リライティング日:2025年07月28日
妊婦健診で行われるエコー検査(超音波検査)によるダウン症スクリーニングの仕組み・精度・限界を詳しく解説し、高リスク判定後の対応としてNIPTなどの後続検査についても紹介します。
エコー検査(超音波検査)とは
エコー検査(超音波検査)とは、妊娠が分かったら誰もが受ける基本的な検査で、胎児の成長と発育状況、妊娠週数や、胎児の先天的な異常の有無などを確認する為に行われます。 超音波を用いて体内の画像をリアルタイムで映し出す技術であり、放射線(X線など)を使用しないため、母体にも胎児にも安全に繰り返し行える点が大きな特徴です。(1)
エコー検査は妊娠中において非常に重要な役割を担い、胎児の発育や母体の状態を把握するために定期的に行われます。一般的に妊婦健診では妊娠初期・中期・後期にわたって複数回のエコー検査が実施され、それぞれの時期に応じて確認すべきポイントが異なります。早期の異常発見やリスク管理に繋がるため、妊婦にとっては必須の検査であることは言うまでもないですが、遺伝性疾患・染色体異常の兆候などに関してもスクリーニング検査として利用されます。
エコー検査には大きく分けて「経腟超音波検査」と「経腹超音波検査」の2種類があります。妊娠初期(おおよそ妊娠12週まで)は経腟法が主に用いられ、子宮内に胎嚢(たいのう)が確認できるか、心拍が確認できるかといった点が最初にチェックされます。妊娠中期以降は経腹法に切り替わり、胎児の各臓器の形態や発育具合をより詳細に観察することが可能になります。(2)
エコー検査でダウン症リスクを調べる仕組み
エコー検査がダウン症(21トリソミー)のスクリーニングとして注目されるのは、特に妊娠初期に測定されるNT(Nuchal Translucency:首の後ろの浮腫・むくみ)の計測がダウン症リスクの評価に深く関わっているためです。NTとは、胎児の首の後ろに観察される透明な液体が溜まった領域のことで、すべての胎児に一定程度みられるものですが、この厚みが通常より大きい場合、ダウン症を含む染色体異常のリスクが高まる可能性が示唆されます。(3)
NT測定は一般的に妊娠11週0日から13週6日の間に行われ、頭からお尻までの長さ(頭殿長:CRL)が45mm〜84mmの範囲であることが測定の条件とされています。NTの基準値は妊娠週数によって変動しますが、一般的に3.0mm以上の場合は「増加」とみなされ、染色体異常の精密検査が推奨されることがあります。ただし、NTが厚いからといって必ずしも染色体異常があるとは限りません。NT増加は正常な胎児でもみられることがあり、あくまでもリスクの指標の一つにすぎないことを理解しておく必要があります。
妊娠初期のNT測定に加えて、以下のような所見もダウン症のリスク評価に用いられることがあります。
- 鼻骨の未発達(低形成・欠如) — 妊娠初期のエコーで鼻骨が確認できない場合、ダウン症のリスクが高まるとされています
- 心臓の構造異常 — 心室中隔欠損や房室中隔欠損などはダウン症に関連する心疾患として知られています
- 十二指腸閉鎖(ダブルバブルサイン) — 妊娠中期以降のエコーで観察されることがあり、ダウン症との関連が指摘されています
- 四肢の短縮 — 大腿骨や上腕骨が妊娠週数に比べて短い場合、リスク因子の一つとして評価されます
- 腸管の高輝度エコー — 腸管が骨と同等の輝度で描出される所見で、ダウン症を含む染色体異常のマーカーとされています
これらの所見は「ソフトマーカー」と呼ばれ、単独では診断の根拠とはなりませんが、複数のマーカーが同時に認められる場合はリスクが高くなると考えられています。
ダウン症を検出できるエコー検査の精度と限界
エコー検査は新型出生前診断(NIPT)とは違って年齢制限などはなく、全ての妊婦さんが受けられる検査であり、特にダウン症のリスクを確認する、コンバインドスクリーニング検査として、妊娠初期に血液検査と超音波検査を行う2部構成が一般的です。
オーストラリアのある病院では妊娠12週から13週の間に、2種類のホルモン(ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン、胎盤成長ホルモン)と1種類のタンパク質(妊娠関連血漿タンパク質A:PAPP-A)を測定する血液検査と超音波検査を提供しており、これによるダウン症候群の検出精度は約85〜90%であると主張しています。 この検出率はあくまで「コンバインド検査」として超音波と血液検査を組み合わせた場合の数値であり、エコー検査単独での精度はこれよりも低くなることが多いとされています。(4)
一方では、アメリカの大手遺伝子検査会社の集計によると、エコー検査により高リスクと診断された18人の妊婦のうち、実際にお腹の赤ちゃんがダウン症であったのは1人であったという報告もあります。 つまり、残りの17人は「偽陽性」であったということになり、これはエコー検査が持つ大きな課題の一つといえます。(5)
コンバインドスクリーニング検査における偽陽性率は一般的に約5%程度とされており、陽性適中率(PPV:Positive Predictive Value)は母体年齢やその他のリスク因子によって大きく変動します。特に若年の妊婦さんの場合、ダウン症の有病率が低いため、検査で陽性と判定されても実際にはダウン症ではない確率が高くなります。
エコー検査の精度に関してはバラツキが多いうえ、国内の医療機関における精度に関する資料も多くありませんが、一つだけ言えるのはエコー検査はスクリーニング検査であるため、正確に疾患の有無を確認するには追加の検査が必要となることです。エコー検査の精度に影響を与える要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 検査時期 — NT測定は妊娠11〜13週に行う必要があり、適切な時期を外すと正確な測定ができません
- 検査技師の技術・経験 — NT測定は高度な技術を要するため、検査者の熟練度によって結果が左右されることがあります
- 胎児の体位 — 検査時の胎児の向きや姿勢によっては、正確な測定が困難になる場合があります
- 母体の体格 — 腹壁の厚みなどにより、画像の鮮明さが影響を受けることがあります
- 使用する機器の性能 — 超音波装置の解像度や性能によっても、観察できる所見の精度が異なります
エコー検査で高リスクと診断されたら
エコー検査で「高リスク」と判定された場合でも、それが直ちにダウン症を確定するものではありません。前述のとおり偽陽性の割合が高い検査であるため、冷静に次のステップを検討することが重要です。(6)
国内でNIPTが導入される2013年より前は、羊水検査や絨毛検査といった侵襲的検査が必要でしたが、NIPTが開発されたことによって母体と胎児に安全な非侵襲的な検査を実施することができるようになりました。羊水検査や絨毛検査では約1%程度の流産リスクや胎児への永久的な障害が残るリスクがありますが、NIPTは母親の血液に流れる胎児のDNAを解析するため、母親と胎児に100%安全に、しかも95%以上の高い精度でダウン症の検出ができる検査です。(7)
エコー検査同様に、該当疾患の有無を正確に診断するためには、別途、侵襲的な確定診断が必要なスクリーニング検査ではありますが、エコー検査で異常が見つかった場合の後続検査として多く利用されています。エコー検査で高リスクと判定されてから確定診断に至るまでの一般的な流れは以下のとおりです。
| 段階 | 検査名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 第1段階 | エコー検査(超音波) | 非侵襲的なスクリーニング検査。偽陽性率が比較的高い |
| 第2段階 | NIPT(新型出生前検査) | 母体の血液から胎児DNAを解析。高精度かつ非侵襲的 |
| 第3段階 | 羊水検査・絨毛検査 | 確定診断が可能。わずかな流産リスクあり |
この流れにおいて、NIPTはエコー検査と確定診断(侵襲的検査)の間を橋渡しする重要な役割を果たしています。NIPTで陰性と判定されれば、多くの場合は侵襲的検査を回避でき、不必要な流産リスクを負うことを防ぐことができます。
NIPTとエコー検査の違い
NIPTとエコー検査はいずれも非侵襲的なスクリーニング検査ですが、その仕組みや精度には大きな違いがあります。エコー検査は超音波を用いて胎児の形態的な特徴を観察するのに対し、NIPTは母体血液中に存在するcfDNA(セルフリーDNA)を解析して、染色体の数的異常を検出します。
NIPTのダウン症(21トリソミー)に対する感度は99%以上、特異度も99%以上と非常に高く、偽陽性率も0.1%未満と報告されています。これに対してエコー検査単独での感度は60〜70%程度とされ、コンバインド検査でも85〜90%にとどまります。 こうした精度の差から、近年では多くの医療機関で、エコー検査で気になる所見が見つかった場合にNIPTを後続検査として推奨する傾向が強まっています。(4)
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よくあるご質問
Q1. エコー検査だけでダウン症を確定診断できますか?
A. いいえ、エコー検査はあくまでスクリーニング検査であり、ダウン症を確定診断することはできません。エコー検査で「高リスク」と判定された場合は、NIPTや羊水検査などの追加検査によって確認する必要があります。エコー検査の結果だけで最終的な判断をすることは医学的に推奨されていません。(1)
Q2. NT(首の後ろのむくみ)が厚いと必ずダウン症ですか?
A. いいえ、NTが厚いからといって必ずダウン症であるとは限りません。NTの増加は正常な胎児でも一定の割合で見られます。NTはあくまでリスクの指標の一つであり、NT値が基準より高い場合でも、大半の胎児は健常であるケースが多いとされています。(3)
Q3. エコー検査で高リスクと言われたら、次にどのような検査を受けるべきですか?
A. エコー検査で高リスクと診断された場合、次のステップとしてNIPT(新型出生前検査)が推奨されることが多いです。NIPTは母体の血液から胎児のDNAを解析する非侵襲的な検査で、ダウン症の検出感度は99%以上と非常に高い精度を誇ります。NIPTの結果が陽性の場合は、羊水検査などの確定診断検査へ進むことが一般的です。(5)
Q4. エコー検査のダウン症検出率はどのくらいですか?
A. エコー検査単独でのダウン症検出率は約60〜70%程度とされています。血液検査と組み合わせたコンバインドスクリーニング検査の場合は85〜90%の検出率が報告されています。 ただし、偽陽性率が約5%と比較的高いため、高リスクと判定された場合でも実際にはダウン症ではないケースが多いことに留意が必要です。(4)
Q5. NIPTとエコー検査はどちらが精度が高いですか?
A. ダウン症(21トリソミー)の検出に関しては、NIPTのほうが大幅に高い精度を持っています。NIPTの感度は99%以上、偽陽性率は0.1%未満である一方、エコー検査を含むコンバインドスクリーニング検査の感度は85〜90%、偽陽性率は約5%です。このため、エコー検査で気になる所見があった場合は、NIPTを後続検査として受けることが推奨されています。
Q6. seeDNAのNIPTはいつから受けられますか?
A. seeDNAのNIPTは妊娠10週以降から受けることが可能です。また、出生前DNA鑑定と同時に無料でNIPTを受けられるキャンペーンも実施しており、追加の血液採取や費用は一切不要です。詳細はseeDNAのフリーダイヤル(0120-919-097)までお問い合わせください。
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著者
医学博士 富金 起範
筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発
【参考文献】
(1) ACOG, 2016年7月(2) 出生前検査認証制度等運営委員会
(3) Understanding Noninvasive Prenatal Testing (NIPT), 2022年4月
(4) レディースクリニックなみなみ, 2025年7月
(5) Sydney Ultrasound for Women, 2019年9月
(6) 日経メディカル, 2008年12月
(7) Ann Thorac Surg, 2014年8月