なぜ私的DNA鑑定は裁判で認められないの?

2017.08.01

リライティング日:2024年08月14日

私的DNA鑑定が裁判で認められない理由は精度の問題ではなく、検体採取時に第三者の立会いがないためです。法的鑑定との違いや精度保証について詳しく解説します。

私的鑑定が裁判で認められない本当の理由

私的鑑定が裁判で認められない本当の理由「私的DNA鑑定は裁判で使えない」と聞いたことがある方は多いかもしれません。では、なぜ使えないのでしょうか。答えは、「検体採取時に第三者の立会いがなかったから」です。つまり、DNA鑑定そのものの分析精度が低いからではなく、検体が正しい人物から正しい手順で採取されたことを客観的に証明できないという「手続き上の問題」が理由なのです。(1)

裁判では証拠の「信用性」と「真正性」が非常に重視されます。どれほど高精度な鑑定結果であっても、提出された検体が本当に当事者本人のものであるかが担保されていなければ、裁判所はその結果を正式な証拠として採用することができません。この点を正しく理解することが、DNA鑑定を依頼される方にとって極めて重要です。

私的鑑定の精度も十分に高い

私的鑑定の精度も十分に高い弊社seeDNA遺伝医療研究所では、私的鑑定においてもFBI(米国連邦捜査局)のガイドラインより高い精度の鑑定を保証しております。私的鑑定が裁判で認められないのは「精度が低いから」ではございません。

DNA型鑑定の精度は、検査に使用する遺伝子座(STRマーカー)の数や分析手法によって決まります。FBIが推奨するCODIS(Combined DNA Index System)では13〜20箇所の遺伝子座を分析することが標準とされていますが、弊社の私的鑑定ではこれを上回る数の遺伝子座を解析しており、科学的な信頼性は法的鑑定と同等です。したがって、「私的鑑定だから精度が劣る」という認識は誤りであり、あくまで手続きの違いが法的効力の有無を分けているのです。(2)

私的鑑定では検体採取から同意書作成までを個人で行う

私的鑑定では検体採取から同意書作成までを個人で行う私的鑑定の場合、弊社から送られてくる「DNA型鑑定キット」を使い、依頼人ご自身で検体採取を行っていただきます。これにより、ご自宅など任意の場所で、ご都合の良いタイミングで検体を採取できるという利便性があります。

経済産業省の「個人情報保護に関するガイドライン」に基づき、同意書には鑑定に参加される被検者全員の署名をいただいておりますが、弊社から被検者に直接確認を行うことはできません。同意書の作成と検体採取のすべてを依頼人に委任しているため、弊社では以下の2点について証明をいたしかねます。

  • 鑑定に用いた検体が被検者本人から正しく採取されたかどうか
  • 鑑定に参加される被検者が本当に同意しているかどうか

この「本人確認の不在」こそが、私的鑑定の結果が裁判で正式な証拠として採用されない最大の理由です。裁判において証拠の「チェーン・オブ・カストディ(証拠保全の連鎖)」が確立されていることは必須条件であり、私的鑑定ではこの連鎖が途切れてしまうのです。

DNA鑑定のやり方はこちら

裁判用の法的鑑定では専門スタッフが全工程に関与

裁判用鑑定(法的鑑定)は私的鑑定よりも精度が高いことはもちろん、検体の採取から書類の作成までをすべて専門のスタッフが行います。検体採取に専門のスタッフが立ち会うことにより、検体を提供した被検者の身元確認や血縁関係の立証を弊社が公式に証明することが可能になります。

法的鑑定における具体的な手順は、以下のとおりです。

  1. 身分証明書による本人確認:被検者全員の身分証明書(運転免許証・パスポート等)を専門スタッフが確認し、記録します。
  2. 写真撮影:被検者の顔写真を撮影し、検体との紐付けを行います。
  3. 第三者立会いのもとでの検体採取:専門スタッフの立会いのもと、口腔内細胞などの検体を採取します。
  4. 同意書への署名:被検者全員がスタッフの面前で同意書に署名し、自由意思による参加であることを確認します。
  5. 検体の厳格な管理:採取された検体は封印され、分析ラボへ直接送付されます。すべての工程で証拠保全の連鎖(チェーン・オブ・カストディ)が維持されます。

このように、法的鑑定では検体の採取から分析結果の報告に至るまで、すべてのステップで第三者の関与と記録が保証されているため、裁判所が証拠として採用できるのです。(1)

私的鑑定と法的鑑定の主な違い

両者の違いを整理すると、以下のようになります。

比較項目私的鑑定法的鑑定
検体採取依頼人が自身で実施専門スタッフが立会い
本人確認なし身分証明書で確認
裁判での利用原則不可可能

なお、分析精度に関しては、オプション選択により私的鑑定でも法的鑑定と同等の精度保証を受けることが可能です。

裁判用鑑定と同じ精度の保証も可能

個人的な確認を目的とする私的鑑定でも、お申し込みの際にオプションとして「裁判用鑑定と同じ精度」をお選びいただきますと、裁判用の法的DNA型鑑定と同様に99.99%以上(否定の場合は0%)の鑑定精度を保証いたします。

この精度は、親子関係の肯定確率として国際的にも十分な水準とされており、アメリカ血液銀行協会(AABB)が求める基準(99.0%以上)をも大きく超えるものです。父子関係を肯定する場合は99.99%以上の確率で証明し、否定する場合は完全に0%として結果を報告いたします。

「まずは個人的に確認したいが、将来的に裁判で使う可能性もある」という方には、最初から法的鑑定をお選びいただくことをおすすめいたします。私的鑑定の結果を後から法的鑑定に「変換」することはできないため、目的に応じた鑑定タイプの選択が重要です。

どちらの鑑定を選ぶべきか

DNA鑑定の目的に応じて、適切な鑑定タイプを選択することが大切です。以下のポイントを参考にしてください。

  • 個人的な確認目的(自分自身で結果を知りたいだけ)の場合 → 私的鑑定で十分です
  • 認知請求・親権争い・相続問題など裁判での使用が想定される場合 → 法的鑑定を選択してください
  • 現時点では個人的な確認だが、将来的に法的手続きに発展する可能性がある場合 → 念のため法的鑑定をおすすめします
  • 相手方の協力が得られない場合 → まずは私的鑑定で確認し、結果を踏まえて弁護士にご相談されることをおすすめします

いずれの鑑定タイプをお選びいただいても、弊社seeDNA遺伝医療研究所では最新の分析機器と厳格な品質管理体制のもと、正確で信頼性の高いDNA鑑定結果をお届けいたします。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

Q1. 私的鑑定の結果を後から裁判の証拠にすることはできますか?

A. 原則としてできません。私的鑑定では検体採取時に第三者の立会いがないため、証拠保全の連鎖(チェーン・オブ・カストディ)が確立されていません。裁判で使用する予定がある場合は、最初から法的鑑定をお選びください。

Q2. 私的鑑定と法的鑑定で分析精度に差はありますか?

A. 弊社の私的鑑定はFBIのガイドラインを上回る精度を保証しており、オプションで「裁判用鑑定と同じ精度」を選択すれば、99.99%以上の肯定確率(否定の場合は0%)が保証されます。精度の差が法的効力の違いを生んでいるわけではありません。

Q3. 法的鑑定では具体的にどのような本人確認が行われますか?

A. 法的鑑定では、専門スタッフが被検者全員の身分証明書(運転免許証・パスポート等)を確認し、顔写真を撮影します。その上で、スタッフ立会いのもとで検体を採取し、同意書への署名も面前で行われます。

Q4. 相手方が鑑定に同意しない場合はどうすればよいですか?

A. 相手方の協力が得られない場合でも、まずは私的鑑定で可能な範囲の確認を行い、その結果をもとに弁護士にご相談されることをおすすめします。裁判所を通じて鑑定命令が出されるケースもあります。

Q5. 私的鑑定の結果は全く法的な意味を持たないのですか?

A. 私的鑑定の結果が裁判の「正式な証拠」として採用されることは原則ありませんが、弁護士との相談や今後の法的対応を検討するための参考資料として活用されるケースはあります。ただし、最終的に裁判で争う場合は改めて法的鑑定を実施する必要があります。

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医学博士 富金 起範著者

医学博士 富金 起範

筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発

【参考文献】

(1) 遺伝子検査・DNA鑑定のseeDNA, 2026年4月
(2) J Biol Chem, 1997年3月
(3) Annu Rev Genomics Hum Genet, 2014年
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