DNAと遺伝子の違いとは?それぞれの意味についてご説明

2016.04.16

「DNA」という言葉と「遺伝子」

DNA型鑑定の業務に携わっていますと、「DNA」という言葉と「遺伝子」という言葉を混同してしまっている方はとても多いものと日々感じています。専門的に学んだ方以外で、しっかりと各々の言葉の意味を伝えることができる人はあまりいないのではないでしょうか。ここで一度振り返ってみたいと思います。

DNAのつくり DNAというものは、デオキシリボース(糖)、リン酸、塩基からなるヌクレオチドが多数つながってできているものです。 そして、塩基の並び方が遺伝情報としてはたらくわけですが、配列の全てが遺伝情報となるわけではありません。 つまり、DNAには遺伝情報を含む部分と含まない部分が存在し、この遺伝情報を含む部分のDNAの一部領域のことを遺伝子といいます。 したがって、DNAは遺伝子(遺伝情報)を保持している物質であり、よく「遺伝子の本体」あるいは「遺伝情報の本体」と呼ばれます。

以上がDNAという言葉と遺伝子という言葉の説明となります。

DNAの形 またここで、DNAと染色体の関係についても確認しておきましょう。 大腸菌などの原核生物では、通常1個の環状のDNA分子が存在しています。原核生物の場合は、これを染色体と呼びます。 それに対して、ヒトなどの真核生物は、DNAは通常ヒストンと呼ばれるタンパク質に巻きつき、繊維状の構造体で核内に存在します。真核生物の場合はこれを染色体といい、数は生物種によって異なります。 このように染色体とは細胞内でDNAを安定に保持するための構造のことを指します。

一般的にはDNA=遺伝子=染色体と、同じようなもの扱いで扱う文書をよく見かけますが、実際には各々異なる言葉となりますので、意味をしっかりと理解し使い分けたいものです。