新型出生前診断(NIPT)に関するお話し
2024.07.31
著者
出生前の胎児DNA鑑定(NGS)担当T
所属:株式会社seeDNA 検査部
非侵襲的出生前検査:新型出生前診断(NIPT)
近年の技術の発展によって、お母さんとお腹の赤ちゃんにほとんどリスクを与えずに赤ちゃんの健康を詳しく調べることができるようになりました。それが非侵襲的出生前検査「新型出生前診断(NIPT)」と言われる検査です。NIPTは、妊娠初期に妊娠中のお母さんの血液を調べることで、赤ちゃんの先天的な異常や染色体異常のリスクが99%の精度で分かる画期的な検査です。
今回のブログでは、NIPTの仕組みや利点、倫理的な問題、そしてこの技術の未来について説明していきたいと思います。
「新型出生前診断(NIPT)」とは
NIPTは、妊娠中に胎盤を通して母親の血液中に流れてくる「胎児のDNA(cffDNA)」を解析する検査です。この胎児のDNAを解析することで、ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)などのリスクの有無を確認することができます。 NIPTは妊娠10週目以降の母親の血液を使って検査を行います。母親の血液から、胎児のDNAを分離する処理を行い、その後、特定の遺伝的マーカーや異常を分析します。 検査結果は、血液がラボに届いて6~8営業日以内に得られます。
NIPTの利点と応用
NIPTは、羊水検査や絨毛膜検査(CVS)などの侵襲的な手法とは異なり、非侵襲的な検査であるため、胎児へのリスクを与えずに遺伝的健康を確認できる胎児と妊婦に100%安全な検査です。
NIPTは100%精度と言われる臨床の確定診断ではありませんが、既存の血清マーカー検査やエコー検査に比べると染色体異常の検出精度は非常に高く、例えばダウン症の検出率は99%を超えています。この高い精度により、現在はNIPTが出生前スクリーニング検査として優先的に選ばれています。
NIPTでは、主に下記の遺伝的疾患や染色体異常を検出することができます。
①21トリソミー(ダウン症候群)
21番染色体の3番目のコピーの全部または一部が存在することによって引き起こされる遺伝性疾患。
②18トリソミー(エドワーズ症候群)
18番染色体が余分に存在することで、重篤な発達異常を引き起こす疾患。
③13トリソミー(パトウ症候群)
13番染色体が余分に形成されることで、重度の知的障害や身体の異常を呈します。
④性染色体異数性
ターナー症候群(モノソミーX)、クラインフェルター症候群(XXY)など。
⑤微小欠失症候群
22q11.2欠失症候群(DiGeorge症候群)など、染色体の小片の欠失によって引き起こされる状態。
さらに、NIPTでは、妊娠初期に胎児の性別を正確に確認することもできるため、特定の性染色体に関連する遺伝性疾患が懸念される場合に特に有益です。
NIPTの臨床的有用性は遺伝性疾患の検出だけではなく、赤ちゃんが生まれる前に出産後のケア方法の決定を導くことができる貴重な情報を提供します。例えば、染色体異常を早期に発見することで、親は特別な特性を持つ子供の誕生の準備や、重度の異常の場合、妊娠中絶の検討など、妊娠管理について十分な情報に基づいた選択をすることができます。
倫理的な考慮事項と課題
NIPTには明確なメリットがある一方で、重要な倫理的配慮や課題も提起されています。
例えば、NIPTの結果が、性選択といった目的で中絶に使用される可能性です。これは、遺伝情報の責任ある使用とジェンダー平等への影響について倫理的な問題を提起しています。
また、NIPTは一般的なトリソミーに対して非常に正確ですが、あくまでも特定疾患のリスクを調べるためのスクリーニング検査で、確定診断ではないことに注意する必要もあります。NIPTで陽性のリスクが出た場合は、羊水検査や絨毛膜検査などの侵襲的な検査で確認する必要があります。
また、NIPTでは、すべての遺伝的疾患や先天性欠損症が検査対象になっていないため、検査項目以外の疾患を持っている可能性もあります。また、検出される疾患の重症度を把握することはできません。
NIPTの将来性
現在は、NIPTの検査範囲を拡大し、一般的なトリソミー以外の遺伝的疾患や胎児の異常に対する検査もできるよう研究が進められています。
例えば、嚢胞性線維症や鎌状赤血球症などの単一遺伝子疾患を検出するNIPTの研究も進められているため、これらが実現すればNIPTの有用性がさらに高まります。
また、解析技術としては、特に小さな染色体異常やモザイク現象(異なる遺伝子構成の細胞が混在する)の検出において、精度と信頼性を向上させる開発も進められているといいます。
参考文献
Non-Invasive Prenatal Testing (NIPT) Implementation in Japan: A Comparison with the United Kingdom, Germany, Italy, Sweden, and Taiwan – PMC (nih.gov)Non-Invasive Prenatal Testing: Current Perspectives and Future Challenges – PMC (nih.gov)
Non-invasive prenatal testing: a revolutionary journey in prenatal testing – PMC (nih.gov)
RACGP – Non-invasive prenatal testing
seeDNAの新型出生前診断
seeDNAの新型出生前診断(NIPT)は、妊娠初期(10週以降)の母親の血液を使って検査することができるため、安心、安全、安価にお腹の中の赤ちゃんの染色体異常を調べることができる検査です。
年齢制限なし、紹介状も不要なため、手軽に世界最高レベルのNIPT検査を受けることができます。
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