報告されていますが、21トリソミーと比べると感度がわずかに低く、約97.9%とされています。
それでも特異度は99%以上と高く、結果の信頼性は十分に保たれています。(3)
13トリソミー(パトウ症候群)は、感度、特異度ともに99%以上とされる一方で、研究ごとの数値のばらつきがやや大きい点が特徴です。
このため、21トリソミーや18トリソミーに比べると、検査精度に一定の課題が残ると考えられています。13番染色体はGCコンテンツ(DNAの塩基配列におけるグアニンとシトシンの割合)の偏りがあるため、シーケンシング時のバイアスが生じやすいことが精度のばらつきの一因とされています。(3)
陽性的中率と偽陽性の考え方
検査の感度や特異度が高くても、「陽性的中率(PPV:Positive Predictive Value)」は母体年齢や疾患の有病率によって大きく変動します。陽性的中率とは、検査が陽性と判定された場合に実際にその疾患が存在する確率のことです。
例えば、21トリソミーのように有病率が比較的高い疾患では、35歳以上の妊婦におけるPPVは80〜90%以上に達しますが、13トリソミーのように有病率が低い疾患ではPPVが50%程度にとどまることもあります。つまり、NIPTで陽性と判定されても、必ずしもその全てが本当の陽性であるとは限らないのです。この点を正しく理解することが、不要な不安を回避するうえで非常に重要です。(3)
NIPTは「非確定検査」である
NIPTは非常に精度の高いスクリーニング検査ですが、確定診断ではありません。陽性結果が出た場合は、羊水検査や絨毛検査などの確定的検査による染色体検査が必要です。
これらの検査では胎児の細胞を直接採取して染色体を調べるため、確定診断が可能になります。羊水検査は一般的に妊娠15〜18週頃に実施され、絨毛検査は妊娠10〜13週頃に実施されます。これらの侵襲的検査にはわずかながら流産のリスク(約0.1〜0.3%)を伴うため、検査を受けるかどうかは慎重に判断する必要があります。
NIPTの限界
NIPTでは検出できない染色体異常も存在します。均衡型転座と呼ばれる染色体の入れ替わりで総量は変わらない異常や、モザイクと呼ばれる一部の細胞だけが異常を持つ状態の一部は検出が困難です。均衡型転座はDNAの量に変化がないため、cfDNAの量的分析に基づくNIPTでは原理的に検出することができません。
また、近年では一部の微細欠失症候群を検出できるNIPTも登場していますが、すべての微細な染色体異常を網羅できるわけではなく、検査によって対応範囲が異なります。微細欠失の検出精度は主要3トリソミーと比較して一般に低く、偽陽性率も高い傾向があるため、結果の解釈にはより慎重な対応が求められます。
さらに、双胎妊娠、母体の肥満などの条件下では検査精度が低下することが知られています。母体の肥満はcfDNA中の胎児分画の低下を引き起こし、十分な量の胎児由来DNAが得られないことがあります。また、まれに胎盤と胎児の染色体構成が異なる「胎盤モザイク(CPM:Confined Placental Mosaicism)」により、偽陽性や偽陰性の原因となることもあります。NIPTは厳密には胎児そのものではなく胎盤由来のcfDNAを分析しているため、胎盤モザイクの影響を受ける可能性があるのです。(6)
NIPTを受ける前に知っておきたいこと
検査を受ける最適な時期
NIPTは一般的に妊娠10週以降から受けることが可能です。妊娠10週未満では母体血中の胎児分画が十分に増加していないため、正確な結果が得られにくいとされています。検査の適切な時期については、かかりつけの産科医と相談のうえ判断することが大切です。
NIPTの結果が出るまでの流れ
- 医療機関でのカウンセリングまたは説明を受け、検査への同意を行います。
- 母体から採血を行います(通常10〜20mL程度の採血で済み、身体的負担はごくわずかです)。
- 採取した血液からcfDNAを抽出し、次世代シーケンシングにより解析を行います。
- 解析結果が報告されます(通常1〜2週間程度で結果が判明します)。
- 結果に基づき、必要に応じて遺伝カウンセリングや確定検査の検討を行います。
遺伝カウンセリングの重要性
NIPTを受ける前後いずれの段階においても、遺伝カウンセリングを受けることが強く推奨されています。遺伝カウンセリングでは、検査の目的・方法・精度・限界について専門家から詳しい説明を受けることができ、検査結果の意味を正しく理解するための支援が提供されます。特に陽性結果が出た場合や、判定不能(検査失敗)となった場合には、次のステップについて医療専門家と十分に話し合うことが重要です。
日本産科婦人科学会も、NIPTの実施にあたっては適切なカウンセリング体制を整えることの重要性を強調しています。
トリソミーについて正しく理解し、最適な選択を
トリソミーは特定の染色体が3本になる染色体の数的異常であり、NIPTでは主に21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトウ症候群)の3つを高精度に検出することができます。検査の感度・特異度は非常に高く、有用なスクリーニング検査として確立されています。
ただし、NIPTはあくまでもスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性結果が出た場合でも、偽陽性の可能性があるため、羊水検査などの確定的検査が必要となります。また、NIPTでは検出できない染色体異常も存在することを理解しておく必要があります。
検査結果の解釈には、母体年齢や個別のリスク要因を考慮した専門医のカウンセリングが不可欠です。検査を受けるかどうか、結果をどのように受け止めるかは、ご家族それぞれの価値観や状況によって異なります。大切なのは、正しい知識に基づいて十分に考え、納得のいく選択をすることです。seeDNA遺伝医療研究所では、検査に関するご不安やご質問に対して、専門スタッフが丁寧にサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
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よくあるご質問
Q1. トリソミーはどのようにして起こるのですか?
A. トリソミーの多くは、卵子や精子が作られる過程(減数分裂)で染色体の分配ミス(不分離)が起こることで発生します。通常は23本の染色体を持つ卵子や精子が24本になり、受精後に47本の染色体を持つ胚が形成されます。このエラーは母体年齢の上昇に伴い頻度が増加することが知られています。(2)
Q2. NIPTはいつから受けられますか?
A. NIPTは一般的に妊娠10週以降から受けることが可能です。妊娠10週未満では母体血中の胎児由来cfDNA(胎児分画)が十分な量に達していないため、正確な結果が得られない場合があります。具体的な検査時期についてはかかりつけの産科医にご相談ください。
Q3. NIPTで陽性と出たら、必ずトリソミーなのですか?
A. いいえ、NIPTはスクリーニング検査であり確定診断ではありません。陽性結果が出た場合でも偽陽性の可能性があるため、必ず羊水検査や絨毛検査などの確定的検査を受ける必要があります。特に13トリソミーなど有病率が低い疾患では、陽性的中率が比較的低くなる場合があります。(3)
Q4. 21トリソミー(ダウン症候群)の方の平均寿命はどのくらいですか?
A. 医療やリハビリテーションの進歩により、ダウン症候群の方の平均寿命は大幅に延長しています。1980年代には約25歳でしたが、現在では60歳以上に達しています。中には80代まで生存されるケースも報告されており、多くの方が地域社会で生活されています。(3)
Q5. NIPTで検出できない染色体異常はありますか?
A. はい、あります。均衡型転座(染色体の配置が入れ替わっているが総量は変わらない異常)やモザイク型の一部は検出が困難です。また、すべての微細欠失症候群を検出できるわけではなく、検査の種類によって対応範囲が異なります。NIPTの限界を理解したうえで、必要に応じて追加検査を検討することが重要です。(6)
Q6. 性染色体のトリソミーは常染色体トリソミーと比べてどう違いますか?
A. 性染色体のトリソミー(トリプルX症候群、クラインフェルター症候群、XYY症候群など)は、常染色体トリソミーと比較して身体的・知的な影響が軽度であることが多いです。診断されずに生涯を過ごす方も少なくありません。適切な医療支援と教育的配慮があれば、通常の社会生活を送ることが十分に可能です。
Q7. 検査結果はどのくらいで届きますか?
A. NIPTの結果は、一般的に採血から1〜2週間程度で判明します。検査施設や検査内容によって多少異なる場合がありますので、詳しくはseeDNA遺伝医療研究所までお問い合わせください。
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著者
医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system
Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。
【参考文献】
(1) 日本産科婦人科学会 NIPT指針, 2020年6月(2) Surg Radiol Anat, 2015年9月
(3) MSDマニュアル プロフェッショナル版, 2023年10月
(4) PMC, 2019年12月
(5) Am J Mens Health, 2017年9月
(6) BMJ Open, 2016年1月