【医師が解説】NIPTは妊婦健診で受けられる? ー 検査の違いや費用、受診の流れを徹底解説 ー
2026.03.22
妊娠が判明し、定期的な妊婦健診が始まると、「NIPT(新型出生前検査)もこの健診のついでに受けられるのかな?」「通常の血液検査と一緒に済ませられる?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、NIPTは通常の妊婦健診とは「別物」として扱われており、健診の一環としてそのまま受けることはできません。
本記事では、なぜNIPTと妊婦健診が分けられているのか、その医学的・制度的な理由や、費用・手続きの違いについて医師の視点で解説します。
そもそも「妊婦健診」とは?目的と検査内容

まず、通常の妊婦健診が何のために行われているのかを整理しましょう。
妊婦健診(妊婦健康診査)は、母体と胎児の健康を守るための定期的な医学的管理です。
主な目的は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、胎児の発育不全などの異常を早期に発見し、安全な分娩へつなげることにあります。
<妊婦健診で行われる主な検査>
ガイドラインに基づき、時期に合わせて以下のような検査が行われます。
- 毎回
体重・血圧測定、尿検査、赤ちゃんの心拍確認、超音波検査など - 妊娠初期
血液型、貧血、感染症(B型・C型肝炎、HIV、梅毒、風疹など) - 妊娠中期(24〜28週頃)
妊娠糖尿病のスクリーニング - 妊娠後期
貧血検査、B群溶血性レンサ球菌(GBS)検査
これらはすべて、「妊娠生活と出産を安全に乗り切るため」の標準的なフォローアップです(1)。
NIPT(新型出生前検査)の位置づけ
一方、NIPTは母体の血液から「胎児の染色体異常(21、18、13トリソミーなど)のリスク」を調べる検査です(2)。
なぜ妊婦健診に含まれないのか?
最大の理由は、検査の目的が異なるからです。
NIPTは「妊娠経過の健康管理」ではなく、「お腹の赤ちゃんの遺伝学的情報を知る」ための検査です。
日本医学会などの指針でも、NIPTを含む出生前検査は通常の妊婦健診とは明確に区別すべきとされています。これには倫理的な理由が大きく関わっています。
- 倫理的配慮
検査結果がご家族に与える心理的影響が大きく、命の選択につながる可能性があるためです。 - 意思決定の重視
「なんとなく受ける」のではなく、十分な説明を受けた上で、妊婦様自身が納得して選択する必要があります。 - カウンセリングの必須化
検査の前後に、専門的な遺伝カウンセリングを行うことが求められています。
このように、通常の健診の流れ作業の中で行うのではなく、時間をかけて検討すべき特別な検査として位置づけられているのです。
一目でわかる!妊婦健診とNIPTの違い
手続きや費用の面でも大きな違いがあります。主な違いを以下の表にまとめました。
| 項目 | 妊婦健診 | NIPT(新型出生前検査) |
|---|---|---|
| 目的 | 母児の健康管理・異常の早期発見 | 胎児の染色体異常リスクの評価 |
| 位置づけ | 標準的な医療(必須に近い) | 任意の検査(選択制) |
| 費用 | 自治体の補助券が利用可能 | 全額自己負担(自費診療) |
| 費用目安 | 補助券使用で数千円〜/回 | 10万〜20万円程度 |
| 予約 | 定期的に自動で設定される | 別途、自分で予約が必要 |
| 結果開示 | その場、または次回の健診時 | 採血から10日〜2週間後 |
NIPTを受ける場合の具体的な流れ

NIPTを受ける場合、妊婦健診とは別のプロセスを踏むことになります。ここでは「認証施設」と「非認証施設」の一般的な傾向を含めて解説します。
① 予約と受診手続き
妊婦健診に通っている病院で、そのまま「今日NIPTもお願いします」と受けることは基本的にできません。
- 認証施設の場合
かかりつけ医からの紹介状が必要なことが多く、夫婦同伴での受診が原則とされるケースが一般的です。 - 非認証施設の場合
紹介状が不要で、妊婦様お一人でも受診可能な場合が多いです。
② 検査当日(カウンセリング・採血)
通常の健診の採血とは別に、NIPT専用の採血を行います。
認証施設では、採血前に医師やカウンセラーによる詳細な遺伝カウンセリング(2〜3回の通院が必要な場合も)が行われます。一方、非認証施設では採血のみで1回の来院で完結するケースもあります。
③ 結果の確認
結果が出るまでには約10日〜2週間かかります。
- 認証施設
再度来院し、対面で結果説明を受けるのが原則です。 - 非認証施設
オンラインやメール、郵送で結果を確認できる施設が増えています。
まとめ:NIPTは「健診の延長」ではなく「独立した選択」

NIPTは、妊婦健診のついでに受けられる簡単な検査ではなく、目的も手続きも独立した遺伝学的検査です。
「受けるか受けないか」は、ご自身の価値観やライフプランに合わせて慎重に決める必要があります。妊婦健診とは別の準備や費用が必要になることを理解した上で、ご家族でしっかりと話し合って検討することをおすすめします。
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【参考文献】
(1) 産婦人科診療ガイドライン-産科編, 2023(2) 出生前検査認証制度等運営委員会, 2022
著者
医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate
of da Vinci system Training As a Console
Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。