科捜研によるDNA鑑定が偽装されても本当に裁判の判決に影響はない?

2025.10.07

リライティング日:2025年10月23日

佐賀県警科捜研のDNA型鑑定不正130件の問題を報道事実に基づき整理し、「捜査・公判に影響なし」という警察側主張の信頼性を科学鑑定・司法制度の観点から検証する記事です。

佐賀県警から、2012年に採用された40代の技術職員が行った632件のDNA型鑑定のうち、2017年以降7年間にわたって130件もの不正があったと発表されました。16件は殺人未遂など重大事件の「証拠として採用」されましたが、検察・県警は「公判(起訴や裁判)への影響はない」との見解を示しています。「捜査や判決に影響なし」と断言し、「再審事案になりうる可能性」も否定されましたが、果たして本当に信用して良いのでしょうか?(1)(2)

DNA型鑑定は、現代の刑事司法制度において最も強力かつ信頼性の高い科学的証拠の一つとして位置づけられています。その精度は、適正な手順を踏めば数十億人に1人という個人識別能力を持ち、冤罪の証明にも、犯人の特定にも、決定的な役割を果たしてきました。だからこそ、その鑑定過程に不正や偽造があったという事実は、単なる事務的な不祥事とは質的に全く異なる、司法制度の根幹を揺るがしかねない重大事案です。ここでは、今までのメディアの報道を整理し、法制度や科学鑑定の実務を踏まえて、「本当に捜査や判決に影響がない」という主張がどこまで説得力を持つかを、専門的な観点から詳細に検証してみます。

報道されている事実

報道されている事実

まず、現在報道で明らかになっている点を整理します(すべて確定した法的判断ではなく、報道段階での内容です)。事件の全貌を理解するためには、報道各社が伝えている情報を横断的に確認し、どの事実が確定しており、どの部分がまだ不透明であるかを峻別することが重要です。

主な報道内容

  • 130件もの不適切なDNA鑑定
     佐賀県警の科捜研所属の40代技術職員が、2017年以降7年余りにわたり、実際には鑑定をしていないのに鑑定したように見せかけたり、資料を紛失したり、別のガーゼを返却したり、鑑定記録を偽っていた、という不適切行為が130件確認されたと警察発表がありました。報道では、「DNA鑑定を装った虚偽報告」のケース、「鑑定資料を紛失し代替のものを返却した」ケースなどが挙げられています。この職員は、全体で632件の鑑定を担当しており、そのうち約20.6%にあたる130件で不適切な行為があったという説明です。鑑定を行わずに鑑定書を作成するという行為は、単なる手続き上のミスではなく、科学的証拠そのものを捏造する行為であり、その深刻さは計り知れません。(1)(2)
  • 16件は重大事件の証拠として使われていた
     この中で、16件は殺人未遂などの重大犯罪捜査で証拠として扱われていたという報道があります。ただし、警察はこれら16件について「公判に影響はない」との見解を示しており、「証拠として使われた事例はない」という主張をしているという報道もあります。この点、「証拠として扱われた」という報道と「証拠として使われた事例はない」という警察の主張との間には、微妙だが重要な表現の違いがあり、何をもって「証拠として使われた」と定義するかによって評価が分かれ得る状況です。(2)(3)
  • 再鑑定で異なる結果が出た事例もある
     警察自身の調査で、不正とされた鑑定のうち8件について、再鑑定をしたところ「当初の鑑定結果と異なる結果」が得られたという報道があります。この事実だけでも、「不正分のすべてが結果を変えなかった」と断言することは困難だという見方があります。再鑑定で異なる結果が出たということは、不正鑑定が実際に誤った科学的結論を生み出していた可能性を直接的に示すものであり、この8件が具体的にどのような事件に関連していたかは、極めて重要な情報です。(4)
  • 警察・検察の主張:捜査・公判に影響なし
     佐賀県警は「捜査や裁判には支障なかった」「公判に影響するようなケースはなかった」と述べており、検察も「証拠として使われた事例はない」としているという報道があります。ただし、弁護士会や専門家からは「内部調査で終わらせてはならない」「司法制度への信頼が揺らぐ」とする批判も出ています。佐賀県弁護士会も会長声明を発表し、独立した第三者機関による徹底した検証を求めています。また、佐賀県警本部長は、第三者委員会を設置しない旨の考えを県議会で示しており、これにも異論が出ています。(2)(5)
  • 刑事責任を問う可能性
     報道段階で、当該職員については「虚偽有印公文書作成罪」「証拠隠滅罪」などの法的責任があり得るという弁護士コメントも報じられています。虚偽有印公文書作成罪は、公務員がその職務に関し、行使の目的をもって虚偽の文書を作成する犯罪であり、刑法上1年以上10年以下の懲役が科せられる重大犯罪です。証拠隠滅罪についても、鑑定資料の紛失や別物の返却といった行為が該当する可能性が指摘されています。(6)
  • 当該職員の処分と組織の対応
     当該職員は懲戒免職処分となったことが報じられていますが、職員個人の処分だけで問題の本質が解決するわけではありません。不正が7年間にわたって見過ごされていたこと自体が、科捜研内部のチェック体制やガバナンスに重大な欠陥があったことを示唆しており、組織的な再発防止策の構築が不可欠です。(1)

これらを総合すると、「不正があったこと」はほぼ間違いないと報道されていますが、「それが捜査・判決に実質的な影響を及ぼしたか否か」は、まだ確定的には述べられていません。特に、不正の具体的内容(虚偽報告の内容、紛失した資料の種類、偽った記録の範囲など)の詳細が十分に公開されていない現段階では、外部から検証を加えることにも限界があります。

科学鑑定・司法制度の観点からの考察

科学鑑定・司法制度の観点からの考察

次に、「DNA鑑定」が刑事捜査・裁判で果たす役割、その信頼性、偽造・誤りがあった場合の影響を、より専門的な視点から考察します。DNA型鑑定は1980年代にイギリスで初めて犯罪捜査に導入されて以来、世界中の刑事司法制度において不可欠な科学的証拠となっています。日本でも1990年代以降、科学警察研究所や各都道府県の科捜研が中心となってDNA型鑑定の技術を導入・発展させてきました。

DNA鑑定の意義と限界

DNA鑑定は、特に現代の刑事事件で「被疑者と証拠物との遺伝的対応性(マッチング)」を示す有力な科学的証拠として用いられます。被告がそのDNA型と一致するかどうか、あるいは排除できるかどうかを示すものです。現在主流のSTR(Short Tandem Repeat)分析法では、15〜20以上の遺伝子座を同時に解析することで、偶然の一致が起こる確率は数十億分の1〜数兆分の1にまで低減されており、個人識別の精度は極めて高いものとなっています。

ただし、DNA鑑定にも限界があります:

  • 試料の混入、汚染、誤操作、交差反応などが起こり得る。特に微量DNAや劣化した試料では、増幅時のアーティファクト(偽の信号)が発生しやすく、解釈に高度な専門知識を要する。
  • 鑑定解釈(例えば、複数人が混ざった試料、微量DNA、部分的アレルなど)には専門的判断が必要であり、必ずしも「完全確定」の証拠ではない。混合試料の解釈では、鑑定者の主観が介入する余地があることも指摘されている。
  • 裁判では、鑑定結果はあくまで「証拠の一つ」であり、弁護側が反証や疑義を挙げ得る。日本の刑事訴訟法においても、科学的鑑定に対する反対鑑定の請求は認められている。
  • 科学鑑定機関や鑑定者の信頼性が低ければ、鑑定結果そのものを疑う必要が出てくる。今回の佐賀県警科捜研の事例は、まさにこの点が問題視されている。

つまり、DNA鑑定は強力な証拠になり得ますが、絶対無謬(まちがいがない)ではないという前提があります。鑑定の信頼性は、適正な手順の遵守、鑑定者の能力と誠実さ、試料の連鎖管理(チェーン・オブ・カストディ)の厳格な運用に依存しています。今回のように鑑定者自身が不正を行っていた場合、この信頼の根幹が崩壊することになります。

偽造・改ざんがあった場合の影響

偽造・改ざん、あるいは鑑定操作ミスがあった場合、以下のようなリスクが生じます:

  1. 誤判・冤罪リスク
     被疑者と無関係のDNA型を偽って提出すれば、被告が有罪とされる可能性があります。ただし、実際には、DNA鑑定以外にも他の証拠(目撃証言、物的証拠、状況証拠など)が併存することが多いため、DNAだけで判決が決まるケースは限定的です。しかし、DNA鑑定の結果が捜査方針を決定づけ、他の証拠の収集や解釈にも影響を与えることは十分にあり得ます。たとえば、DNA鑑定で「一致」とされた被疑者に捜査が集中し、真犯人の追跡が打ち切られるというケースは、海外では実際に報告されています。(7)
  2. 再審請求・上訴リスク
     すでに有罪判決が確定した事件でも、後日偽造・改ざんが明らかになれば、再審を請求できる可能性があります(刑事訴訟法第435条の制度的枠組みによる)。偽造が明白であれば、有罪判決の根拠そのものが揺らぐという主張が可能になります。日本の再審制度では、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」(同法第435条6号)が再審理由の一つとされており、鑑定不正の発覚は「新たに発見された証拠」に該当する可能性があります。
  3. 信頼性低下・制度への打撃
     鑑定機関や司法制度に対する国民の信頼が損なわれれば、以後の鑑定証拠全体を疑う動きが出てくる可能性があります。これは制度的リスクです。アメリカでは過去にFBIの毛髪鑑定の不正が発覚し、数千件規模での証拠の再検証が行われた前例があります。同様の事態が日本で起これば、司法制度への信頼に長期的かつ深刻なダメージを与えることになりかねません。(8)
  4. 特定事件における無効化・再調査
     当該不正が行われた鑑定が証拠として利用された事件においては、裁判所がその鑑定証拠の信用性を否定したり、再鑑定を命じたり、証拠排除(採用を認めない)を行う余地が出てきます。日本の裁判実務では、違法に収集された証拠や信用性に重大な疑義がある証拠を排除する「違法収集証拠排除法則」が判例上確立されており、本件のような不正鑑定結果もこの枠組みで検討される可能性があります。
  5. 立証責任・反証機会
     弁護側が「この鑑定は不正だった可能性がある」と主張すれば、裁判所はその点を検討する義務を負う可能性があります。鑑定過程・鑑定報告書の記録を公開させる、反対鑑定をさせるなどのプロセスが動くこともありえます。特に、今回のように同一の鑑定者が組織的・継続的に不正を行っていたことが判明した場合、その鑑定者が関わった全ての鑑定の信用性が問われることになります。
  6. 部分的には”効力制限”される可能性
     不正疑義がある証拠部分だけが排除され、他の正常な鑑定証拠等で判断される、という裁判的な落とし所をとる可能性も考えられます。しかし、DNA鑑定が捜査の方向性を決定づけた場合には、他の証拠の収集自体が当該鑑定結果を前提としている可能性があり、「部分的排除」だけでは不十分な場合もあり得ます。

“影響なかった”という主張が成り立ちうる条件

警察・検察が「捜査・公判に影響ない」と主張するには、少なくとも次のような条件が網羅的に満たされている必要があります:

  • 不正鑑定を証拠として用いた事件が存在しない、あるいはそれらの鑑定が事件判断に用いられなかったことが確認できていること。具体的には、当該130件に関連する全事件の起訴状・論告・判決文を精査し、鑑定結果への言及がないことを確認する作業が必要である。
  • 不正とみなされた鑑定の中で、正しい鑑定(再鑑定等)をした結果、元の結論と同一であったことが証明されていること。ただし、前述のとおり8件で異なる結果が出ているため、この条件は全件では満たされていない。
  • 他の証拠(目撃証言、物証、アリバイ、複数の証拠の整合性など)によって、仮にDNA鑑定を外しても有罪判断が可能であったこと。これは各事件ごとに個別具体的に検証する必要がある。
  • 裁判所が鑑定証拠の信用性を十分チェックしたという記録が残っていること。日本の刑事裁判では、科学的鑑定の信用性判断は裁判官の自由心証に委ねられており、その判断過程が判決文に詳細に記述されていることが望ましい。

これらの条件が確実に満たされていなければ、「影響なし」とする主張は疑問をもたざるを得ません。特に、再鑑定で異なる結果が出た8件の存在は、この主張の大きな弱点となっています。

DNA鑑定の不正・偽造が過去に引き起こした問題

DNA鑑定の不正・偽造が過去に引き起こした問題今回の佐賀県警の事案を理解する上で、国内外でのDNA鑑定や科学鑑定における不正事例を振り返ることも有益です。科学鑑定の不正は、世界的に見ても決して珍しいことではなく、それが司法に与えた影響は甚大なものがあります。

海外の事例

アメリカでは、2000年代にヒューストン犯罪科学研究所のDNA鑑定部門が閉鎖に追い込まれた事例があります。試料の汚染管理が杜撰であったことや、鑑定者の技術的な能力不足が発覚し、数千件の事件の再検証が必要となりました。その結果、少なくとも数件で冤罪が確認され、無実の市民が数年にわたって投獄されていたことが明らかになりました。また、イギリスでは鑑定資料のラベル取り違え(いわゆる「サンプル・スワップ」)によって、別人のDNA型が被疑者のものとして報告された事例も報告されています。(8)

これらの事例が示すのは、DNA鑑定の不正や誤りは理論上の懸念ではなく、現実に冤罪や司法判断の歪みを引き起こしてきたという厳然たる事実です。「影響がなかった」と結論づけるためには、そうした可能性を一つ一つ排除する徹底的な検証が不可欠であり、内部調査だけでそれが可能であるとは考えにくいと言わざるを得ません。

日本国内での教訓

日本においても、過去には足利事件(1990年)で当時のDNA型鑑定(MCT118法)の精度が問題となり、無実の男性が17年以上にわたって服役するという悲劇が起きています。この事件では、DNA鑑定の再鑑定(STR法による再検査)によって冤罪が証明され、2010年に再審無罪が確定しました。足利事件は、DNA鑑定が「絶対的な証拠」ではないこと、そして鑑定技術や鑑定者の質が司法判断に決定的な影響を与え得ることを、日本社会に突きつけた象徴的な事例です。今回の佐賀県警の事案は、技術的な限界ではなく鑑定者による意図的な不正であるという点で、足利事件とは性質が異なりますが、科学鑑定への盲信が危険であるという教訓は共通しています。

報道段階で見える限界と懸念点

報道を見る限り、「捜査・公判に影響なし」という警察側の主張には、少なくとも次のような疑問点があります。これらの疑問は、報道に基づく限りにおいての指摘ですが、いずれも司法制度の信頼性に関わる本質的な問題を含んでいます。

再鑑定で異なる結果が出た例がある

前述のとおり、8件については再鑑定で当初の(不正とされた)鑑定と異なる結果が出たという報道があります。もしこれが正しければ、不正鑑定が誤りを導いた可能性が具体的に示唆されており、「すべて影響がなかった」と断言できなくなります。特に、異なる結果が出た8件が、有罪判決の根拠となった事件に含まれている場合、その判決の正当性そのものが根本から問われることになります。「異なる結果」の具体的な内容(完全に別人のDNA型が検出されたのか、部分的に異なるアレルが検出されたのか等)も、評価にとって極めて重要な情報ですが、報道段階ではその詳細は明らかになっていません。(4)

「影響なし」の主張の裏付けが不透明

警察・検察側は「影響なし」としていますが、その主張を支える具体的な調査結果、独立性のある検証、第三者の関与、公開性などの説明は、報道段階では十分に見えてきていません。たとえば、どのような再鑑定をしたか、どの範囲で精査したか、反対鑑定や反証の機会を与えたか、という詳細は報道には出ていません。また、報道では、佐賀県警本部長が「第三者委員会を設置しない」という答弁をしており、透明性・公平性を担保する外部調査を拒む意向も示しているという指摘もあります。これは、「お手盛りの内部調査で結論を出している」という批判を招きかねない対応です。自組織の不祥事を自組織が検証して「問題なし」と結論づけることの限界は、いくら強調しても強調しすぎることはありません。(2)

そもそも不正の全貌が明らかではない

130件という数自体は大きく、どの不正鑑定がどのような事件に使われたか、その鑑定が素材的に決定的かどうか、どの程度事件判断に依存していたかなど、個別ケースの詳細が報道では不足しています。不正鑑定が行われた事件のうち、公判・判決に使われたものがどれだけあるか、その中で鑑定が決定的だったものがあるかどうか、という精査がまだ不透明です。東京新聞の報道でも、不正の手口は「偽装、改ざんだらけ」と指摘されており、その態様は多岐にわたっている可能性があります。7年間にわたって不正が見逃されていたという事実は、科捜研内部の品質管理体制そのものに重大な瑕疵があったことを意味しています。(7)

再審請求・将来の検証可能性

たとえ現時点で「影響なし」と判断されていても、不正が明らかになった以上、過去の判決・事件に対して再審請求や補償請求がなされる可能性は残ります。司法制度上、そのような請求は法的に想定される制度です。特に、既に服役中または服役を終えた被告人やその弁護人が今回の報道を知った場合、自身の事件に関連する鑑定が不正だったのではないかという疑念を抱くのは当然のことです。弁護士会からも、関連事件の被告人・弁護人に対して適切な情報提供がなされるべきだという声が上がっています。(2)

科学鑑定全体の信頼性低下

今回のような事件は、DNA鑑定のみならず、他の科学鑑定手法(指紋、鑑識、化学分析など)に対しても疑義を呼ぶ可能性があります。つまり、この1件の不祥事が、“鑑定証拠全体への信頼”を揺るがす悪影響を及ぼす可能性があります。科捜研の品質管理体制は全国的に見ても統一的な外部監査制度が確立されているとは言い難く、今回の事案をきっかけに、全国の科捜研におけるガバナンスの見直しが求められることになるでしょう。日本共産党の機関紙でも「証拠の偽造は重大」として徹底検証を求める論説が掲載されるなど、政治的にも注目を集めている問題です。
不正やミスを防ぐためのseeDNA遺伝医療研究所の取り組み(8)

まとめ

現時点で「影響なし」とする主張を鵜呑みにするのは危険であり、以下のような見方が妥当だと考えられます。

  • この事件の不正性は極めて重大であり、仮に影響がなかったとしても、判断可能性が疑われる余地があります。130件という規模、7年間という期間、そして再鑑定で異なる結果が出た8件の存在は、いずれも深刻な事態を示しています。
  • 「影響なし」とする主張を信じるには、それを裏付ける十分な透明性・第三者検証・再鑑定結果などの説明が不可欠です。内部調査のみで結論を出し、第三者委員会の設置を拒否する姿勢は、この主張の信頼性を大きく損なっています。
  • 過去の判決・事件のうち、当該不正鑑定が証拠として利用されたものについては、事後検証・再審請求がなされる可能性があります。関連事件の被告人・弁護人への適切な情報開示が強く求められます。
  • 今後の対応(第三者委員会の設置、全鑑定書の点検、鑑定プロセスの見直し・公開化、全国の科捜研における品質管理体制の統一的な整備など)が、司法制度全体の信頼回復に不可欠でしょう。
  • DNA鑑定をはじめとする科学鑑定は、適正な手順と誠実な運用があって初めて司法の正義に寄与するものです。今回の事案を教訓に、鑑定機関の独立性・透明性を高める制度設計が急務です。

DNA型鑑定は、正しく運用されれば冤罪の防止にも犯人の特定にも極めて有効な科学技術です。しかし、その信頼性は鑑定プロセスの適正さに完全に依存しています。今回の佐賀県警科捜研の事案は、科学鑑定の品質管理と外部監査の重要性を改めて浮き彫りにしたものであり、司法に関わるすべての関係者が真摯に向き合うべき問題です。seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001に基づく厳格な品質管理体制のもと、一つひとつの鑑定に誠実に取り組んでおり、このような不正が二度と起こらないための業界全体の意識向上にも貢献してまいります。

よくあるご質問

Q1. 佐賀県警科捜研のDNA鑑定不正とは、具体的にどのような行為だったのですか?

A. 報道によると、40代の技術職員が2017年以降7年間にわたり、実際には鑑定をしていないのに鑑定したように見せかける虚偽報告、鑑定資料の紛失、別のガーゼの返却、鑑定記録の偽造など、多岐にわたる不正行為を行っていたとされています。全632件の担当鑑定のうち130件で不正が確認されました。(1)

Q2. 「捜査・公判に影響なし」という警察の主張は信用できるのですか?

A. 現時点では、その主張を裏付ける具体的な調査結果や第三者による検証が十分に公開されていません。さらに、再鑑定で8件において当初と異なる結果が出たという報道もあり、「すべて影響がなかった」と断言するには根拠が不十分と言わざるを得ません。佐賀県警本部長が第三者委員会の設置を拒否していることも、主張の信頼性を損なう要因となっています。(2)(4)

Q3. 不正鑑定が関わった事件で再審請求は可能ですか?

A. 法制度上、再審請求は可能です。刑事訴訟法第435条では、無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見した場合に再審を請求できると定められています。鑑定不正の発覚は「新たに発見された証拠」に該当し得るため、関連事件の被告人やその弁護人が再審請求を行う可能性は十分にあります。

Q4. DNA鑑定の信頼性を確保するためにはどのような仕組みが必要ですか?

A. DNA鑑定の信頼性確保には、①国際品質規格(ISO17025やISO9001等)に基づく品質管理体制の構築、②鑑定プロセスの二重チェック(ダブルブラインド方式など)、③定期的な外部監査・技能試験の実施、④試料の連鎖管理(チェーン・オブ・カストディ)の厳格な運用、⑤鑑定記録の電子化と改ざん防止措置などが重要です。seeDNA遺伝医療研究所では、ISO9001とPマークを取得し、これらの要素を包括的に実施しています。

Q5. 今回の不正は他の都道府県の科捜研にも及ぶ問題ですか?

A. 今回確認された不正は佐賀県警の科捜研に限定されたものですが、この事案は全国の科捜研における品質管理体制やガバナンスのあり方に疑問を投げかけるものです。全国統一的な外部監査制度が確立されていない現状では、同様のリスクが他の科捜研にも存在する可能性を完全に否定することはできず、全国的な制度見直しが求められています。(7)

Q6. 民間のDNA鑑定機関と公的な科捜研の鑑定には、どのような違いがありますか?

A. 科捜研は警察組織の一部として刑事事件の捜査を目的とした鑑定を行いますが、組織の独立性や外部監査の面で課題が指摘されています。一方、民間のDNA鑑定機関(seeDNA遺伝医療研究所など)は、ISO9001等の国際品質規格に基づく客観的な品質管理体制のもとで運営されており、第三者機関による定期的な審査を受けています。目的に応じて適切な鑑定機関を選択することが重要です。

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seeDNA遺伝医療研究所医学博士 富金 起範 著者

医学博士 富金 起範

筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発

【参考文献】

(1) 朝日新聞, 2025年9月
(2) FNNプライムオンライン, 2025年9月
(3) note(ノート), 2025年9月
(4) TBS NEWS DIG, 2025年9月
(5) 東京新聞デジタル, 2025年9月
(6) 佐賀県弁護士会 会長声明(PDF), 2021年6月
(7) livedoor, 2025年9月
(8) 主張/DNA鑑定の不正/証拠の偽造は重大 徹底検証を, 2025年10月
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