新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」と診断されたらどうする!?

2025.06.12

リライティング日:2025年07月31日

NIPTで「高リスク」と通知された場合の正しい対応、NIPTがスクリーニング検査であり確定診断ではない理由、偽陽性・偽陰性が生じるメカニズム、そして専門家への相談の重要性を詳しく解説します。

もしも、新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」の結果が届いたら

もしも、新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」の結果が届いたら一般的に、病院で特定の病気の診断結果が出た場合、その結果に基づいて病気の有無が明確になり、適切な治療や経過観察といった対応が可能になります。しかし、新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」と通知された場合、状況は大きく異なります。

たとえ結果が高リスクであっても、すぐに中絶を選択することは、どの医療機関でも推奨していません。これは、NIPTがあくまでもスクリーニング検査であり、確定診断ではないためです。また、日本では母体保護法により不妊手術および人工妊娠中絶に関する規定が定められており、母体の生命と健康の保護が最優先とされています。 この法律は、妊婦の身体的・精神的な健康を守ることを第一の目的としており、NIPTの結果のみをもって重大な決断を下すことは医学的にも法的にも適切ではないとされています。(1)

「新型出生前診断」という名称には「診断」という言葉が含まれているため、結果が絶対的な確定事項だと思われる方も多いかもしれません。しかし、NIPTで高リスクの結果を受け取った場合、まずはパートナーと話し合い、遺伝カウンセラーなど専門家に相談して、納得のいく結論を導くためのサポートを受けることが大切です。 日本産科婦人科学会の指針でも、検査前後の遺伝カウンセリングが不可欠であると明確に示されています。NIPTの結果は妊婦さんとそのご家族にとって非常に大きな心理的影響を及ぼすため、一人で抱え込まず、必ず医療の専門家と一緒に考えることが求められます。(2)

新型出生前診断は「診断」ではない

新型出生前診断は「診断」ではない新型出生前診断(NIPT)を実施している検査機関や医療機関は多く存在しますが、新型出生前診断は正式な診断ではなく、「臨床研究」として行われていることを明確に説明している医療機関は多くありません

実際、出生前検査認証制度等運営委員会の定義では、「認定を受けた施設において臨床研究として実施される」と明記されています。 ここでいう「臨床研究」とは、複数の施設が同じ手順で検査を行い、その結果を集計・分析して医学的知見を深めることを目的としたものです。つまり、NIPTはまだ通常の臨床診断として完全に確立されたものではなく、データの蓄積を通じてより正確な検査へと発展させていく途上にあるのです。(3)

そもそもNIPTの正式な英語名称は「Non-Invasive Prenatal Test」であり、これを正確に日本語に訳すと「非侵襲性出生前遺伝学的検査」となります。 英語名にも「Diagnosis(診断)」ではなく「Test(検査)」という言葉が使われていることからも、NIPTが確定的な病名を宣告するためのものではないことが分かります。(4)

「新型出生前診断」という名称には「診断」という言葉が含まれていますが、実際には確定的な診断を下す検査ではない点に注意が必要です。この名称の誤解を防ぐために、近年では「出生前遺伝学的検査」や「NIPT」という略称が広く使われるようになっています。日本産婦人科医会でもNIPTの将来的発展とともにその限界について指摘しており、スクリーニング検査としての位置づけを正しく理解することが重要であると述べています。(5)

NIPTにおける「高リスク」「低リスク」という結果の意味

NIPTにおける「高リスク」「低リスク」という結果の意味NIPTで「高リスク」と出た場合、それは赤ちゃんに特定の染色体異常がある可能性が高いということを意味します。しかし、NIPTはスクリーニング検査です。つまり「可能性があるかどうか」を調べる検査であるため、「高リスク」の結果が出たからといって、必ずしも赤ちゃんに異常があるとは限りません。

「低リスク」と出た場合は、染色体異常の可能性が低いということになりますが、こちらも同様に「絶対に異常はない」と言い切れるわけでもありません。NIPTの結果は確率に基づいた評価であり、ゼロリスクを保証するものではないのです。

そもそも、NIPTのようなスクリーニング検査に対して、病気を確定させる臨床診断の精度をそのまま当てはめることはできません。ただし、便宜的に「高リスク=陽性」「低リスク=陰性」として、検査の精度(どれくらい当たるか)を計算することは可能です。NIPTの精度を正しく理解するためには、以下の主要な指標を知っておくことが大切です。

  • 感度(Sensitivity):実際に染色体異常がある赤ちゃんを「高リスク」と正しく検出できる割合。ダウン症(21トリソミー)では99%以上と報告されています。
  • 特異度(Specificity):実際に異常がない赤ちゃんを「低リスク」と正しく判定できる割合。こちらも99%以上の高い数値が示されています。
  • 陽性的中率(PPV):陽性(高リスク)と出たときに本当に異常がある確率。ダウン症では95〜98%という数値が報告されていますが、妊婦さんの年齢や検査対象となるトリソミーの種類によって大きく変動します。
  • 陰性的中率(NPV):陰性(低リスク)と出たときに本当に異常がない確率。99.9%以上と非常に高い数値です。

これらの指標から分かるように、NIPTは非常に精度の高いスクリーニング検査ではありますが、あくまで「確率」を示すものです。特に陽性的中率は、対象疾患の有病率(どれくらい一般的な疾患か)によって大きく影響を受けるため、13トリソミーや18トリソミーのように頻度の低い疾患ではPPVが低下する傾向があります。(6)

NIPTの精度が100%にならない理由

なぜ、NIPT(新型出生前診断)の精度は100%にならないのでしょうか。その背景には、NIPTが分析する「セルフリーDNA(cfDNA)」の特性が深く関わっています。NIPTは妊婦さんの血液中に含まれる胎児由来のcfDNAを分析して染色体異常の有無を推測しますが、このcfDNAは実際には胎盤の絨毛細胞(トロホブラスト)から放出されたものです。つまり、NIPTが直接分析しているのは胎児そのもののDNAではなく、胎盤由来のDNAなのです。

最も一般的な偽陽性の原因としては、受精卵の発育過程でおきる胎盤には染色体異常があるものの、胎児は正常な「モザイシズム(mosaicism)」による「偽陽性」が挙げられます。 この現象は「限局性胎盤モザイク(Confined Placental Mosaicism: CPM)」と呼ばれ、胎盤の一部の細胞だけが異常な染色体構成を持つ状態を指します。CPMの場合、NIPTは胎盤のDNAを検出して「高リスク」と判定しますが、胎児自体は正常な染色体を持っているため、結果として偽陽性が生じるのです。(7)

NIPTの精度を示すもうひとつの重要な指標に「偽陰性」があります。これは、陰性の結果であったにも関わらず、実際には胎児に異常があった場合を指します。偽陰性が生じる主な原因としては、胎児由来のcfDNA濃度(胎児画分:fetal fraction)が低すぎる場合が考えられます。一般に胎児画分が4%未満の場合、検査の信頼性が低下するとされています。

さらに、2025年2月にアメリカの国立がんセンターに報告されたケースでは、妊婦自身に特定のがんが存在していた場合にもNIPTが偽陽性の結果を示す可能性があることが明らかになりました。 がん細胞が放出する異常なcfDNAが胎児由来のcfDNAと混在し、検査結果に影響を与えたものと考えられています。(8)

こうした理由からも、遺伝性疾患のリスクが見つかった場合は、必ず専門医によるカウンセリングを受ける必要があります。

現在、国内で行われているNIPTはすべて海外の検査プラットフォームを利用しているか、検体を海外の検査機関に送付して結果だけを患者さんに伝える検査になっています。2025年6月時点で、一部のクリニックでは検査プラットフォームを提供している検査機関が保証していない数値を示していたり、当クリニックのNIPTの精度は100%と事実とは異なる宣伝をしているところもあるので、そういったクリニックには注意が必要です。

残念ながらNIPTの精度は100%ではありません。だからこそ、高リスク判定を受けた後の対応が極めて重要になります。

高リスク判定後に取るべき具体的なステップ

NIPTで高リスクの判定を受けた場合、慌てず冷静に以下のステップを踏むことが推奨されます。

  1. 結果を正しく理解する:高リスクは「確定」ではなく「可能性が高い」ことを意味します。検査報告書に記載されている具体的な数値(リスク値やZスコアなど)を確認しましょう。
  2. パートナーや信頼できる家族と共有する:一人で抱え込まず、まずは身近な方と情報を共有し、心理的なサポートを得ましょう。
  3. 遺伝カウンセリングを受ける:認定遺伝カウンセラーや臨床遺伝専門医に相談し、検査結果の意味や今後の選択肢について詳しい説明を受けましょう。(2)
  4. 確定診断の検討:羊水検査や絨毛検査といった確定的検査を受けるかどうか、メリットとリスクを十分に理解した上で判断しましょう。
  5. 最終的な意思決定:すべての情報を把握した上で、ご夫婦にとって最善と思われる判断を行います。どのような決断であっても、専門家がサポートを続けます。

出生前検査認証制度等運営委員会が実施した10万人規模の追跡調査によれば、NIPTを受けた妊婦さんの大多数は「低リスク」の結果を受け取っており、高リスクの判定を受けた方の中でも確定診断で異常が認められなかったケースが一定数存在しています。 このことからも、高リスク判定=確定ではないという事実を改めて認識することが重要です。(3)

確定診断としての羊水検査・絨毛検査

NIPTで高リスクの判定が出た場合、確定診断として推奨されるのが「羊水検査」と「絨毛検査(CVS)」です。これらの検査は侵襲的検査と呼ばれ、NIPTとは異なり、胎児の細胞そのものを直接採取・分析するため、染色体異常の有無をほぼ確実に判定できます。

項目羊水検査絨毛検査
実施時期妊娠15〜18週頃妊娠11〜14週頃
検査方法腹部から羊水を採取胎盤の絨毛組織を採取
流産リスク約0.1〜0.3%約0.2〜0.5%

どちらの検査にもわずかな流産リスクが伴うため、NIPTのようなスクリーニング検査で事前にリスクを評価し、本当に確定診断が必要な妊婦さんだけが侵襲的検査を受けるという段階的なアプローチが世界的に推奨されています。確定診断を受けるかどうかは、遺伝カウンセラーや産婦人科医と十分に話し合った上で決定してください。

seeDNAでは、お腹の赤ちゃんに高リスクの項目が見つかった場合は、カウンセリング費用と確定診断の受診費用を補助しています。NIPTで「高リスク」の結果が出た場合は、必ず、かかりつけの産婦人科や専門医によるカウンセリングを受けましょう。

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よくあるご質問

Q1. NIPTで「高リスク」と出たら、赤ちゃんに必ず異常があるのですか?

A. いいえ、必ずしもそうではありません。NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではないため、「高リスク」は染色体異常の可能性が高いことを示しているに過ぎません。確定するためには羊水検査や絨毛検査などの確定的検査が必要です。偽陽性(実際には異常がないのに高リスクと判定されるケース)も一定の割合で発生します。

Q2. NIPTの「低リスク」の結果は、異常がないことを100%保証しますか?

A. NIPTの陰性的中率は99.9%以上と非常に高い精度を持っていますが、100%ではありません。まれに偽陰性(実際には異常があるのに低リスクと判定されるケース)が生じることがあります。低リスクの結果を受けた場合でも、通常の妊婦健診を継続して受けることが大切です。

Q3. NIPTで偽陽性が出る原因は何ですか?

A. 偽陽性の最も一般的な原因は「限局性胎盤モザイク(CPM)」です。これは胎盤の細胞のみに染色体異常があり、胎児自体は正常な場合に生じます。NIPTは胎盤由来のcfDNAを分析しているため、胎盤の異常を胎児の異常と判定してしまうことがあるのです。また、まれに妊婦自身のがんなどが原因となる場合もあります。(7)(8)

Q4. NIPTで高リスクが出た場合、seeDNAではどのようなサポートがありますか?

A. seeDNAでは、高リスクの項目が見つかった場合に、遺伝カウンセリング費用と確定診断の受診費用を補助するサポート制度を設けています。高リスクの判定を受けた場合は、まずかかりつけの産婦人科医や遺伝カウンセラーにご相談ください。seeDNAのフリーダイヤル(0120-919-097)でも専門スタッフがご質問にお答えしています。

Q5. NIPTは妊娠何週目から受けられますか?

A. NIPTは一般的に妊娠10週目以降から受けることができます。これは、妊娠10週頃になると母体血液中の胎児由来cfDNA(セルフリーDNA)の濃度が検査に十分なレベルに達するためです。ただし、胎児画分が低い場合は再検査が必要になることもあります。検査を受ける時期については、かかりつけの産婦人科医やseeDNAの専門スタッフにご相談ください。

Q6. NIPTの精度が100%と宣伝しているクリニックは信頼できますか?

A. NIPTの精度は100%ではなく、そのような宣伝は事実に反しています。2025年6月時点で、国内で行われているNIPTはすべて海外の検査プラットフォームを利用しており、それらの検査機関が保証していない数値を独自に掲げているクリニックも存在します。検査機関を選ぶ際は、正確な情報を提供し、適切な遺伝カウンセリング体制を整えている施設を選ぶようにしましょう。

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医学博士 富金 起範著者

医学博士 富金 起範

筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発

【参考文献】

(1) e-Gov 法令検索
(2) 母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針, 1999年2月
(3) 出生前検査認証制度等運営委員会, 2021年3月
(4)  , 2023年8月
(5) PMC, 2024年2月
(6) NCI, 2025年2月
(7) 日本産婦人科医会, 2018年7月
(8) 東京・ミネルバクリニック, 2026年4月
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