【医師が解説】NIPT(新型出生前診断)は病院以外でも受けられる?認証施設と専門機関の違い・選び方
2026.06.03
本記事のポイント
・NIPTは必ずしも指定の大きな病院(基幹施設)で受ける必要はありません。
・受検先には「認証医療機関」と「専門検査機関」の2種類が存在します。
・認証医療機関は遺伝カウンセリングが必須で、検査項目が3疾患に限定されます。
・専門検査機関は年齢制限がなく、より幅広い染色体異常の検査が可能です。
・機関選びでは、陽性判定後のフォロー体制と検査精度の透明性が重要です。
結論として、NIPT(新型出生前診断)は必ずしも大きな病院で受ける必要はありません。採血は医療機関で行う必要がありますが、「認証医療機関」のほかに、年齢制限のない「専門検査機関」を利用する選択肢もあります。
NIPTとは?
NIPT(新型出生前診断)とは、妊婦の血液中に含まれる胎児由来のDNA断片を解析し、染色体異常のリスクを評価する非確定的検査(スクリーニング検査)です。
NIPTを受けられる場所とそれぞれの違い
NIPTの受検方法は、大きく分けて「認証医療機関」と「専門検査機関」の2種類が存在します。それぞれの特徴を正しく理解し、目的に合った選択を行うことが重要です。
認証医療機関での受検
日本医学会の審査を通過した基幹施設(大学病院など)および連携施設(クリニックなど)で受ける方法です (1)。
- 検査対象:21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、13トリソミーの3疾患に限定されています。
- 条件:原則として検査前後に遺伝カウンセリングが必須とされています。
- メリット:遺伝の専門知識を持つ相談員によるサポート体制が整っており、全国に650施設以上(2026年4月時点)が存在します (1)。
専門検査機関での受検
NIPTを専門に扱う検査機関へ申し込み、提携クリニック等で採血を行ったうえで、検体を送付して解析を受ける方法です。
- 検査対象:3疾患に加え、性染色体異常(ターナー症候群など)や、通常の染色体検査では検出が難しい微小欠失症候群(ディジョージ症候群など)のリスクも評価可能です。
- 条件:年齢制限がない場合が多く、選択肢が豊富です。
- メリット:居住地や通院状況に合わせて、柔軟かつ迅速に受検できます。
比較表:認証医療機関と専門検査機関の違い
| 比較項目 | 認証医療機関 | 専門検査機関 |
|---|---|---|
| 主な実施場所 | 大学病院、総合病院、連携クリニック | 検査機関が提携する全国の医療機関 |
| 年齢制限 | 施設による(高齢妊娠等の要件がある場合も) | 原則なし |
| 検査項目 | 21, 18, 13トリソミーのみ | 全染色体、性染色体異常、微小欠失症候群など |
| 遺伝カウンセリング | 必須 | 機関によって異なる(任意・電話サポート等) |
専門検査機関を選ぶ際の3つの重要ポイント
専門検査機関を利用する場合、結果の正確な解釈と適切なアフターフォローを受けるために、以下の3点を確認してください。
1. 陽性判定後のフォロー体制の有無
NIPTは確定診断ではありません。高リスクと判定された場合でも、若い妊婦や特定の疾患においては実際に異常がある確率(陽性的中率)が低いケースがあります (2)。また、胎盤には染色体異常があるが胎児にはない「胎盤性モザイク」による偽陽性も起こり得ます (3)。
そのため、羊水検査などの確定診断費用の補助制度や、認定遺伝カウンセラーへ相談できる窓口が整備されているかを必ず確認してください。
2. 検査精度と実績の透明性
検査機関の信頼性を図る指標として、ISO9001などの国際品質規格を取得しているか、判定精度に関する実績データが明確に公開されているかを確認します。
3. 検査項目の正確な理解と相談環境
「検査項目が多いほど良い」とは一概には言えません。対象疾患を広げると、陽性的中率が低下する稀少疾患が含まれるためです。海外の大規模研究でも、NIPTは適切なカウンセリングと併せて提供されることが推奨されています (4)。事前に医師や検査機関の専門スタッフへ相談し、納得して検査項目を選択できる環境が重要です。
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FAQ(よくある質問)
Q1. NIPTは近くのクリニックでも受けられますか?
A. はい、受けられます。認証医療機関の連携施設として登録されているクリニックや、専門検査機関と提携しているお近くのクリニックで採血が可能です。
Q2. 専門検査機関の検査精度は低いですか?
A. 機関によって異なります。実績を公開しており、国際品質規格(ISO9001など)を取得している専門検査機関であれば、高い検査精度を確保しています。
Q3. 高リスク(陽性)と判定されたらどうすればよいですか?
A. NIPTはスクリーニング検査であるため、確定診断には羊水検査などが必要です。高リスク判定時は、直ちに検査機関のサポート窓口や遺伝カウンセラーに相談し、確定検査の受検について検討してください。
Q4. 検査項目は多い方が安心ですか?
A. 一概にそうとはいえません。稀少な染色体異常を含めると、偽陽性の確率が上がり、結果的に陽性的中率が低下する場合があります。検査項目は、専門スタッフと相談のうえで決定することを推奨します。
【参考文献】
(1) 出生前検査認証制度等運営委員会「認証医療機関・認証検査分析機関一覧」(2) 出生前検査認証制度等運営委員会「NIPTについて」
(3) Genes. 2024.
(4) Genetics in Medicine. 2023.
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著者
医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。