新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」と診断されたらどうする!?
2025.06.12
もしも、新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」の結果が届いたら
一般的に、病院で特定の病気の診断結果が出た場合、その結果に基づいて病気の有無が明確になり、適切な治療や経過観察といった対応が可能になります。
しかし、新型出生前診断(NIPT)で「高リスク」と通知された場合、たとえ結果が高リスクであっても、すぐに中絶を選択することは、どの医療機関でも推奨していません。これは、NIPTがあくまでもスクリーニング検査であり、確定診断ではないためです。また、日本では母体保護法により不妊手術および人工妊娠中絶に関する規定が定められており、母体の生命と健康の保護が最優先とされているからです。※1
「新型出生前診断」という名称には「診断」という言葉が含まれているため、結果が絶対だと思われる方も多いかもしれませんが、NIPTで高リスクの結果を受け取った場合、まずはパートナーと話し合い、遺伝カウンセラーなど専門家に相談して、納得のいく結論を導くためのサポートを受けることが大切です。※2
新型出生前診断は「診断」ではない
新型出生前診断(NIPT)を実施している検査機関や医療機関は多く存在しますが、新型出生前診断は正式な診断ではなく、「臨床研究」として行われていることを明確に説明している医療機関は多くありません。
実際、出生前検査認証制度等運営委員会の定義では、「認定を受けた施設において臨床研究として実施される」と明記されています。ここでいう「臨床研究」とは、複数の施設が同じ手順で検査を行い、その結果を集計・分析して医学的知見を深めることを目的としたものです。※3
そもそもNIPTの正式な英語名称は「Non-Invasive Prenatal Test」であり、これを正確に日本語に訳すと「非侵襲性出生前遺伝学的検査」となります。
「新型出生前診断」という名称には「診断」という言葉が含まれていますが、実際には確定的な診断を下す検査ではない点に注意が必要です。※4
NIPTにおける「高リスク」「低リスク」という結果の意味
NIPTで「高リスク」と出た場合、それは赤ちゃんに特定の染色体異常がある可能性が高いということを意味します。しかし、NIPTはスクリーニング検査です。つまり「可能性があるかどうか」を調べる検査であるため「高リスク」の結果が出たからといって、必ずしも赤ちゃんに異常があるとは限りません。
「低リスク」と出た場合は、染色体異常の可能性が低いということになりますが、こちらも同様に「絶対に異常はない」と言い切れるわけでもありません。
そもそも、NIPTのようなスクリーニング検査に対して、病気を確定させる臨床診断の精度をそのまま当てはめることはできません。ただし、便宜的に「高リスク=陽性」「低リスク=陰性」として、検査の精度(どれくらい当たるか)を計算することは可能です。
NIPTの陽性的中率(陽性と出たときに、本当に異常がある確率)は、検査内容や妊婦さんの年齢、使われている検査機関によって変わりますが、ダウン症(21トリソミー)では、95〜98%という数値が報告されています。
NIPTの精度が100%にならない理由
なぜ、NIPT(新型出生前診断)の精度は100%にならないのでしょうか。
最も一般的な理由としては受精卵の発育過程でおきる胎盤には染色体異常があるものの、胎児は正常な「モザイシズム(mosaicism)」による「偽陽性」です。※5
NIPTの精度を示す指標のひとつに、「偽陰性」があります。これは、陰性の結果であったにも関わらず、実際には胎児に異常があった場合を指します。
2025年2月にアメリカの国立がんセンターに報告されたケースですが、妊婦自身に特定のがんが存在していた場合にも、NIPTが偽陽性の結果を示す可能性があることが明らかになりました。※6
こうした理由からも、遺伝性疾患のリスクが見つかった場合は、必ず専門医によるカウンセリングを受ける必要があります。
現在、国内で行われているNIPTはすべて海外の検査プラットフォームを利用しているか、検体を海外の検査機関に送付して結果だけを患者さんに伝える検査になっています。
2025年6月時点で、一部のクリニックでは検査プラットフォームを提供している検査機関が保証していない数値を示していたり、当クリニックのNIPTの精度は100%と事実とは異なる宣伝をしているところもあるので、そういったクリニックには注意が必要です。
残念ながらNIPTの精度は100%ではありません。
seeDNAでは、お腹の赤ちゃんに高リスクの項目が見つかった場合は、カウンセリング費用と確定診断の受診費用を補助しています。NIPTで「高リスク」の結果が出た場合は、必ず、かかりつけの産婦人科や専門医によるカウンセリングを受けましょう。
胎児の性別も無料でわかる
参考文献
※1:母体保護法※2:母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針
※3:出生前検査認証制度等運営委員会
※4:Diagnostics, Aug. 2023
※5:Journal of Personalized Medicine, Feb., 2024
※6:National Cancer Institute

遺伝子検査・DNA鑑定に関する疑問や不安などありましたらお気軽にお問合せください。
日本DNAアドバイザー協会認定のDNAアドバイザーの無料相談が受けられます。
\土日も休まず営業中/
営業時間:月~日 9:00-18:00
(祝日を除く)