DNA鑑定を受けるために必要なモノと成功率を高める検体採取方法

2016.12.20

リライティング日:2024年08月05日

DNA鑑定の正確な結果を得るには、検体の採取・保管方法が極めて重要です。口腔上皮の完全乾燥、採取前の飲食への注意、他人の検体による汚染防止の3点を解説します。

DNA鑑定を受けるために必要なモノと成功率を高める検体採取方法

DNA鑑定を受けるために必要なモノと成功率を高める検体採取方法DNA鑑定は親子関係の確認や裁判における証拠としてなど、さまざまな場面で利用される重要な分析手法です。しかしながら、いかに分析技術が高精度であっても、そもそも検体の品質が悪ければ正確な結果を得ることはできません。DNA鑑定の精度と信頼性は、検体の採取方法・保管状態・提出方法に大きく左右されます。本記事では、DNA鑑定における検体採取の重要性と具体的な注意事項を詳しく解説します。(1)

法的DNA鑑定と私的DNA鑑定の違い

法的DNA鑑定と私的DNA鑑定の違いDNA鑑定には大きく分けて「法的DNA鑑定」と「私的DNA鑑定」の2種類があります。まず、裁判所や入国管理局など公的機関に提出するための法的DNA鑑定では、被験者全員の顔写真付き身分証明書が必要です。運転免許証やパスポートなどが該当しますが、写真のない保険証の場合は、住民基本台帳カードなど2点の身分証明書類が求められます。

法的DNA鑑定では、私的DNA鑑定とは異なり、被験者が自宅で自ら検体採取を行うことはできません。検体採取から書類作成に至るまで、専門のスタッフが立ち会いのもとで実施されます。使用できる検体も口腔上皮(口の内側の粘膜細胞)に限定されており、歯ブラシや髪の毛といった日常的に採取できる試料は使用できません。これは、検体の同一性・真正性を法的に担保するための厳格な手続きです。(2)

一方、私的DNA鑑定では自宅で被験者ご本人が検体を採取できるため、より手軽に実施できます。ただし、手軽であるからこそ、検体の品質を確保するための正しい手順を守ることが一層重要になります。

検体に問題があった場合の対応

検体に問題があった場合の対応万が一、お客様からお送りいただいた検体が汚染されていたり、必要なDNA量が得られなかったりした場合には、速やかに状況をご連絡させていただきます。その後、新しい検体をご提出いただければ再鑑定を行います。提出していただける検体が口腔上皮であれば、何回でも無料にて再鑑定が可能ですのでご安心ください。

なお、弊社の検体採取キットに記載された通りに検体を採取していただければ、1本の綿棒(口腔上皮)だけでも数十回以上の鑑定ができる分のDNAを得ることが可能です。ヒトの口腔粘膜細胞は代謝が活発で、綿棒で軽くこするだけでも十分な量の細胞を採取できます。必ずDNA型鑑定キットの指示に従い、以下の3つのポイントを確認してください。(3)

検体採取の成功率を高める3つの重要ポイント

  1. 1. 必ず完全乾燥状態で検体を保管する

    弊社のDNA型鑑定キットに付属する綿棒は、滅菌済みの医療用綿棒ですので口に入れても安全です。生まれたばかりの赤ちゃんであっても問題なく使用できます。

    しかし、ここで極めて重要なのが採取後の乾燥です。人間の口腔内にはトイレの便器に溜まっている水より100倍以上も多くの微生物が存在しています。少しでも水分が残っていると、綿棒に付着した唾液を栄養源として微生物が急速に増殖し、被験者のDNAまでも分解されてしまいます。微生物はヒトの細胞やDNAをわずか1日で分解してしまうことがあり、結果が得られないリスクが著しく高まります。

    DNAの分解は主にDNase(デオキシリボヌクレアーゼ)と呼ばれる酵素が関与しており、微生物が産生するこれらの酵素が湿った環境下で活性化すると、せっかく採取したDNAが急速に劣化してしまいます。したがって、採取した綿棒は必ず風通しの良い場所で十分に自然乾燥させてから、付属の封筒や容器に入れて保管・返送してください。密閉したビニール袋に湿ったまま入れることは絶対に避けてください。

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  2. 2. 採取前の飲食に注意する

    検体を採取する前に食べたり飲んだりしてもDNA自体は変化しません。食べ物や飲み物を摂取しても、ご自身のDNA配列が変わることは一切ありません。しかし、赤ちゃんの場合は特に注意が必要です。検体採取の直前に母乳を飲んでしまうと、お母様のDNAが赤ちゃんの口腔内に混入するリスクがあります。

    母乳にはお母様由来の細胞(白血球など)が含まれていることが知られており、これらの細胞のDNAが検体に混入すると、鑑定結果に影響を及ぼす可能性があります。このリスクを避けるため、母乳を飲んでから少なくとも1時間後に検体を採取することを推奨しています。1時間ほど経過すれば、赤ちゃんの唾液や口腔の自浄作用によって母乳由来の細胞はほとんど洗い流されます。

    また、大人の場合でも、採取直前にコーヒーや着色料の多い飲食物を摂取すると、綿棒が汚れて見た目上わかりにくくなることがあるため、できれば水で軽く口をすすいでから採取すると良いでしょう。ただし、うがい後はすぐに採取するのではなく、数分間おいて口腔粘膜の細胞が十分に綿棒に付着するようにしてください。

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  3. 3. 他人の検体による汚染を防ぐ

    DNA鑑定は極めて微量のDNAでも検出・解析できるほど感度の高い技術です。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法によってDNAを増幅するため、わずかな汚染でも結果に重大な影響を及ぼす可能性があります。他人の細胞や雑菌が検体に混入してしまうと、正しい結果が得られなくなります。

    検体を採取する際には、以下の点に十分注意してください。

    • 被験者以外の方が綿棒の先端に絶対に触れないようにする
    • 子供の検体採取を手伝う場合、手を清潔にしてから行う
    • 他人の綿棒を同じ封筒に入れない
    • 各被験者の綿棒は必ず別々の封筒に分けて保管する
    • 採取する際は手袋の使用を推奨(特に法的鑑定の場合)

    特に、複数人の検体を同時に採取する場面では、うっかり綿棒を取り違えたり、同じ封筒に入れてしまったりするケースがまれに報告されています。必ず1人分ずつ作業を完了させてから、次の被験者の採取に移るようにしてください。

口腔上皮が検体として優れている理由

DNA鑑定では口腔上皮(頬の内側の粘膜細胞)が最も広く用いられる検体です。その理由は多岐にわたります。まず、口腔粘膜は新陳代謝が非常に活発な組織であり、常に新しい細胞が産生されているため、綿棒で軽くこするだけで大量の細胞を非侵襲的に採取できます。採血のように痛みを伴わないため、新生児や幼児を含むあらゆる年齢の方から安全に検体を得ることが可能です。(1)

また、口腔上皮細胞から抽出されるDNAは品質が高く、STR(Short Tandem Repeat)分析など標準的なDNA型鑑定に必要十分な量と質を確保できます。弊社の検体採取キットの指示通りに採取すれば、1本の綿棒からでも十分なDNA量が得られるのはこのためです。

検体の返送時の注意点

採取した検体を返送する際にも、いくつかの重要な注意点があります。完全に乾燥させた綿棒は、付属の紙封筒に入れて返送してください。ビニール袋やプラスチック容器に密封すると内部に湿気がこもり、微生物の増殖やDNAの劣化を招く可能性があります。紙封筒は通気性があるため、乾燥状態を維持するのに適しています。

また、直射日光や高温多湿の環境を避けて保管・郵送することも大切です。DNAは熱や紫外線に対して比較的安定ですが、長時間の高温曝露や湿気はDNA分解を促進させる可能性があります。採取後はできるだけ速やかに返送いただくことをおすすめします。

正確な結果のためにお客様のご協力が不可欠です

DNA鑑定の精度は、分析機関の技術力だけでなく、お客様による正確な検体採取と適切な返送に大きく依存しています。弊社では最新鋭の分析機器と厳格な品質管理体制のもとで鑑定を実施していますが、その分析能力を最大限に発揮するためには、良質な検体の提供が不可欠です。

DNA型鑑定キットを使った検体の採取方法について、さらに詳しくはDNA鑑定のやり方のページもあわせてご参照ください。正しい方法で検体を採取・保管いただくことで、迅速かつ正確な鑑定結果をお届けすることが可能になります。

よくあるご質問

Q1. 法的DNA鑑定と私的DNA鑑定では、必要な書類にどのような違いがありますか?

A. 法的DNA鑑定では被験者全員の顔写真付き身分証明書(運転免許証・パスポートなど)が必要です。写真のない保険証の場合は住民基本台帳カードなど2点の身分証明書類が求められます。また、専門スタッフの立ち会いのもとで検体採取と書類作成を行います。私的DNA鑑定では自宅でご自身による採取が可能で、このような書類は不要です。

Q2. 検体の採取に失敗した場合、追加料金はかかりますか?

A. 口腔上皮(綿棒による検体)であれば、何回でも無料で再鑑定が可能です。検体が汚染されていたり、必要なDNA量が得られなかった場合には速やかにご連絡いたしますので、新しい検体を再提出いただければ追加費用なく再鑑定を行います。

Q3. 綿棒の乾燥が不十分だとどうなりますか?

A. 綿棒に水分が残っていると、口腔内の微生物が唾液を栄養として急速に増殖し、被験者のDNAを分解してしまいます。最悪の場合、1日でDNAが分解され鑑定不能となるリスクがあります。採取後は必ず風通しの良い場所で十分に自然乾燥させてから封筒に入れてください。

Q4. 赤ちゃんの口から検体を採取しても安全ですか?

A. はい、安全です。弊社のDNA型鑑定キットに付属する綿棒は滅菌済みの医療用綿棒ですので、生まれたばかりの赤ちゃんでも安心してご使用いただけます。ただし、母乳を飲んだ直後はお母様のDNAが混入するリスクがあるため、授乳から少なくとも1時間以上経過してから採取することをおすすめします。

Q5. 髪の毛や歯ブラシでは法的DNA鑑定はできないのですか?

A. 法的DNA鑑定では、検体の真正性・同一性を担保するために使用できる検体は口腔上皮のみに限定されています。髪の毛や歯ブラシなどの日常的な試料は私的DNA鑑定では使用可能な場合がありますが、法的鑑定には適用できません。これは、専門スタッフの立ち会いのもとで確実に本人から採取されたことを証明する必要があるためです。

Q6. 検体を郵送する際、特別な梱包は必要ですか?

A. 完全に乾燥させた綿棒をキット付属の紙封筒に入れて郵送してください。ビニール袋やプラスチック容器への密封は湿気がこもるため避けてください。また、直射日光や高温多湿を避け、採取後はできるだけ速やかに返送することをおすすめします。

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医学博士 富金 起範著者

医学博士 富金 起範

筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発

【参考文献】

(1) PR TIMES, 2026年2月
(2) J Forensic Sci, 1997年5月
(3) Nature, 2012年1月
(4) J Biol Chem, 1997年3月
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