リライティング日:2025年11月28日
NIPTの認証施設と非認証施設の違いを医師が解説。カウンセリング体制・検査項目・費用・予約のしやすさなどのメリット・デメリットを比較し、妊婦さんが最適な施設を選ぶための情報を提供します。
新型出生前診断(NIPT)を検討されている妊婦の皆さまにとって、検査をどこで受けるべきかは非常に重要な選択です。現在、日本国内にはNIPTを提供する認証施設と非認証施設の両方が存在しており、それぞれに異なる特徴があります。ご自身の状況や希望に応じて適切な施設を選ぶことが、安心して検査を受けるための第一歩です。
NIPTは、妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のcfDNA(セルフリーDNA)を分析することで、胎児の染色体異常のリスクを非侵襲的に評価できる画期的な検査です。従来の羊水検査や絨毛検査とは異なり流産のリスクがないため、多くの妊婦さんにとって身体的な負担が少ない検査として広く普及してきました。しかし、NIPTを受ける施設の選択は検査の質やサポート体制に直結するため、慎重に判断する必要があります。本記事では、医師の視点から認証施設と非認証施設それぞれのメリットとデメリットをわかりやすく解説いたします。(1)
NIPT認証施設とは

NIPT認証施設とは、日本医学会の「出生前検査認証制度等運営委員会」による認証を受けた医療機関のことです。NIPTが2013年に臨床研究として日本で開始された際に、適切な遺伝カウンセリング体制と検査精度を確保する目的で設けられました。(2)
NIPTは「非確定的検査(スクリーニング検査)」であり、陽性結果が出ても直ちに確定診断とはなりません。そのため、検査前後に十分な説明とカウンセリングを行い、妊婦さんやパートナーが検査の意義と限界を正しく理解できる環境を整えることが不可欠です。認証制度はこの点を担保するために設計されています。2013年の導入当初は認証施設のみでの実施でしたが、検査技術の普及とともに非認証施設でもNIPTを提供するところが増加し、近年では非認証施設での受検数が認証施設を上回るケースも報告されています。(3)(4)
認証施設の種類:基幹施設と連携施設

認証施設は基幹施設と連携施設の2つに分類されます。それぞれの役割と特徴を理解しておくことで、ご自身に合った施設を見つけやすくなります。
基幹施設
基幹施設は、産婦人科医と小児科医が常勤し、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーが在籍している施設です。遺伝カウンセリングから検査の実施、確定診断(羊水検査・絨毛検査)、その後のフォローアップまでを一貫して自施設内で対応できる体制が整っています。主に大学病院や総合周産期母子医療センターなどの大規模医療機関がこれに該当し、染色体異常が確認された場合の妊娠継続・中断に関する意思決定支援や、出生後の療育に関する情報提供まで包括的なサポートを受けることが可能です。(2)
連携施設
連携施設は、基幹施設と連携しながらNIPTを提供する施設です。検査前のカウンセリングや採血を行いますが、より専門的な遺伝カウンセリングや陽性時の確定検査が必要な場合には基幹施設と協力して対応します。基幹施設の受診が困難な場合には、陽性時のカウンセリングも連携施設で行うことが認められており、地域のかかりつけ医療機関でもNIPTへのアクセスが可能となっています。(2)
NIPTを非認証施設で受けるメリットとデメリット

メリット
非認証施設の大きな魅力は、受けやすさと柔軟さです。
- 年齢制限がない:年齢や医学的条件に関係なく希望すれば検査を受けられる場合が多く、35歳未満でも受検可能など幅広いニーズに対応しています。
- 予約の取りやすさ:全国各地に施設があり、Webから短期間で予約が完了するケースも多いため、妊娠初期の限られた期間内に確実に検査を受けたい方に適しています。
- 費用面でのメリット:プラン内容によって異なりますが、7〜15万円程度で受検できる施設が多く、検査内容やオプションを自由に選べる点も好評です。
- 検査項目の豊富さ:基本の3トリソミーに加え、性染色体異常や微細欠失症候群を含む拡張パネル検査を選択できる場合があります。ディジョージ症候群(22q11.2欠失症候群)などを調べたい方にとっては選択肢が広がります。
- 受診回数が少ない:受診から採血まで1回で完結することも多く、仕事や育児で時間を取りづらい方にも負担が少ない点が魅力です。
デメリット
一方で、非認証施設での受検には注意すべき点があります。最も重要なのは、公的な認証を受けていないため、施設ごとに品質や運用体制に大きな差があることです。(3)
- カウンセリング・サポート体制の不足:遺伝カウンセリングが十分に行われないまま検査を受けた結果、検査の意味を誤解したり、陽性結果に過剰な不安を感じてしまうケースが報告されています。オンライン中心で医師が常駐していない施設では、検査前後の相談が限定的になりがちです。(5)
- 陽性時の対応が不十分な場合がある:陽性結果が出た場合、確定検査(羊水検査など)を自分で医療機関に依頼しなければならないこともあり、受検者が不安を抱えたまま結果に向き合うリスクがあります。(5)
- 検査精度のばらつき:施設によっては海外の分析機関を利用しており、国内基準とは異なる評価法や報告書形式が採用されている場合もあります。こうした違いを理解せずに受検すると、結果の信頼性を判断しづらくなる可能性があります。
NIPTを認証施設で受けるメリットとデメリット
メリット
認証施設の最大の魅力は、整った遺伝カウンセリング体制にあります。
- 充実した遺伝カウンセリング:検査前にNIPTの仕組みや限界、陽性結果の意味などについて、医師や認定遺伝カウンセラーから丁寧な説明を受けられます。NIPTには偽陽性の可能性もあるため、こうした事前説明は非常に重要です。(2)
- 専門家チームによる対応:基幹施設では遺伝の専門家が常勤しており、複雑なケースにも柔軟に対応できます。連携施設で受検した場合でも、必要に応じて基幹施設の専門家によるサポートを受けられます。
- 陽性時のフォロー体制:羊水検査などの確定検査を自施設または連携施設で提供でき、専門医への紹介もスムーズです。産科・小児科・遺伝専門医によるチーム医療で、検査後の意思決定においても多角的なサポートを受けられます。
- 高い透明性:公的なリストで施設情報や実績を確認できるため、施設選びの際に客観的な情報を参照できます。(2)
デメリット
一方で、認証施設にはいくつかの課題もあります。
- 予約が取りにくい:特に基幹施設では遺伝カウンセリングに十分な時間を確保しているため、待機期間が長くなる傾向があります。NIPTの推奨受検時期(妊娠10週以降)を考慮すると、早めの予約が必要です。
- 対象者が限定される場合がある:35歳以上の高齢妊娠や過去に染色体異常のある胎児を妊娠した経験がある場合など、特定の条件を満たす妊婦さんに対象が絞られる傾向があります。ただし、2022年の認証制度改定後は年齢制限の適用が緩和される方向にあります。(6)
- 費用負担が大きい:遺伝カウンセリング費用を含めると10〜20万円程度となり、検査実施までに複数回の受診が必要となる場合もあります。
- 検査項目が限定的:対象が13トリソミー・18トリソミー・21トリソミーの3種類に限定されているため、性染色体異常や微小欠失症候群など、より包括的な検査を希望する方には選択肢が限られます。
認証施設と非認証施設の比較一覧
認証施設と非認証施設の主な違いを一覧で確認しておきましょう。
| 比較項目 | 認証施設 | 非認証施設 |
|---|---|---|
| 遺伝カウンセリング | 充実(専門家常勤) | 施設により差が大きい |
| 検査項目 | 基本3トリソミー | 拡張パネル選択可 |
| 費用目安 | 10〜20万円程度 | 7〜15万円程度 |
上記のほかにも、予約の取りやすさ、受検対象の年齢条件、陽性時の確定検査への連携体制など比較すべきポイントは多岐にわたります。ご自身が何を最も重視するかを明確にしたうえで施設を選ぶことが大切です。
施設選びで後悔しないためのポイント
NIPTの施設を選ぶ際には、以下のポイントを事前に確認しておくことをお勧めします。
- カウンセリングの有無と質:NIPTの結果は「確率」で示されるものであり、その解釈には専門的な知識が必要です。結果説明が文書のみ、あるいは電話のみの施設の場合は注意が必要です。
- 陽性時のフォロー体制:万が一陽性結果が出た場合に、確定検査(羊水検査等)への紹介体制が整っているかを確認しましょう。(3)
- 検査の分析機関と精度:使用している検査キットや分析機関、検査精度(感度・特異度)を事前に確認することも重要です。国内分析か海外送付かによって、報告書の形式や所要日数が異なります。
- 受検可能な時期と予約の流れ:NIPTは妊娠10週以降に受検可能ですが、施設によっては予約から受検まで数週間かかる場合もあります。早めの行動が推奨されます。(1)
- 費用の内訳を確認する:「検査費用」と「カウンセリング費用」が別々に設定されている場合もあるため、総額でいくらかかるのか事前に明確にしておきましょう。
まとめ
NIPTを認証施設で受けるか非認証施設で受けるかは、それぞれの妊婦さんの状況やニーズによって最適な選択が異なります。認証施設は充実したカウンセリング体制とフォローアップ体制に優れ、特に検査結果について専門家と十分に話し合いたい方に適しています。一方、非認証施設はアクセスのしやすさや検査項目の幅広さでメリットがあり、年齢制限なく検査を受けたい方にとって有力な選択肢です。
重要なのは、どちらを選択される場合でも、検査前に十分な情報を得て、検査の意義と限界を理解したうえで受検されることです。NIPTはスクリーニング検査であり、陽性結果が出ても確定診断には羊水検査などの追加検査が必要です。また、陰性結果であっても染色体異常の可能性が完全に否定されるわけではありません。(4)
近年、非認証施設の増加に伴い、検査後のサポート体制が不十分なまま結果を受け取り妊婦さんが困惑するケースが社会問題として取り上げられています。施設選びの際は、費用や予約のしやすさだけでなく、陽性結果が出た場合のフォロー体制やカウンセリングの質にも十分注意を払ってください。本記事が、NIPTを検討されている妊婦さんとそのご家族にとって、より良い選択をするための一助となれば幸いです。ご不明な点がございましたら、seeDNA遺伝医療研究所までお気軽にご相談ください。(1)(5)
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よくあるご質問
Q1. NIPTの認証施設と非認証施設の最大の違いは何ですか?
A. 最大の違いは遺伝カウンセリング体制と陽性時のフォロー体制です。認証施設では日本医学会の基準に基づき、臨床遺伝専門医や認定遺伝カウンセラーによる検査前後のカウンセリングが保証されています。一方、非認証施設では施設ごとにカウンセリングの有無や質に大きなばらつきがあります。(2)
Q2. 35歳未満でもNIPTを受けることはできますか?
A. はい、可能です。非認証施設では年齢制限なく受検できるケースがほとんどです。認証施設でも2022年の制度改定以降は年齢制限が緩和される傾向にありますが、施設によっては依然として35歳以上を対象としている場合があります。ご希望の施設に直接ご確認ください。(6)
Q3. NIPTで陽性と出た場合、確定診断は必要ですか?
A. はい、必要です。NIPTはスクリーニング検査(非確定的検査)であり、陽性結果が出ても確定診断ではありません。偽陽性の可能性もあるため、羊水検査や絨毛検査などの確定検査を受けることが推奨されます。認証施設では確定検査への連携がスムーズですが、非認証施設ではご自身で医療機関を探す必要がある場合もあります。(3)
Q4. 非認証施設でNIPTを受ける際に注意すべき点は何ですか?
A. 最も注意すべき点は、検査前後のカウンセリング体制と陽性時のフォロー体制です。遺伝カウンセリングが不十分なまま検査を受けると、結果の解釈を誤る可能性があります。また、使用している分析機関の信頼性や検査精度、報告書の形式なども事前に確認しておくことをお勧めします。(5)
Q5. NIPTの検査費用はどのくらいかかりますか?
A. 施設によって異なりますが、認証施設では遺伝カウンセリング費用を含めて10〜20万円程度、非認証施設では7〜15万円程度が目安です。非認証施設では検査プランが複数用意されていることが多く、基本検査(3トリソミー)のみであれば比較的安価に受検できます。ただし、費用だけでなくサポート体制も含めて総合的に判断することが大切です。
Q6. NIPTはいつ頃受けるのがよいですか?
A. NIPTは一般的に妊娠10週以降から受検可能です。妊婦さんの血液中に十分な量の胎児由来cfDNAが含まれるようになるのがこの時期からとされています。施設によっては予約から受検まで数週間かかる場合もあるため、検査を希望される場合は妊娠が判明した段階で早めに施設を探し始めることをお勧めします。(1)
Q7. NIPTの検査精度はどのくらいですか?
A. NIPTは21トリソミー(ダウン症候群)の検出において感度99%以上、特異度99.9%以上と報告されており、非常に高い精度を持つスクリーニング検査です。ただし、18トリソミーや13トリソミーでは若干精度が下がる場合があります。また、偽陽性・偽陰性の可能性はゼロではないため、陽性結果が出た場合は必ず確定検査を受けることが推奨されます。(4)
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著者
医学博士・医師
広重 佑(ひろしげ たすく)
医学博士、日本泌尿器科学会専門医・指導医、がん治療学会認定医、抗加齢医学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗菌化学療法学会認定医、性感染症学会認定医、Certificate of da Vinci system
Training As a Console Surgeonほか
2010年に鹿児島大学医学部を卒業後、泌尿器科医として豊富な臨床経験を持つ。また、臨床業務以外にも学会発表や論文作成、研究費取得など学術活動にも精力的に取り組んでいる。泌尿器科専門医・指導医をはじめ、がん治療、抗加齢医学、感染症治療など幅広い分野で専門資格を取得。これまで培った豊富な医学知識と技術を活かして、患者様一人ひとりに寄り添った医療を提供している。
【参考文献】
(1) 日本産婦人科学会, 1999年2月(2) Prenat Diagn, 2016年7月
(3) 日本医学会出生前検査認証制度等運営委員会, 2022年4月
(4) 産経新聞:産経ニュース, 2023年10月
(5) Nat Prod Commun, 2014年8月
(6) J Consult Clin Psychol, 2017年2月