リライティング日:2024年10月31日
人間の毛髪の色はユーメラニンとフェオメラニンの比率で決まり、近年124種類もの関連遺伝子が特定されました。この発見により、DNAから約90%の精度で髪色を判別できるようになり、犯罪捜査や出生前DNA鑑定への応用が期待されています。
人間の毛髪の色が異なる理由——メラニン色素と遺伝の関係
私たちの身の回りを見渡すと、黒髪、茶髪、金髪、赤毛など、人によって毛髪の色は実にさまざまです。生まれつき黒髪の方もいれば金髪の方もいるように、人間の毛髪の色が異なるのは、毛髪に含まれるメラニン色素の種類と量が遺伝的に異なるためです。(1)
毛髪の色を決定するメラニン色素には、大きく分けてユーメラニン(eumelanin)とフェオメラニン(pheomelanin)の2種類があります。ユーメラニンは黒色〜褐色の色素であり、この物質を多く含む毛髪は濃い黒色や暗褐色になります。一方、フェオメラニンは黄色〜赤色の色素であり、この物質が多く含まれている場合は黄色から茶色、あるいは赤みを帯びた毛髪になります。(2)
実際の毛髪では、ユーメラニンとフェオメラニンの2種類が混在していることがほとんどです。この2種類の色素が結合し、その比率や総量が個人ごとに異なることで、私たちが目にする実にバラエティ豊かな髪色が作り出されています。たとえば、ユーメラニンが多くフェオメラニンが少ない場合は黒〜暗褐色に、両者がバランスよく存在すると中間的な茶色に、フェオメラニンの割合が高くなると明るい金色や赤色の毛髪になるのです。
124種類もの毛髪関連遺伝子が特定された画期的な発見
従来、毛髪の色を決める遺伝子として知られていたのは、MC1R(メラノコルチン1受容体)遺伝子をはじめとするわずか13種類程度に過ぎませんでした。しかし近年、大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)の研究が進み、毛髪の色に関係する遺伝子が124種類も新たに特定されるという画期的な成果が発表されました。(3)
この研究は、数十万人規模のDNAデータを解析することで実現したものであり、それまで解明されていなかった毛髪色の遺伝的メカニズムの大部分を明らかにしました。124種類の遺伝子にはメラニン合成に直接関与する遺伝子だけでなく、メラノサイト(色素細胞)の発達や分化、メラニン顆粒の輸送などに関わる多様な遺伝子が含まれています。(4)
さらに驚くべきことに、これら124種類の遺伝子情報を総合的に解析することで、毛髪の色を約90%の確率で判別できることが明らかになりました。つまり、DNAサンプルさえあれば、その人の髪色を高い精度で予測できるということです。
毛髪の色の遺伝に関わる主な要素
- ユーメラニン量:黒色〜暗褐色の色素で、多いほど毛髪は暗くなる
- フェオメラニン量:黄色〜赤色の色素で、多いほど毛髪は明るく赤みを帯びる
- MC1R遺伝子:赤毛との関連が最も強く研究されてきた代表的遺伝子
- その他の関連遺伝子:メラノサイトの発達・分化、メラニン顆粒の輸送などに関与
- 遺伝子間の相互作用:複数の遺伝子が組み合わさることで最終的な髪色が決定
犯罪捜査への応用——DNAから犯人の髪色を特定
124種類もの毛髪関連遺伝子が特定されたことは、科学捜査の分野にも大きなインパクトを与えています。犯罪者が現場に血痕や体液、毛髪などDNAを含む生体試料を残していた場合、その遺伝子を解析することで犯人の髪の色をほぼ明らかにすることが可能になったのです。(5)
従来の法医学的DNA解析では、STR(短鎖縦列反復配列)型の照合による個人識別が主流でしたが、データベースに一致する人物がいなければ容疑者の絞り込みは困難でした。しかし、DNAから外見的特徴(表現型)を予測する「法医表現型解析(Forensic DNA Phenotyping)」の技術が進歩したことで、データベースに登録のない未知の人物であっても、髪色、目の色、肌の色などの外見情報を推定できるようになりつつあります。
たとえば、オランダのエラスムス大学医療センターが開発した「HIrisPlex」システムは、髪色と目の色をDNAから同時に予測するツールとして、すでに欧州を中心とした実際の捜査で活用されています。こうした技術は、目撃証言のない事件や冷凍事件(コールドケース)の解決にも貢献する可能性を秘めています。(6)
毛髪の色は加齢でなぜ変化するのか
毛髪の色は生涯を通じて一定ではなく、加齢に伴い変化することが知られています。幼少期は金髪だったのに成長とともに暗い色になるケースや、加齢により白髪が増えるケースは日常的に見られる現象です。
白髪の発生メカニズムは、毛包内のメラノサイト(色素細胞)の機能低下や消失が主な原因です。メラノサイトの幹細胞が加齢やストレスなどの要因で枯渇すると、新しく生える毛髪にメラニン色素が供給されなくなり、結果として白髪になります。近年の研究では、IRF4やBCL2など特定の遺伝子が白髪化の時期に影響を及ぼすことも報告されており、白髪になりやすさにも遺伝的要素が大きく関わっていることが分かっています。
出生前DNA型鑑定(妊娠中 胎児DNA鑑定)への応用
弊社seeDNA遺伝医療研究所では、上記のような遺伝情報解析の技術と類似した方法で被験者のDNAを解析し、出生前DNA型鑑定を実施しています。
seeDNAの出生前DNA型鑑定は、既存の鑑定方法より3倍以上改善された独自の鑑定技術を採用しています。これにより、妊娠の早い時期から正確な血縁関係の判定結果を得ることが可能です。
- お申し込み・ご相談:お電話やWebからお気軽にお問い合わせいただけます
- 検体の採取:母体からの採血で胎児のDNAを取得(非侵襲的で安全)
- 国内自社ラボで解析:海外輸送が不要なため、血液劣化のリスクを防止
- 結果のご報告:最安かつ最速で正確な鑑定結果をお届けします
また、seeDNAでは国内の自社ラボで遺伝子検査を行っているため、検体を海外へ輸送する必要がありません。そのため、輸送中に生じる血液の劣化を防げるうえ、最安かつ最速で鑑定することが可能です。
将来的な展望——胎児の毛髪色予測も視野に
将来的に毛髪の色の決定に関する研究がより進むことで、胎児の推定される毛髪の色も鑑定項目に含めることができるかもしれません。すでに現時点でDNAから約90%の精度で髪色を予測できる技術が確立されていることを考えると、この分野の発展は非常に有望です。
たとえば、出生前DNA型鑑定で取得した胎児の遺伝情報から、生まれてくる赤ちゃんの髪色をある程度予測するサービスが将来的に実現する可能性があります。もちろん、毛髪の色は加齢や環境要因によっても変化しうるため、あくまで遺伝的な傾向の予測にとどまりますが、親御さんにとっては「赤ちゃんはどんな髪色で生まれてくるのだろう」という素朴な疑問に対する一つの答えとなるでしょう。
seeDNA遺伝医療研究所では、こうした最先端のゲノム研究の動向を常に注視しながら、将来的な新しい鑑定サービスの開発にも積極的に取り組んでまいります。今後の研究の発展に期待したいと思います。
よくあるご質問
Q1. 毛髪の色を決めるメラニン色素にはどのような種類がありますか?
A. 毛髪の色を決めるメラニン色素には、主にユーメラニン(eumelanin)とフェオメラニン(pheomelanin)の2種類があります。ユーメラニンは黒〜褐色の色素で、多いほど髪は暗くなります。フェオメラニンは黄〜赤色の色素で、多いほど髪は明るく赤みを帯びます。実際の髪色は、これら2種類の色素の比率と総量の組み合わせによって決まります。(1)
Q2. DNAから髪の色を予測する精度はどのくらいですか?
A. 近年特定された124種類の毛髪関連遺伝子を総合的に解析することで、約90%の確率で毛髪の色を判別できるとされています。特に黒髪と赤毛は予測精度が高く、中間色のブロンドやライトブラウンではやや精度が下がる傾向がありますが、全体として非常に高い予測能力が実証されています。(3)
Q3. 犯罪捜査でDNAから犯人の髪色を特定できるのですか?
A. はい、可能です。犯罪現場に残された血痕や体液などのDNAを解析することで、犯人の髪色を高い精度で予測する技術が実用化されつつあります。「法医表現型解析(Forensic DNA Phenotyping)」と呼ばれるこの技術は、すでに欧州を中心とした捜査機関で活用されています。(5)(6)
Q4. seeDNAの出生前DNA型鑑定はどのような特徴がありますか?
A. seeDNA遺伝医療研究所の出生前DNA型鑑定は、既存の方法より3倍以上改善された独自の鑑定技術を使用しており、妊娠の早い時期から正確な血縁関係を判定できます。また、国内の自社ラボで検査を行うため、海外への検体輸送に伴う血液劣化のリスクがなく、最安かつ最速での鑑定が可能です。
Q5. 将来、胎児の髪色を出生前に予測することはできますか?
A. 現時点ではまだサービスとして提供されていませんが、DNAから約90%の精度で髪色を予測できる技術が確立されているため、将来的には出生前DNA型鑑定で取得した胎児の遺伝情報から、生まれてくる赤ちゃんの毛髪色を推定することが技術的に可能になると考えられています。ただし、髪色は加齢や環境要因でも変化するため、遺伝的傾向の予測にとどまる点にご留意ください。
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
家族や親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
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著者
医学博士 富金 起範
筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発
【参考文献】
(1) ヒトゲノムの中から毛髪の色のルーツを探し出す, 2026年5月(2) GIGAZINE, 2011年1月
(3) NewsPicks, 2018年4月
(4) 理美容ニュース, 2026年5月
(5) Nat Genet, 2018年5月
(6) Biointerphases, 2012年12月