リライティング日:2025年09月29日
妊娠中の出生前DNA鑑定は産婦人科では行えず、DNA鑑定専門機関への申し込みが必要です。NIPTとの違い、申し込み方法、必要なもの、注意点を詳しく解説します。
妊娠中に産婦人科で胎児のDNA鑑定はできる?出生前DNA鑑定はどこで受けられるの?
妊娠中、「お腹の赤ちゃんの生物学的父親を知りたい」「産婦人科でDNA鑑定は受けられるのか」と疑問に思う方は少なくありません。妊娠初期から中期にかけて、さまざまな事情から胎児の父親を確認したいと考えるケースは意外にも多く、seeDNAにも日々多くのご相談が寄せられています。
結論から言うと、一般的な産婦人科での妊婦健診では、胎児の父親特定のための検査(出生前DNA鑑定)は行うことができません。産婦人科は母体と胎児の健康管理を主な役割としており、親子関係を判定するための遺伝子解析設備や専門知識は通常備えていないためです。(1)
出生前DNA鑑定を行うには、医療機関で母体血の採血を受ける必要がありますが、親子鑑定の検査そのものは遺伝子検査の専門機関で実施します。つまり、「採血する場所」と「鑑定を行う場所」は異なるという点を理解しておくことが大切です。DNA鑑定の専門機関に検査を申し込むと、採血が行える提携の医療機関を紹介してもらえます。かかりつけ医での採血も可能ですが、DNA鑑定の目的について詳しく聞かれたり、通常より高額な採血費用を請求されるケースも報告されているため、検査機関と提携している医療機関での採血がもっとも安心でスムーズと言えるでしょう。(1)
この記事では、産婦人科で行える遺伝子検査の種類と目的、出生前DNA鑑定と新型出生前診断(NIPT)の違い、出生前DNA鑑定の申し込み方法や必要なものについて、初めての方でも理解できるように分かりやすく解説します。
産婦人科で受けられる遺伝子検査とは?

妊娠中に産婦人科で行われる遺伝子検査は、胎児の健康状態や染色体異常のリスクを確認するための検査が中心です。これらは「出生前検査」と総称され、胎児が特定の遺伝性疾患を持つ可能性があるかどうかを調べることを目的としています。出生前DNA鑑定(父親の特定)とは根本的に目的が異なるため、混同しないよう注意が必要です。(2)
◇ NIPT(新型出生前診断)
NIPTは母体血中に含まれる胎児由来のcfDNA(セルフリーDNA)を解析し、染色体異常のリスクを評価する検査です。ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトウ症候群(13トリソミー)などのリスクを調べることができます。妊娠10週以降に受けられ、母体からの採血だけで検査が行えるため、胎児への直接的なリスクがない点が大きなメリットです。(3)
ポイント: NIPTはスクリーニング検査であり、確定診断ではありません。陽性の場合は羊水検査や絨毛検査などの追加検査が必要となります。21トリソミーについては99%以上の高い感度が報告されています。(3)(4)
◇ クアトロテスト(母体血清マーカー検査)
クアトロテストは、妊娠15週以降に母体血中の4種類のホルモンやタンパク質(AFP、hCG、uE3、InhibinA)の値を測定し、染色体異常や神経管閉鎖障害の可能性を統計的に推定する検査です。費用は比較的安価で手軽に受けられますが、あくまで確率的な評価であり、確定診断にはなりません。(5)
◇ 羊水検査
羊水検査は妊娠16週以降に行う確定診断で、母体の腹部に細い針を刺して羊水を採取し、胎児の染色体を直接解析します。NIPTやクアトロテストで陽性と判定された場合の追加検査として実施されることが一般的です。ただし、わずかな流産リスク(約0.1~0.3%程度)があるため、十分な説明と同意のもとで行われます。(5)
注意: これらの産婦人科で受けられる出生前検査は、あくまで胎児の健康状態や染色体異常を確認するための検査です。胎児の父親を特定する出生前DNA鑑定とは目的がまったく異なります。「産婦人科で遺伝子検査ができる」という情報だけを聞いて、父親特定のDNA鑑定も産婦人科で受けられると誤解される方がいらっしゃいますが、産婦人科で対応できるのは胎児の疾患リスクに関する検査のみです。
出生前DNA鑑定とNIPTの違い

妊娠中に母体血を利用する検査として、NIPTと出生前DNA鑑定があります。どちらも妊婦さんの血液から胎児由来のDNA情報を取得するという共通点があるため混同されやすい検査ですが、その目的は大きく異なります。
出生前DNA鑑定は、母体血中に含まれる胎児由来のDNAと父親候補のDNAを比較し、生物学的な父子関係(血縁関係)があるかどうかを判定する検査です。鑑定精度は99.99%以上と非常に高く、近年の技術進歩により妊娠7週目から検査が可能になっています。母体血中に存在する胎児のcfDNAを高感度で解析する技術が確立され、従来の羊水穿刺のような流産リスクを回避できるようになりました。(6)(7)
一方、NIPTは胎児の染色体異常のリスクを調べる検査であり、父親を特定することはできません。ダウン症候群をはじめとする特定の染色体異常のスクリーニングを目的としています。(3)
| 比較項目 | 出生前DNA鑑定 | NIPT |
|---|---|---|
| 目的 | 父親の特定(親子鑑定) | 胎児の染色体異常リスク評価 |
| 検査可能時期 | 妊娠7週以降 | 妊娠10週以降 |
| 申し込み先 | DNA鑑定専門機関 | 産婦人科・認定施設 |
母体血を使用する点は共通していますが、出生前DNA鑑定は父親の特定、NIPTは胎児の健康状態の確認という明確な目的の違いがあります。ご自身が必要としている検査がどちらなのかを正しく把握した上で、適切な機関に相談することが大切です。
出生前DNA鑑定はどこで申し込める?

妊娠中のDNA鑑定は、一般的な産婦人科では行えません。産婦人科がDNA鑑定に必要な遺伝子解析装置を持っていないこと、また親子鑑定が産婦人科の診療範囲に含まれないことが理由です。鑑定を希望する場合は、DNA鑑定の専門機関に直接申し込み、提携している産婦人科で母体血を採取してもらう流れになります。(1)
- DNA鑑定専門機関に申し込む:Webサイトや電話でお申し込みいただきます。検査キットが自宅に届きます。
- 提携の医療機関で母体血を採取:専門機関が紹介する提携先で採血を行います。通常の血液検査と同じ方法で、痛みもほとんどありません。
- 父親候補のDNAとともに検査機関へ郵送:父親候補のDNAは口腔粘膜(綿棒で頬の内側をこする方法)で簡単に採取できます。採取した検体を検査キットに入れ、専門機関へ返送します。
- 結果がメールまたは書面で報告される:検体到着後、通常5~10営業日程度で結果が報告されます。プライバシーにも十分な配慮がなされています。
seeDNAでは、全国各地の提携医療機関をご紹介しており、お住まいの地域に近い場所で採血を受けていただくことが可能です。かかりつけ医での採血を希望される場合にも、採血方法に関する説明書をご用意しています。
出生前DNA鑑定を受けるために必要なもの
出生前DNA鑑定をスムーズに進めるために、以下の項目を事前に確認しておきましょう。
- 母体の血液:妊娠7週以降に医療機関で採血します。母体血中の胎児由来cfDNAを解析に使用するため、妊娠週数が進むほど胎児DNAの濃度が高まりますが、7週目からでも十分な精度で検査が可能です。
- 父親候補のDNA:口腔粘膜から採取します。専用の綿棒で頬の内側をこするだけの簡単な方法で、自宅で行えます。爪や毛髪など特殊検体での鑑定に対応している機関もあります。
- 検査の種類の選択:私的鑑定か法的鑑定かを選択します。私的鑑定は個人的な確認目的で手軽に受けられます。法的鑑定は調停や裁判での証拠として使用できる正式な鑑定書が発行され、身分証明書の確認と第三者の立会いが必要です。
- 費用:出生前DNA鑑定は保険適用外で全額自己負担です。私的鑑定で約11〜17万円、法的鑑定で約19〜25万円程度が一般的な相場です。
法的鑑定を選択される場合、鑑定結果は認知請求や養育費請求などの法的手続きにおいて重要な証拠となります。裁判等での使用を想定している場合は、必ず法的鑑定を選択してください。(1)
妊娠中のDNA鑑定を検討する際の注意点
妊娠中のDNA鑑定は精度が高く安全な検査ですが、検討にあたっていくつか重要な注意点があります。
- 産婦人科での通常の妊婦健診では出生前DNA鑑定は行えません。DNA鑑定は必ず専門機関を通じて行う必要があります。
- 検査は信頼できる専門機関に依頼してください。ISO認証やプライバシーマークなどの品質・個人情報保護に関する認定を取得している機関を選ぶことで、検体の取り扱いやデータ管理の安全性が担保されます。
- 法的手続きでの利用には「法的鑑定」が必要です。私的鑑定の結果は法的な証拠能力を持たない場合がありますので、最初から法的鑑定を選択してください。
- 精度は99.99%以上ですが、適切な品質管理体制が整った機関で行われた場合の数値です。実績が少ない機関や詳細な検査方法を公開していない機関には注意が必要です。(6)
- 心理的な準備も重要です。DNA鑑定の結果は家族関係やパートナーシップに大きな影響を与える可能性があります。信頼できる専門機関では検査前後のカウンセリングや相談サポートを提供しています。
まとめ
本記事のポイントを改めて整理します。
- 妊娠中のDNA鑑定は産婦人科ではなく専門機関で行う:産婦人科は母体と胎児の健康管理が専門であり、父親特定のDNA鑑定には対応していません。
- 産婦人科での遺伝子検査は胎児の健康状態を確認することが目的:NIPT、クアトロテスト、羊水検査などは染色体異常リスクの評価を行うものであり、父親特定はできません。
- 出生前DNA鑑定は母体血と父親候補のDNAを比較する安全で精度の高い検査:妊娠7週目から受けることが可能で、胎児への直接的なリスクはありません。
- 検査を受けるにはDNA鑑定専門機関への申し込みが必要:母体血の採取(提携医療機関にて)と父親候補のDNA採取を行い、検体を検査機関に送付します。
妊娠中のDNA鑑定を検討する場合は、信頼できる情報をもとに安全に手続きを進めることが重要です。不明な点や不安な点がある場合は、まずはDNA鑑定の専門機関に相談されることをおすすめします。
\妊娠中に赤ちゃんの父親がわかる/
よくあるご質問
Q1. 妊娠中に産婦人科でDNA鑑定(父親の特定)はできますか?
A. いいえ、一般的な産婦人科では胎児の父親を特定するDNA鑑定は行えません。産婦人科で実施される遺伝子検査は、胎児の染色体異常や健康状態を調べるためのもの(NIPT、クアトロテスト、羊水検査など)です。出生前DNA鑑定を受けるには、DNA鑑定の専門機関にお申し込みいただく必要があります。(1)
Q2. 出生前DNA鑑定は妊娠何週目から受けられますか?
A. 出生前DNA鑑定は妊娠7週目以降から受けることが可能です。母体血中に含まれる胎児由来のcfDNA(セルフリーDNA)を解析するため、妊娠初期の早い段階から検査が行えます。妊娠週数が進むにつれて胎児DNAの濃度が上がり、より安定した結果が得られやすくなります。(6)
Q3. 出生前DNA鑑定とNIPT(新型出生前診断)の違いは何ですか?
A. 出生前DNA鑑定は「胎児の生物学的な父親が誰か」を特定するための検査であり、NIPTは「胎児に染色体異常のリスクがあるか」を調べるための検査です。どちらも母体血を使用しますが、検査の目的や解析内容がまったく異なります。(3)
Q4. 出生前DNA鑑定の費用はどのくらいですか?保険は適用されますか?
A. 出生前DNA鑑定は保険適用外のため、全額自己負担となります。費用の目安は、私的鑑定で約11〜17万円、法的鑑定で約19〜25万円程度です。検査機関によって料金体系が異なりますので、事前にご確認ください。
Q5. 出生前DNA鑑定の結果は裁判で使えますか?
A. 裁判や調停などの法的手続きでDNA鑑定の結果を証拠として使用する場合は、「法的鑑定」を選択する必要があります。法的鑑定では、検体採取時の本人確認(身分証の提示・写真撮影)や第三者の立会いが求められ、証拠能力のある正式な鑑定書が発行されます。(1)
Q6. 出生前DNA鑑定は母体や胎児に危険はありませんか?
A. 現在の出生前DNA鑑定は、母体からの採血のみで検査が行えるため、胎児への直接的な侵襲はありません。羊水検査のような流産リスクもなく、安全に検査を受けていただけます。採血は通常の血液検査と同じ方法で行われますので、母体への負担も最小限です。(7)
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著者
医学博士 富金 起範
筑波大学、生体統御・分子情報医学修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発
【参考文献】
(1) 遺伝子検査・DNA鑑定のseeDNA, 2021年2月(2) 日本経済新聞, 2018年8月
(3) 公益社団法人 日本産科婦人科学会, 2022年1月
(4) Bioinformatics, 2012年10月
(5) Prim Health Care Res Dev, 2012年1月
(6) 遺伝子検査・DNA鑑定のseeDNA, 2021年1月
(7) ISO, 2026年4月