バニシングツインが出生前DNA鑑定に与える影響について

2024.08.07

リライティング日:2025年06月17日

バニシングツインとは妊娠初期に多胎妊娠の一方の胎児が自然消失する現象です。出生前DNA鑑定(NIPPT)や新型出生前診断(NIPT)への影響、発生原因、妊娠継続時の注意点、seeDNAのサポート体制について詳しく解説します。

バニシングツインとは

バニシングツインとはバニシングツイン(Vanishing Twin)とは、妊娠初期に多胎妊娠であった胎児の一方が自然に消失する現象のことを指します。「バニシング」は英語で「消える」を意味し、文字通り双子のうちの1人が「消えてしまう」ことからこの名称が付けられました。この現象は、初回の超音波検査で双子(あるいはそれ以上の多胎)が確認されたにもかかわらず、その後の検査で一方の胎児が見られなくなることによって発覚します(1)。

バニシングツインは、一般的には妊娠初期の6週から8週の間に発生しやすいとされており、この時期の超音波検査で初めて判明するケースが大半です。妊娠のごく早い段階で起こるため、妊婦さん自身が多胎妊娠であったことに気づかないまま、自然に単胎妊娠へと移行していることも珍しくありません。医学研究によると、初期の超音波検査で双子と確認された妊娠のうち、約20~30%でバニシングツインが起こるという報告もあります(2)。

残った胎児には通常大きな影響はないとされていますが、妊娠の進行状況や胎児の健康状態を慎重に見守るために、追加の超音波検査や血液検査が推奨されることがあります。特に、妊娠中期以降にバニシングツインが発生した場合は、残存する胎児への影響がやや大きくなる可能性があるため、医師との密な連携が重要になります。

バニシングツインの発生原因と増加傾向

バニシングツインの発生原因と増加傾向バニシングツインが発生する主な原因として、以下の要因が挙げられています。

  • 胎児の遺伝的異常(染色体異常):消失する胎児の多くは、トリソミーなどの染色体異常を持っていることが研究で明らかになっています。遺伝情報に重大なエラーがあると、胎児は正常な細胞分裂や発育を継続できず、自然に消失に至ります。
  • 胎児の発育不全:着床後の栄養供給の不均衡や胎盤の形成不良などにより、一方の胎児が十分に成長できないケースがあります。子宮内での環境的な制約が発育不全の一因となることもあります。
  • 着床位置の問題:子宮内での着床位置が不適切な場合、血流が十分に確保されず、胎児の維持が困難になることがあります。
  • 免疫学的要因:母体の免疫反応が一方の胎児に対して過剰に働く可能性も、原因の一つとして研究されています。

さらに近年、体外受精(IVF)をはじめとする生殖補助医療の技術が急速に進歩したことで、多胎妊娠の件数が増えており、それに伴ってバニシングツインの発生するケースも増加していると報告されています(1)。体外受精では複数の受精卵を移植することが一般的であったため、双子以上の多胎妊娠となる確率が自然妊娠に比べて高くなります。最近では単一胚移植(SET)が推奨される傾向にありますが、それでも自然に双子となるケースはゼロではなく、バニシングツインの発生リスクは依然として存在しています。

出生前DNA鑑定(NIPPT)と新型出生前診断(NIPT)の違い

出生前DNA鑑定(NIPPT)と新型出生前診断(NIPT)の違い妊娠中に行われるDNA検査は、その目的によって大きく2つの種類に分かれています。これらは名称が似ているため混同されがちですが、検査の目的も手法も異なります。

一つ目は、母体血中に存在する胎児由来のセルフリーDNA(cfDNA)を分析することで、胎児の父親を確認する「出生前DNA鑑定(NIPPT:Non-Invasive Prenatal Paternity Test)」です。この検査では、母体の血液から胎児のDNA断片を抽出し、推定父親のDNAと照合することで親子関係を判定します。

二つ目は、同様に母体血中のセルフリーDNAを用いて、ダウン症候群(トリソミー21)、エドワーズ症候群(トリソミー18)、パトウ症候群(トリソミー13)などの染色体異常のリスクを評価する「新型出生前診断(NIPT:Non-Invasive Prenatal Testing)」です。

これら2つの検査に共通する大きなメリットは、侵襲的な羊水検査や絨毛膜検査とは異なり、母体からの採血のみで実施できるため流産のリスクがないという点です。この安全性の高さから、近年ではヨーロッパやアメリカを中心に実施件数が急増しています(3)。日本国内でも、出生前検査への関心が年々高まっており、多くの妊婦さんがこれらの非侵襲的検査を選択するようになっています。

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バニシングツインがDNA検査に与える影響

バニシングツインが発生した場合、NIPPTやNIPTの結果に重大な影響を与える可能性があります。その根本的な理由は、消失した胎児のDNAが母体の血液中に一定期間残存することがあるためです。これにより、検査結果に混乱が生じるリスクが生まれます。

具体的にどのような影響があるのか、検査の種類ごとに見ていきましょう。

出生前DNA鑑定(NIPPT)への影響

親子関係の鑑定を行う際に、母体血中から検出される胎児のDNAが消失した胎児のものであった場合、正しい親子関係を示すことが難しくなるケースがあります。たとえば、残存している胎児と消失した胎児の父親が異なる場合(極めてまれですが、異父二卵性双生児のケース)、分析結果に矛盾が生じる可能性があります。また、消失した胎児のDNA断片が混在することでアレル(遺伝子座の型)の判定精度に影響が出ることも考えられます。

新型出生前診断(NIPT)への影響

NIPTでは、消失した胎児が染色体異常を持っていた場合、そのDNAが母体血中で検出されることで、実際には健常な残存胎児に対して偽陽性(本来は陰性であるべき結果が陽性と出ること)の判定が出てしまう可能性があります。逆に、消失した胎児が健常で残存胎児に異常があった場合は、染色体異常のシグナルが薄まることで偽陰性となるリスクもゼロではありません。

このような状況が疑われる場合は、必ず医師や検査機関に相談することが極めて重要です。場合によっては、確定的な検査である羊水検査や絨毛検査を追加で受けることが推奨されることもあります。

バニシングツイン後の妊娠を安心して継続するために

バニシングツインが確認された場合、医療的、心理的、生活習慣の観点で包括的な注意とケアが必要です。以下の手順に沿って、母体と残った胎児の健康を守りながら安心して妊娠を継続していきましょう。

  1. 定期的な超音波検査の実施:残った胎児の成長と発育を細かく監視するために、通常よりも頻度を上げた超音波検査を受けましょう。胎児の大きさ、心拍、羊水量などを継続的にモニタリングすることが大切です。
  2. 母体の健康状態の確認:必要な栄養素の摂取状況やホルモンバランスを定期的にチェックします。葉酸や鉄分などの不足がないか、血液検査を通じて確認することで、胎児の発育を支える母体環境を整えます。
  3. 心理的サポートの活用:バニシングツインの経験は、喪失感や不安をもたらすことがあります。家族や友人と感情を共有したり、必要に応じて専門のカウンセラーに相談したりすることで、精神的なストレスを軽減しましょう。
  4. DNA鑑定機関への事前連絡:出生前DNA鑑定を予定している場合は、バニシングツインの経緯を事前に検査機関へ伝えましょう。これにより検査の精度を高め、正確な結果をより早く受け取ることが可能になります。
  5. 医師との継続的なコミュニケーション:不安な点や体調の変化があれば、遠慮なく担当医に相談してください。適切な追加検査のタイミングや、生活上の注意点について具体的な助言を受けられます。

出生前の親子DNA鑑定は、胎児や母体に安全な方法で妊娠中に父親を特定できる非常に有用な手段です。しかし、バニシングツインなどの特殊な状況があることを知らずに検査を行うと、分析データに混乱が生じ、正しい結果をお出しするのに時間がかかってしまうことがあります。鑑定を開始する前にバニシングツインの経験や多胎妊娠の履歴をご連絡いただくことで、より迅速かつ正確な結果の報告が可能となりますので、ぜひご協力をお願いいたします。

seeDNAでは2025年2月に、出生後の赤ちゃんを対象としたバニシングツインを検出できる特殊DNA鑑定を開始する予定です。この検査により、出生後の赤ちゃんの遺伝情報からバニシングツインの痕跡を確認できるようになり、より精密な遺伝学的評価が実現します。

よくあるご質問

Q1. バニシングツインはどのくらいの確率で発生しますか?

A. バニシングツインは、超音波検査で双子と確認された妊娠のうち約20~30%の割合で発生すると報告されています。妊娠初期の6週から8週の間に発生しやすく、妊娠のごく早い段階で起こるため、気づかないまま単胎妊娠として経過するケースも少なくありません。体外受精による多胎妊娠の増加に伴い、発見されるケースも増加傾向にあります。

Q2. バニシングツインが起きた場合、出生前DNA鑑定(NIPPT)の結果に影響はありますか?

A. はい、影響が出る可能性があります。消失した胎児のDNAが母体の血液中に残存することがあるため、親子関係の判定に混乱が生じるケースがあります。バニシングツインの経験がある場合は、検査開始前に必ず検査機関へお伝えください。事前にご連絡いただくことで、より正確な結果を迅速にお届けすることが可能になります。

Q3. バニシングツインが確認された後、残った赤ちゃんへの影響はありますか?

A. 妊娠初期にバニシングツインが発生した場合、残った胎児には通常大きな影響はないとされています。ただし、定期的な超音波検査で胎児の成長を監視し、母体の健康状態(栄養素やホルモンバランス)を確認することが推奨されます。また、心理的なサポートも大切ですので、不安な点があれば医師やカウンセラーに相談しましょう。

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seeDNA検査部で出生前の胎児DNA鑑定(NGS)担当のMイメージ 著者

出生前の胎児DNA鑑定(NGS)担当M

所属:株式会社seeDNA 検査部

【参考文献】

(1) American College of Obstetricians and Gynecologists (ACOG) – Multiple Pregnancy、2024年
(2) National Library of Medicine – Vanishing Twin Syndrome: A Review、2022年1月
(3) Nature Genetics in Medicine – Cell-free DNA screening in pregnancy、2021年
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