親子鑑定の話① DNAの話

2024.07.23

リライティング日:2025年06月11日

DNAの形と特徴、塩基配列の仕組みをわかりやすく解説。ポリマー・モノマーの基本からDNA二重らせん構造、G・A・T・Cの4文字で書かれた生命の設計図について、DNA鑑定の専門機関seeDNAが詳しく説明します。

はじめに ― DNA鑑定を理解するための第一歩

はじめに ― DNA鑑定を理解するための第一歩弊社の高精度親子鑑定に使われているDNA鑑定に関わる事柄について、何回かに分けてなるべく簡単な言葉で説明したいと思います。とても単純化しているので専門家が見ると怒り出すかもしれませんね。

まずはDNAの形と特徴について説明します。その後に実際の鑑定の考え方をお話ししたいと思います。難しい言葉が出てきますが、できるだけ分かりやすく説明したいと思います。理解できなければ筆者の力不足です。

DNA鑑定という言葉は、テレビの犯罪捜査ドラマや親子関係の確認などで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、「DNAとは具体的にどのようなものなのか」「どんな構造をしているのか」と聞かれると、正確に答えられる方は少ないかもしれません。DNA鑑定の仕組みを正しく理解するためには、まずDNAそのものの構造と性質を知ることが大切です(1)。

この記事では、DNAの基本的な形である二重らせん構造から、遺伝情報を記録する塩基配列の仕組みまでを、専門用語をなるべくかみ砕きながら順を追って解説していきます。以下のポイントを押さえることで、DNA鑑定がどのような原理で行われているのかをより深く理解できるようになるでしょう。

  • DNAは「二重らせん」と呼ばれる特徴的な形を持つ
  • DNAの情報はG(グアニン)・A(アデニン)・T(チミン)・C(シトシン)の4種類の塩基で記録されている
  • AとT、GとCは必ずペアを組む(相補性)ため、片方の鎖を読めばもう片方の情報もわかる
  • DNAは生物の設計図であり、ヒトを生み出すためのすべての情報を持っている
  • DNA鑑定では塩基配列の違い(個人差)を利用して親子関係や個人識別を行う

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DNAの形と特徴について ― 二重らせん構造を理解しよう

DNAの形と特徴について ― 二重らせん構造を理解しよう

図. 糖リン酸主鎖と塩基からなるDNAの構造[2]

下記は、Wikipediaからの引用です。

デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)は、2本のポリヌクレオチド鎖が互いに巻きついて二重らせんを形成しているポリマーである。このポリマーは、すべての既知の生物と多くのウイルスの発生、機能、成長、および生殖のための遺伝的命令を伝達する。[1]

出典:『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』

ポリマーから順に解説を試みましょう。大雑把に言うと、ポリマーとはたくさんのモノマーが集まった大きな物質です。モノマーとは似たような性格を持った小さな物質のことです。モノマーのモノは英語で”mono-“と書き 「1つの」という意味を持ちます。モノレール(monorail)、モノトーン(monotone)のモノですね。

ポリマーの名づけ方はモノマー名の前にポリを付けます。となるとポリヌクレオチド鎖とは、モノマーがヌクレオチドで、「鎖」が付いているので直線状の物質になります。ついでに言うと方向性を持っています(5’→3’と書いてあることが多いですね)。DNAとして存在する場合には二本のポリヌクレオチド鎖は反対向きに並びながら、お互いの周りをまわるようにらせん階段のような形になっています(図の下半分)。

ポリマー・モノマー・ヌクレオチドの関係を整理する

DNAの構造を理解する上で、まず「ポリマー」「モノマー」「ヌクレオチド」という3つの言葉の関係を整理しておきましょう。日常的に使われる例で説明すると、ポリマーは「ネックレス全体」、モノマーは「ネックレスを構成する一つひとつのビーズ」に例えることができます。DNAの場合、一つひとつのビーズに相当するのが「ヌクレオチド」という化学物質です(1)。

ヌクレオチドは、以下の3つの部品から構成されています。

  1. 糖(デオキシリボース) ― ヌクレオチドの骨格となる五炭糖。図の中で五角形に「S」と書かれた部分がこれに当たります。
  2. リン酸基 ― 糖と糖をつなぐ接着剤のような役割を果たします。図では丸に「P」と記された部分です。糖とリン酸が交互に並ぶことで、DNAの「背骨」(主鎖、糖リン酸主鎖)が形成されます。
  3. 塩基(A・T・G・Cのいずれか) ― 糖から横方向に突き出た部分で、遺伝情報そのものを担う最も重要なパーツです。塩基は4種類あり、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)と呼ばれます。

このヌクレオチドが何億個も連なることで1本のポリヌクレオチド鎖が作られ、さらにその2本が向かい合って巻き付くことで、1953年にワトソンとクリックが提唱した有名な二重らせん(ダブルヘリックス)構造が形成されます。ヒトのDNAは約30億塩基対(約60億個の塩基)で構成されており、すべてをつなげると約2メートルにも及ぶ長さになりますが、細胞の核の中にきわめてコンパクトに折りたたまれて収納されています(2)。

DNAの塩基配列とは ― 生命の設計図を読み解く

DNAの塩基配列とは ― 生命の設計図を読み解くWikipediaから引用した図を使ってもう少し詳しくDNAをみていきましょう[2]。
図ではポリヌクレオチド鎖の鎖(主鎖と言います)は、水色のリボンで描かれています。リボンの中にある五角形にSと書かれた糖と、〇にPと書かれたリン酸が交互に並んでいます。鎖の中の一つ一つの糖から横に窒素含有核酸塩基(シトシン: C、グアニン: G、アデニン: A、チミン: T)のうちの1つが突き出ているイメージですね。塩基のAとTもしくはCとGは相性が良く塩基対(base pair)と呼ばれるペアを作ります(図の中央の小さい方の四角で囲まれたところ)。塩基対を中心に二本のポリヌクレオチド鎖は逆方向に整列し二本鎖DNAを作ります。

DNA鑑定でよく言われる塩基配列の解析とは、塩基の並び、つまりG, A, T, Cの並びを読んでいく作業です。塩基の並びは5’→3’方向に読んでいきます。図を例に読んでいくと、左側のポリヌクレオチド鎖では5’→3’方向は上から下なので、AGTACGと読めます。では右側のポリヌクレオチド鎖では・・・・、実は特別な場合を除いて読まなかったりします。なぜなら必ずAとT、GとCは常にペアを作るのでどちらのポリヌクレオチド鎖でも同じ情報を持っているからです。

Wikipediaからの引用の最後の文を単純化しますと『DNAは生物の設計図で、「G」と「A」と「T」と「C」の四文字で書かれた本』という理解で十分だと思います。

言い換えると、ヒトDNAはヒトを生み出すためのすべての情報を持っているということです。
※ カタカナで「ヒト」と書くと人格を持たない生物としての呼び方になります。人格を持つ「人」と区別するために使ったりします。

塩基の相補性とDNA鑑定への応用

ここで重要なのは、AとT、GとCが必ずペアになる「相補性」という性質です。この相補性があるからこそ、DNAは正確に複製(コピー)を作ることができ、親から子へ遺伝情報が受け継がれます。DNA鑑定では、この遺伝の仕組みを利用しています。子どものDNAは父親と母親から半分ずつ受け継がれるため、子どもの塩基配列パターンを調べることで、特定の人物が生物学的な親であるかどうかを高い精度で判定できるのです(1)。

具体的には、DNA鑑定ではSTR(Short Tandem Repeat:短い繰り返し配列)と呼ばれる領域に注目します。STRとは、DNAの中で特定の短い塩基配列が繰り返される部分のことで、この繰り返し回数は個人によって異なります。複数のSTR領域を同時に調べることで、非常に高い確率で個人を識別したり、親子関係を証明したりすることが可能になります。

DNAの基本情報まとめ

ここまでの内容をまとめると、DNAの基本的な特徴は以下のとおりです。

  • DNAは2本のポリヌクレオチド鎖が巻き付いた二重らせん構造をしている
  • 各ヌクレオチドは「糖」「リン酸」「塩基」の3つの要素から成る
  • 塩基はA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類がある
  • AとT、GとCは必ずペアを作る(相補性)
  • ヒトのDNAは約30億塩基対で構成されている
  • 塩基配列の解析とは、G・A・T・Cの並び順を読み取る作業のこと
  • DNA鑑定ではSTR領域の繰り返し回数の違いを利用して個人を識別する

DNAの形と特徴に関する説明は以上となります。次回以降の記事では、実際のDNA鑑定でどのように塩基配列の情報を活用し、親子関係を判定しているのかについてさらに詳しくお話しする予定です。

[1] 「デオキシリボ核酸」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。最終更新 2024年4月7日 (日) 12:03、URL: https://w.wiki/3LnX
[2] 「デオキシリボ核酸」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。最終更新 2024年4月7日 (日) 12:03、URL: https://w.wiki/3LnX 解説のため一部改変

よくあるご質問

Q1. DNAの二重らせん構造とはどのようなものですか?

A. DNAの二重らせん構造とは、2本のポリヌクレオチド鎖が互いに巻き付いて、らせん階段のような形を作っている状態のことです。各鎖は糖(デオキシリボース)とリン酸が交互に並んだ主鎖を持ち、そこからA・T・G・Cの4種類の塩基が突き出ています。向かい合った塩基同士(AとT、GとC)が水素結合でペアを作ることで、2本の鎖が安定した構造を保っています。

Q2. DNAの塩基配列とは何ですか?

A. 塩基配列とは、DNAを構成する4種類の塩基(アデニン:A、チミン:T、グアニン:G、シトシン:C)が並んでいる順番のことです。この並び順が遺伝情報そのものであり、「G・A・T・Cの4文字で書かれた生物の設計図」と言えます。DNA鑑定では、この塩基配列のパターン(特にSTR領域の繰り返し回数)を解析することで、個人の識別や親子関係の判定を行います。

Q3. なぜDNAは片方の鎖だけ読めばよいのですか?

A. DNAの塩基には「相補性」と呼ばれる性質があり、A(アデニン)は必ずT(チミン)と、G(グアニン)は必ずC(シトシン)とペアを組みます。そのため、片方のポリヌクレオチド鎖の塩基配列がわかれば、もう片方の鎖の配列も自動的に決まります。例えば片方の鎖がAGTACGであれば、もう片方はTCATGCとなるため、両方を読む必要がないのです。

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seeDNA検査部で親子DNA鑑定(STR)の担当Aイメージ 著者

親子DNA鑑定(STR)担当A

所属:株式会社seeDNA 検査部

【参考文献】

(1) フリー百科事典 ウィキペディア日本語版「デオキシリボ核酸」、2024年4月
(2) National Human Genome Research Institute「Deoxyribonucleic Acid (DNA) Fact Sheet」、2024年
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