NGS(次世代シーケンサー)とは?DNA解析に活躍する機器をご紹介

2018.08.20

リライティング日:2024年10月04日

NGS(次世代シーケンサー)は数百万以上のサンプルを一度に解析できる革新的技術です。seeDNAではNGSを活用し、出生前親子鑑定や各種DNA鑑定において高精度かつ迅速な結果を提供しています。

NGS(Next Generation Sequencer:次世代シーケンサー)とは

NGS(Next Generation Sequencer:次世代シーケンサー)とはseeDNAで鑑定に用いているNGS(Next Generation Sequencer:次世代シーケンサー)とは、いったいどのようなものなのでしょうか。そもそも「シーケンサー」という単語を初めて聞いたという方もいらっしゃるかと思います。シーケンサーとは、DNAを構成するA(アデニン)、T(チミン)、G(グアニン)、C(シトシン)の4種類の塩基配列を読み解くための機械のことです。私たちの体の設計図ともいえる遺伝情報は、すべてこの4文字の並び順(配列)によって記録されており、その配列を正確に解読する技術こそがDNA鑑定や遺伝医療の根幹を支えています。(1)

DNAの塩基配列を「読む」という作業は、一見シンプルに思えるかもしれません。しかし、ヒトの全遺伝情報(ヒトゲノム)は約30億塩基対という膨大な量から構成されており、その中から必要な領域を正確に読み出すためには、高度な技術と装置が不可欠です。NGSは、この課題を革新的な方法で解決した装置であり、従来の技術とは次元の異なる解析能力を有しています。

従来のシーケンサーとNGSの圧倒的な性能差

従来のシーケンサーとNGSの圧倒的な性能差これまで主流であった従来型のシーケンサー(いわゆるサンガーシーケンサー)は、多くても一度に約100サンプル、塩基の長さは600塩基対程度を解析するものでした。サンガー法は1977年にフレデリック・サンガーによって開発され、約40年にわたりDNA解析のゴールドスタンダードとして活用されてきました。しかし、ヒトゲノムは約30億塩基対から構成されているため、従来のシーケンサーではヒトゲノムの全領域を網羅するために50,000回以上もの運用を繰り返す必要がありました。

一方、次世代機であるNGSは一度に数百万以上のサンプルを同時並行で解析する「超並列シーケンシング(massively parallel sequencing)」と呼ばれる技術を採用しています。これにより、NGSはわずか1回の運用でヒトゲノム全体を網羅できるほどの圧倒的な解析能力を有しています。

処理速度だけでなく、1塩基あたりの解析コストも従来のシーケンサーと比較して劇的に低下しています。かつてはヒトゲノム解読に数十億ドル規模の費用と10年以上の歳月が必要でしたが、NGSの登場によって現在では数日〜数週間、コストも大幅に削減された状態で全ゲノム解析が可能になっています。 この「速度」「コスト」「スループット」のすべてが飛躍的に向上したことが、NGSが「次世代」と呼ばれるゆえんです。

従来型シーケンサーとNGSの比較

項目従来型(サンガー法)NGS
1回あたりのサンプル数最大約100数百万以上
読み取り長約600塩基対機種により異なる
ヒトゲノム網羅50,000回以上1回で可能

出生前親子鑑定におけるNGSの役割

出生前親子鑑定におけるNGSの役割出生前親子鑑定は、妊娠中のお母様の血液中に含まれる微量の胎児由来DNA(セルフリー胎児DNA:cffDNA)を解析することで、出産を待たずに親子関係を判定する技術です。妊娠10週前後から母体血液中には胎児のDNA断片が存在しますが、その割合は母体のDNAと比べて非常に少なく、全体のわずか数%〜十数%程度にすぎません。 このような微量のDNAを正確に読み取るためには、従来型のシーケンサーでは感度が不十分でした。(2)

NGSの強力な解析能力は、この課題を克服することを可能にしています。超並列シーケンシングにより同一の領域を何千回、何万回と繰り返し読み取る「ディープシーケンシング」が実現され、微量の胎児DNAであっても正確にその配列情報を抽出できるようになりました。これにより、お母様から採血するだけで、胎児への侵襲を伴わない安全な方法で出生前親子鑑定を実施することが可能になっています。羊水穿刺や絨毛採取といった従来の侵襲的手法と比較して、母体・胎児双方のリスクを大幅に低減できる点は、NGSがもたらした最も重要な恩恵のひとつです。(3)

DNA親子鑑定におけるNGSの精度向上メカニズム

親子鑑定では、ヒトゲノムのすべてを比較する必要はなく、特定のDNA領域(遺伝マーカー)を複数カ所比較することで親子関係を判定します。一般的にはSTR(Short Tandem Repeat:短鎖反復配列)と呼ばれる領域が用いられ、これらの領域は個人間で反復回数に差異があるため、個人識別や血縁関係の証明に非常に有効です。(4)

NGSを用いることで、1度に目的のDNA領域を数千回〜数万回以上繰り返し解析する「カバレッジ」を確保することが可能になります。この繰り返し読み取りにより、配列の読み間違え(シーケンシングエラー)を統計的に検出・排除できるため、非常に高い精度の解析を実現しています。従来のSTR解析では判別が困難であった近縁者間の鑑定や、劣化・微量検体の解析においても、NGSのディープシーケンシングは威力を発揮します。

  • 超並列シーケンシングにより、同一領域を繰り返し解析してエラーを排除
  • 微量の胎児DNAでも高感度に検出可能
  • 複数のDNAマーカーを同時に解析でき、鑑定精度が飛躍的に向上
  • 従来法と比べて解析時間が大幅に短縮
  • 1回の運用で網羅的な情報が取得できるため、コスト効率にも優れる

NGS技術の歴史と今後の展望

DNAの二重らせん構造が、ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによって解明されたのは1953年、今から約70年前のことです。その後、フレデリック・サンガーにより前世代シーケンサーの基盤技術(ジデオキシ法)が開発されたのが1977年、約40年以上前のことになります。 そして約10年以上前に登場したNGS技術は、その後も継続的に改良が重ねられ、読み取り精度の向上、処理速度の高速化、さらなるコスト削減が実現されてきました。

  1. 1953年:ワトソンとクリックによるDNA二重らせん構造の発見
  2. 1977年:サンガーによるジデオキシ法(第一世代シーケンシング)の開発
  3. 2005年頃:次世代シーケンサー(NGS)の商業化が始まる
  4. 現在:第三世代シーケンサー(ロングリードシーケンサー)も登場し、さらなる進化を継続中

現在ではナノポアシーケンシングなどの第三世代技術も実用化が進みつつあり、DNA解析技術は今もなお急速な進歩を続けています。第三世代シーケンサーは数万塩基を一度に読み取れるロングリード解析が可能であり、ゲノムの構造変異の検出やエピジェネティクス解析など、NGSでは難しかった領域への応用が期待されています。

seeDNAが提供するNGS活用の鑑定サービス

seeDNA遺伝医療研究所では、常に最新の技術・知識を取り入れ、正確かつ迅速な鑑定結果をご提供できるよう取り組んでおります。NGSの圧倒的な解析能力を活かし、出生前親子鑑定をはじめとした各種DNA鑑定において、微量検体や困難な条件下でも高精度な鑑定を実施できる体制を整えています。

お客様に安心してご利用いただける鑑定サービスを目指し、技術の革新に合わせた品質の向上を継続してまいります。ご不明点やご不安がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

よくあるご質問

Q1. NGS(次世代シーケンサー)と従来のシーケンサーは何が違うのですか?

A. 従来型のシーケンサー(サンガー法)は一度に最大約100サンプル・600塩基対程度しか解析できませんでしたが、NGSは「超並列シーケンシング」技術により、一度に数百万以上のサンプルを同時に解析できます。これにより解析速度、コスト、精度のすべてにおいて飛躍的な向上が実現されています。

Q2. なぜNGSを使うとDNA鑑定の精度が上がるのですか?

A. NGSでは同一のDNA領域を数千回〜数万回以上繰り返し読み取ることができるため、シーケンシングエラー(読み間違え)を統計的に排除できます。この「ディープシーケンシング」により、きわめて高い精度で塩基配列を確定できるのです。

Q3. 出生前親子鑑定でNGSはどのように使われるのですか?

A. 妊娠中のお母様の血液中に微量に含まれる胎児由来のDNA(セルフリー胎児DNA)を、NGSの高感度な解析能力で読み取ります。これにより、胎児に負担をかけることなく(非侵襲的に)、採血だけで親子関係を判定することが可能です。

Q4. NGSによる解析にはどのくらいの時間がかかりますか?

A. 解析目的や使用する機器の種類によって異なりますが、DNA鑑定に必要な特定領域の解析であれば、シーケンシングラン自体は数時間〜1日程度で完了するのが一般的です。その後のデータ解析や品質管理の工程を経て、最終的な鑑定結果をお届けいたします。

Q5. seeDNAではどのような検査にNGSを活用していますか?

A. seeDNAでは、出生前親子鑑定をはじめとした各種DNA鑑定にNGSを活用しています。NGSの圧倒的な解析能力により、微量検体や困難な条件下でも高精度な鑑定を実施できる体制を整えています。

Q6. NGSの第三世代シーケンサーとは何ですか?

A. 第三世代シーケンサーとは、ナノポアシーケンシングなどに代表される最新のDNA解析装置です。NGS(第二世代)と比較して、数万塩基にわたるロングリード解析が可能であり、ゲノムの構造変異やメチル化の検出など、より高度な解析への応用が期待されています。

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医学博士 富金 起範著者

医学博士 富金 起範

筑波大学大学院 生体統御・分子情報医学 修士/博士課程卒業
2017年に国内初となる微量DNA解析技術(特許7121440)を用いた出生前DNA鑑定(特許7331325)を開発

【参考文献】

(1) Proc Natl Acad Sci U S A, 1977年12月
(2) Nat Rev Genet, 2016年3月
(3) Am J Sports Med, 2011年2月
(4) Biomaterials, 2016年10月
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