リライティング日:2024年10月10日
映画「そして父になる」を題材に、日本で実際に起きた新生児取り違え事件の歴史とDNA型鑑定の重要性を解説。早期のDNA鑑定が悲劇を防ぐ手段であることを詳しく紹介します。
映画「そして父になる」が描いた新生児取り違え問題
「そして父になる」という映画をご存知でしょうか。2013年に公開されたこの作品は、是枝裕和監督によるヒューマンドラマで、カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けました。物語の中心にあるのは、とある2つの家族間で子供の取り違えが病院にて判明し、DNA型鑑定と血液型でその取り違えが確定され、その後の深い葛藤を描いたものとなっています。
この映画は単なるフィクションではなく、日本で実際に起きた複数の新生児取り違え事件をモチーフにしていると言われています。映画の中では、血液型の矛盾がきっかけとなって取り違えの疑いが浮上し、最終的にDNA型鑑定によって取り違えの事実が確定します。このプロセスは、現実の取り違え事件でも同様に行われてきたものであり、DNA型鑑定がいかに正確で信頼性の高い親子関係の証明手段であるかを如実に物語っています。
日本における新生児取り違え事件の実態
日本ではベビーブームの頃にこの映画のような取り違え事故があったようです。1973年の日本法医学学会によると、昭和32年(1957年)から46年(1971年)までの間に全国で32件もの取り違え事件が報告されています。諸外国においても同種事件は6件報告されていますが、日本ではその5倍もの悲劇が起きていることになります。しかもこの32件という数字は報告されたものだけです。実態はこの10倍はあると推測されています。(1)
なぜ日本でこれほど多くの取り違え事件が発生したのでしょうか。その背景には、ベビーブーム期の産科医療機関の過密状態があります。一つの病院で同時に多くの出産が行われ、新生児の管理体制が十分に整っていなかった時代です。当時は新生児に識別バンドを装着する習慣も徹底されておらず、沐浴や授乳の際に赤ちゃんを間違えてしまうリスクが常に存在していました。
2013年に明らかになった取り違え事件の詳細
近年でも下記のような男性の例が報告されています。2013年に、1953年に別の赤ん坊と取り違えられていたことがわかった男性が、2億5000万円の賠償を求めて病院を提訴し、3800万円の賠償金を結果として得ています。(2)
この男性は誤って引き取られた家庭で極貧生活を強いられ、中学を卒業すると町工場で働かざるをえず、辛うじて定時制高校を卒業し、トラック運転手をするなどして糊口を凌いできました。しかし、実の両親には経済的なゆとりがあり、誤って引き取られた子をふくめ兄弟4人が、私立高校から大学や大学院に進んだと言います。この事例は、新生児の取り違えが一人の人間の人生をいかに大きく変えてしまうかを痛烈に示しています。(2)
さらに近年では、67年前に産院で取り違えられた男性が、20年以上にわたって生みの親を捜し続けているという事例も報道されています。2025年には東京都に対して生みの親の調査を命じる判決が出されるなど、取り違え問題は過去の出来事ではなく、現在進行形で当事者の人生に影響を及ぼし続けています。調査の結果、68年の歳月が経過していたため実の親の特定には至らなかったと報告されており、時間の経過がいかに真実の究明を困難にするかを物語っています。(3)(4)(5)
DNA型鑑定とは?その仕組みと精度
DNA型鑑定とは、個人のDNA(デオキシリボ核酸)に含まれる特定の遺伝子座(ローカス)のパターンを分析し、個人識別や親子関係の判定を行う科学的な手法です。人間のDNAは約30億の塩基対で構成されていますが、その中には個人ごとに繰り返し回数が異なる「STR(Short Tandem Repeat:短鎖縦列反復配列)」と呼ばれる領域が存在します。
子供は父親と母親からそれぞれ半分ずつのDNAを受け継ぎます。したがって、子供のDNA型は必ず父親由来のアレル(対立遺伝子)と母親由来のアレルの組み合わせで構成されています。DNA型鑑定では複数の遺伝子座を同時に分析し、子供のDNA型が推定される父親のDNA型と矛盾しないかどうかを確認します。現在の技術では20座位以上の遺伝子座を同時に検査することが可能であり、親子関係の肯定確率は99.99%以上という極めて高い精度に達しています。
血液型検査との違い
映画「そして父になる」では血液型の不一致が取り違え発覚のきっかけとなりましたが、血液型検査だけでは親子関係を正確に判定することはできません。ABO式血液型は4種類しかなく、Rh式を加えても8種類です。そのため、血液型が一致する確率は非常に高く、血液型だけで親子関係を確定することには大きな限界があります。
- 血液型検査:4〜8パターンしかなく、あくまで「否定」の材料にしかならない
- DNA型鑑定:数十億通り以上のパターンを識別でき、親子関係を99.99%以上の精度で「肯定」できる
- DNA型鑑定は口腔粘膜の採取だけで検査可能であり、採血の必要がない
- 新生児期から検査可能であり、早期の親子確認に最適
早期のDNA型鑑定が悲劇を防ぐ
冒頭の「そして父になる」という映画は子供が6歳の時に取り違えが判明しましたが、子供がお腹にいるとき、もしくは生まれた直後にDNA型鑑定を行っていれば、悲劇がここまで拡大しなかったのではないでしょうか。6年間にわたって育ててきた子供が実の子ではなかったという事実は、両家族に計り知れない精神的苦痛をもたらしました。もし出産直後にDNA型鑑定を行っていれば、すぐに取り違えに気づくことができ、双方の家族が本来の親子関係のもとで生活を始めることができたはずです。
弊社の代表がDNA型鑑定のサービスを始めたのも、生まれた子供の取り間違いが疑われる状況だったことがきっかけでした。そのため、このような問題は映画やニュースに出てくる話というだけではなく、身近なところで誰にでも起こりうる可能性があることなのです。
DNA型鑑定が必要とされるケース
新生児の取り違え確認以外にも、DNA型鑑定は様々な場面で活用されています。
- 親子関係の確認:出産後の親子確認、認知に関する法的手続き
- 家族関係の証明:相続問題、ビザ申請における血縁関係の証明
- 法的紛争の解決:離婚調停や裁判における親子関係の立証
- セカンドオピニオン:他機関で受けた鑑定結果の再確認
- 出生前鑑定:妊娠中の段階で父子関係を確認する検査
seeDNAのDNA型鑑定は高精度で価格もリーズナブル
seeDNAのDNA型鑑定は高精度で価格もリーズナブルで、万が一の再鑑定も無料にて承ります。弊社では国際基準に準拠した検査体制を整えており、すべての鑑定において複数の鑑定士による二重チェックを実施しています。これにより、ヒューマンエラーを徹底的に排除し、信頼性の高い結果をお客様にお届けしています。
また、検体の採取方法も簡単です。口腔内の粘膜を専用の綿棒で軽くこするだけで十分なDNAサンプルを採取することができます。痛みを伴う採血は一切不要であり、新生児や小さなお子様にも安心してご利用いただけます。採取キットはご自宅にお届けし、採取後は返送用封筒でお送りいただくだけという手軽さも大きな特長です。
セカンドオピニオンとしてのDNA型鑑定を我々seeDNAにお任せください。他の検査機関で既に鑑定を受けられた方も、結果に不安がある場合は弊社で改めて検査を受けていただくことが可能です。大切なご家族の絆を科学的に確認するために、私たちseeDNAが全力でサポートいたします。
現代の産科医療と取り違え防止対策
現在の産科医療機関では、新生児の取り違え防止のために様々な対策が講じられています。出生直後に母子のペアに同一番号の識別バンドを装着する方法や、電子タグを用いたシステムの導入などが進んでいます。しかしながら、人間が関与する以上、完全にリスクをゼロにすることは困難です。
だからこそ、DNA型鑑定による科学的な親子確認が最も確実な方法として注目されています。特に多胎分娩が多い施設や、NICUでの長期入院を経た後の退院時など、取り違えリスクが高まる場面では、DNA型鑑定による確認が一層重要になります。安心して子育てをスタートするために、出産後の早い段階でDNA型鑑定を検討されることをおすすめいたします。
よくあるご質問
Q1. DNA型鑑定はどのくらいの精度がありますか?
A. 現在の技術では20座位以上の遺伝子座を同時に分析するため、親子関係の肯定確率は99.99%以上という極めて高い精度を実現しています。血液型検査とは比較にならないほどの信頼性があり、法的にも認められる証拠として採用されています。
Q2. 新生児でもDNA型鑑定を受けることはできますか?
A. はい、可能です。DNA型鑑定は口腔内の粘膜を綿棒で採取するだけで検査できますので、新生児にも安全に実施できます。採血の必要は一切ありません。出産直後から検査を受けていただくことが可能です。
Q3. 取り違えの疑いがある場合、まず何をすべきですか?
A. まずは信頼できるDNA型鑑定機関にご相談ください。seeDNAでは、お電話やメールでのご相談を随時承っております。検体の採取キットをご自宅にお送りし、簡単な手順で検査を進めることができます。
Q4. 血液型が親子で一致している場合でも取り違えの可能性はありますか?
A. あります。ABO式血液型は4種類しかないため、血液型が一致していても親子関係があるとは限りません。確実に親子関係を確認するためには、DNA型鑑定が必要です。血液型検査はあくまで「否定」の参考材料にしかなりません。
Q5. seeDNAで再鑑定を依頼した場合、費用はかかりますか?
A. seeDNAでは、万が一の再鑑定も無料にて承っております。他機関で受けた鑑定結果に不安がある方のセカンドオピニオンとしてもご利用いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
Q6. DNA型鑑定の結果が出るまでどのくらいの期間がかかりますか?
A. 通常、検体が弊社に到着してから数日〜1週間程度で結果をお知らせしております。お急ぎの場合は特急対応も可能ですので、お気軽にご相談ください。
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
家族や親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
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著者
医学博士 富金 起範
筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発
【参考文献】
(1) J-CAST ニュース, 1970年1月(2) – YouTube, 2025年6月
(3) 読売新聞, 2025年4月
(4) 朝日新聞, 2026年3月
(5) Psychon Bull Rev, 2001年9月