出生前DNA鑑定の採血、妊娠7週目未満でもいい?
2020.04.24
答えは、「妊娠7週目未満の血液はダメ」です。
出生前鑑定では、妊娠中の女性の血液中に含まれる胎児のDNAと男性のDNAを比較し、その男性が胎児の生物学的な父親かどうかを調べています。一般的に、妊娠6週目から胎児のDNAが母親の血液中に流れ始め、妊娠期間に比例して血液中の胎児のDNA量が増えていき、妊娠14週目以降はほぼ一定になると言われています。
胎児のDNAが母親の血液中に流れ始めるのはなぜ妊娠6週目から?
突然ですが、ここで問題です。なぜ胎児のDNAが母親の血液中に流れ始めるのは妊娠6週目なのでしょうか?もっと早い時期から胎児のDNAが流れててもいいんじゃないかと思いますよね。
この問題を解くには、妊娠期間中に胎児がどのように発達しているのかを知る必要があります。
世界保健機関(WHO)では、最後の月経が始まった日を妊娠初日、つまり「(満) 0週0日」と定義しています。
そして、「0週0日」目の約2週間後に、将来受精卵となり胎児へと成長する卵子が排卵されます。
受精から着床まで6~12日かかるので、妊娠3~4週目にようやく妊娠が成立します。
着床し、妊娠が成立すると胎盤やへその緒が作られはじめ、受精卵は急速に発達して「胎芽」となり、妊娠9週目に「胎児」となります注1。
ちなみに、一般の妊娠検査薬で陽性反応が出るのが妊娠4~5週目ごろで、エコーで胎児の心拍が確認できるのが妊娠6週目ごろとされています。
妊娠3~4週目では、微量すぎて検知できません
母親の血液中に胎児のDNAが存在するのは、胎盤を通して胎児由来の細胞が母親の血液中に流れ込むからです注2。
胎盤やへその緒の形成がはじまった妊娠3~4週目でも胎児由来のDNAが母親の血液に流れ出しているでしょうが、微量すぎて検知できません。
妊娠週数を重ねるうちに母体血中の胎児のDNAは量を増していき、ようやく妊娠6週目で検出できるようになり、7週目になるとDNA鑑定で使用できるほどになります。
しかし、母体血中の胎児のDNA量は個人差が大きく、同じ妊娠週数の方でも血縁関係を判定できる量があるかどうかは、実際に検査してみないとわかりません。
さらに、子宮外妊娠や採血時にすでに胎児が亡くなられていた場合は、母体血中の胎児のDNAは検出できません。
稀に妊娠7週目未満で血液をご提出される方がいらっしゃいますが、胎児のDNAが抽出できないため再鑑定となってしまうリスクが高い上に、弊社の無料再検査や返金保証の対象外となります。
DNA鑑定できるのは妊娠7週目以降
まとめると、妊娠が成立するのは妊娠3~4週目で、徐々に母体血中の胎児のDNA量が増えていき、DNA鑑定できるのは妊娠7週目以降となります。
事前に産婦人科でエコーを撮り、正常妊娠であることを確認後、妊娠7週目に入ってから採血を行っていただければと思います。
そして、生理周期や最終生理日、排卵日などによる妊娠期間の計算は正確ではないので、必ず産婦人科で妊娠期間をご確認ください。
注1:弊社のホームページでは妊娠9週未満でも「胎児」という表記で統一しています。