リライティング日:2025年09月26日
DNA鑑定で誤った結果が出た場合に起こり得る6つの深刻な影響を解説。精神的ショック、家族崩壊、法的トラブル、誤った訴訟提起、行政・裁判への悪影響、子どものアイデンティティへの影響について専門家が詳しく紹介します。
はじめに
「親子なのにDNA鑑定の結果が違ったらどのような影響があるの?」とお悩みではありませんか?
親子関係があるはずなのに血縁関係が否定されたり、逆に親子関係ではないのに血縁関係が肯定されるなど、DNA鑑定で本来とは異なる結果が出ると、親子やパートナーにさまざまな深刻な影響をもたらします。DNA鑑定は現在、非常に高い精度を誇る検査技術ですが、キメラ(一人の体内に異なる遺伝情報が混在する状態)やヒューマンエラー(検体の取り違え、分析ミスなど)によって、まれに誤った結果が出る可能性があります。
誤った結果が出た場合、その影響は当事者の精神面だけにとどまりません。家庭の崩壊や離婚への発展、養育費や相続をめぐる法的トラブル、さらには行政手続きや裁判における誤った判断につながるリスクも存在します。特に子どもに対しては、自己肯定感やアイデンティティの形成に長期的な悪影響を及ぼす可能性があり、十分な注意が必要です。
本記事では、DNA鑑定の結果が違ったときに起こり得る6つの影響について、具体的な事例や研究データを交えて詳しく解説します。DNA鑑定を検討されている方、すでに結果に疑問を感じている方にとって、リスクを正しく理解し適切な対処法を知るための一助となれば幸いです。
1. 精神的ショックと混乱を招く

DNA鑑定の結果の誤判定により、本来親子であるにもかかわらず否定されてしまうと、親は「信じてきた家族関係が壊れた」という絶望感を抱き、子どもは「自分の存在が否定された」と感じて深い孤独や不安を背負うことが少なくありません。
親にとっては、長年にわたり我が子として愛情を注いできた相手との血縁関係が否定されることは、人生の根幹を揺るがす出来事です。「これまでの家族としての時間は何だったのか」「自分は騙されていたのか」といった疑念が次々と浮かび、パートナーへの不信感が急速に高まります。一方で、母親の側から見れば、身に覚えのない疑いをかけられること自体が大きな精神的負担となり、夫婦間のコミュニケーションが著しく困難になるケースもあります。
こうした精神的ダメージは時間が経っても癒えにくく、親子間の信頼回復を困難にするだけでなく、将来的な人間関係や自己肯定感にも悪影響を及ぼすでしょう。研究によれば、父親の不確実性(paternity uncertainty)は当事者の心理的ウェルビーイングに深刻な影響を与え、うつ症状や不安障害のリスクを高めることが報告されています。 特に、誤った結果に基づいて家族関係が変化してしまった場合、その後に結果の誤りが判明しても心理的な傷が完全に回復するとは限りません。
2. 家族崩壊や離婚の引き金になるリスクがある

DNA鑑定で親子関係が否定されたという結果が出ると、夫婦間や家族内の信頼が大きく揺らぎ、深刻な対立を生む可能性があります。親子関係は家族の基盤であり、その否定は配偶者への裏切り感や不信感を強くし、関係修復を困難にするためです。
誤った結果が夫婦関係や家族への信頼を壊し、家庭内不和や離婚、子どもの親権問題にまで発展するケースもあります。 実際、DNA鑑定結果を受けて即座に離婚手続きに入る夫婦も存在し、冷却期間を設ける余裕もなく家族が引き裂かれてしまうことがあります。(1)
一度失われた信頼は、たとえそれが誤判定に基づくものであったとしても簡単には回復せず、夫婦関係が冷え込む可能性が高いでしょう。「DNA鑑定の結果は間違いだった」と後から説明しても、「なぜそもそも鑑定をしようと思ったのか」という根本的な疑念が残り、パートナーシップの再構築は容易ではありません。
さらに、離婚に至った場合は親権や面会交流、養育費などの法的手続きが必要となり、精神的・経済的な負担が大きくなります。特に子どもがいる家庭においては、離婚による環境の激変が子どもの心身の発達にも影響を与えるため、DNA鑑定の結果が正確であることがいかに重要かがわかります。
3. 養育費や相続に関する法的トラブルが起こる可能性がある

DNA鑑定で親子関係が否定されると、養育費や相続に関する権利義務が大きく変わり、深刻な法的トラブルに発展する可能性があります。これは、民法上の親子関係がなくなると、養育費の支払い義務や相続権が消滅する場合があり、生活や財産の状況が大きく変わるためです。
日本の民法では、法律上の親子関係は戸籍に基づいて判断されますが、DNA鑑定の結果が裁判で証拠として採用されることにより、これまでの法的関係が覆される可能性があります。DNA鑑定の結果が法的判断の根拠となることもあり、誤判定により不当な養育費の支払いや正当な相続権の剥奪が生じる恐れがあります。
具体的には、元パートナーがこれまで支払ってきた養育費の返還請求をされたり、すでに受け取った相続分の返還を求められる可能性もあるでしょう。養育費の返還請求は、支払い側にとっても受け取り側にとっても大きな経済的・精神的負担となります。
また、誤った結果により本来受け取れるはずの養育費や相続分を失い、生活基盤が揺らぐ場合もあります。特に相続に関しては、遺産分割協議がすでに完了している場合に再分割を求めることは法的にも非常に困難であり、誤判定の影響が長期間にわたって尾を引くことになります。
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4. 誤って「嫡出否認の訴え」や「親子関係不存在確認の訴え」を提起する恐れがある
DNA鑑定の結果が否定的に出た場合、本来は親子であるにもかかわらず「本当に血のつながりがない」と誤解してしまう可能性があります。その結果を信じて、「嫡出否認の訴え」や「親子関係不存在の訴え」を提起してしまう可能性もゼロではありません。
「嫡出否認の訴え」とは、婚姻中に生まれた子ども(嫡出子)について、夫が「自分の子ではない」と主張して法的親子関係を否定する手続きです。一方、「親子関係不存在確認の訴え」は、戸籍上の親子関係が実際には存在しないことの確認を求めるものです。いずれも法的に非常に重大な手続きであり、家庭裁判所での審理を経て判決が下されます。
これらの訴えは、一度提起し判決が確定すると、戸籍の訂正や親権の変更、養育義務の消滅など、家庭や生活に大きな影響を及ぼします。さらに、鑑定が誤りであったと後から判明しても、法的な回復は極めて困難で、元の状態に戻すためには複雑で長期的な手続きが必要です。
キメラやヒューマンエラーによる誤判定の実例
DNA鑑定は高精度とされますが、検査精度の限界(キメラの影響)やヒューマンエラー(人的ミス)により誤判定が起こる可能性があるため注意が必要です。
キメラとは、一人の体内に遺伝的に異なる2種類以上の細胞が存在する状態を指します。自然発生的なキメラは、双子の受精卵が初期の段階で融合することなどによって生じることがあり、本人も自覚していないケースがほとんどです。このような場合、口腔粘膜や血液から採取したDNAが、生殖細胞(精子・卵子)のDNAとは異なるプロファイルを示すことがあり、これが親子鑑定の誤判定につながります。
例えば、不妊治療クリニックでDNA鑑定が行われ、親子鑑定が陰性であったにもかかわらず、キメラであることが分かり、最終的に子どもの親であることが認められた父親がいます。 また、キメラであったために、3人の息子のうち2人の生物学的母親でないと判断された例 や、代理出産や体外受精を利用した父親で、キメラが原因で父子関係が否定されたケースもあります。(2)(3)(4)
一方、人的要因による誤りも存在します。実際、誤ったDNA鑑定結果により父親とされていた男性が法的・社会的に親子関係を否定され、家族崩壊が起こりました。 このような事例もあることから、DNA鑑定は高精度だが絶対ではないという前提が裁判所で認められた例もあります。(1)(5)
以下に、DNA鑑定の誤判定が発生する主な原因をまとめます。
| 原因の種類 | 具体例 | 発生頻度 |
|---|---|---|
| キメラ | 双子融合による遺伝的モザイク | 非常にまれ |
| ヒューマンエラー | 検体の取り違え・分析ミス | 機関により異なる |
| 変異 | 突然変異による遺伝子座の不一致 | まれ |
5. 行政手続きや裁判における誤った判断の原因に
DNA鑑定の結果は、行政手続きや裁判で重要な判断材料として使われることがあります。そのため、誤判定や不十分な手順で得られた結果をそのまま採用すると、重大な誤判断を招く恐れがあるので注意が必要です。
戸籍訂正や親権争いなど、誤った鑑定結果が裁判所や行政判断に影響を与える可能性があります。日本において戸籍は個人の身分関係を公証する最も重要な書類であり、DNA鑑定の結果に基づいて戸籍が訂正されると、その影響は氏名、国籍、相続権など多方面に及びます。
裁判ではDNA鑑定の結果は高い証拠力を持つため、他の証拠を十分に検討しないまま判決が下されてしまう危険性もあるでしょう。DNA鑑定は科学的根拠に基づく客観的な証拠として扱われるため、裁判官がその結果を過度に信頼し、当事者の証言や状況証拠を軽視してしまうリスクがあります。
一度こうした判断が確定すると、その後に誤りが判明しても法的な回復を図るのは簡単ではありません。確定判決を覆すには「再審」という特別な手続きが必要であり、再審の要件は厳格に定められているため、実際に認められるケースは極めて限定的です。このことからも、DNA鑑定の正確性がいかに重要であるかが理解できます。
6. 子どもの成長やアイデンティティにも影響を与える可能性がある
DNA鑑定の結果が違ったと出た場合、その影響は大人だけでなく子どもにも及びます。特に本来は親子であるにもかかわらず、誤判定で関係が否定された場合、子どもは自分の存在やルーツに疑問を抱き、深い混乱や不安を感じる可能性があります。
子どもにとって「自分がどこから来たのか」「自分の親は誰なのか」という問いは、アイデンティティ形成の根幹に関わるものです。発達心理学の観点からも、親子関係の安定性は子どもの健全な自我の発達に不可欠とされており、その関係が突然否定されることは甚大な心理的ダメージを与えます。
「親ではない」とされた子どもが、自己肯定感を失ったり、ショックや苦悩、裏切りを感じたりするようになるなど、長期的な心理的影響を及ぼすことがあるので注意しなければなりません。 研究では、親子関係の誤帰属(misattributed paternity)を経験した子どもは、対人関係における信頼感の低下や、情緒不安定、学業成績の低下といった問題を抱えやすいことが示されています。(1)
また、戸籍訂正や氏の変更が必要になる場合、学校や友人関係に影響し、居場所の喪失感を強める恐れもあります。特に思春期の子どもにとっては、名前が変わることや家族構成が変わることは、周囲からの視線を気にするきっかけとなり、いじめや孤立につながるリスクも否定できません。
DNA鑑定の誤判定を防ぐためにできること
DNA鑑定の結果が持つ影響力の大きさを考えると、誤判定のリスクを最小限に抑えるための対策を事前に講じておくことが非常に重要です。以下に、DNA鑑定を受ける際に押さえておくべきポイントをまとめます。
- 信頼できる検査機関を選ぶ:ISO9001などの国際品質規格を取得している検査機関は、検体の管理体制や分析プロセスにおいて厳格な品質管理が行われています。
- 検査の精度や手法を事前に確認する:何箇所の遺伝子座(STRマーカー)を分析しているか、精度保証の仕組みがどうなっているかを確認しましょう。
- 結果に疑問がある場合はセカンドオピニオンを検討する:一つの検査機関の結果だけで判断せず、別の機関で再鑑定を行うことで、誤判定のリスクを大幅に軽減できます。
- 法的手続きを急がない:DNA鑑定の結果を受けて即座に法的手続きに着手するのではなく、弁護士や専門家に相談し、結果の妥当性を慎重に評価することが大切です。
- キメラの可能性を念頭に置く:非常にまれなケースですが、キメラが原因で親子関係が否定される事例が報告されています。結果に不自然な点がある場合は、異なる検体(血液、毛髪、精液など)での再検査を検討しましょう。
以下は、DNA鑑定を受ける際の推奨フローです。
- 信頼できる検査機関(ISO認証取得など)を選定する
- 検査の目的・手法・精度について事前にカウンセリングを受ける
- 適切な方法で検体を採取・提出する
- 結果を受領し、不明点があれば専門家に相談する
- 結果に疑問がある場合は、別の検査機関でセカンドオピニオンを受ける
まとめ
誤ったDNA鑑定の結果が出た場合、その影響は精神的なショックや混乱だけにとどまらず、家族崩壊や離婚、養育費・相続などの法的トラブル、さらには行政手続きや裁判での誤った判断にもつながる可能性があります。
判定ミスによるトラブルが国内でも起こっているため、DNA鑑定を依頼する際は、品質保証の国際認定機関に依頼することが重要です。 検査結果に納得がいかない場合は、他社で再度DNA鑑定を行うセカンドオピニオンを受けることも検討するとよいでしょう。
あとからDNA鑑定に誤りがあったと判明しても法的に回復させるのは難しく、長期的な心理的影響を親・子どもともに与えてしまいます。DNA鑑定の結果は人生を大きく左右する重大な情報であるからこそ、その正確性と信頼性を担保することが不可欠です。
こうしたトラブルを避けるためにも、DNA鑑定は信頼できる検査機関を選ぶことが非常に重要です。結果を受け取った後も、冷静に専門家の意見を仰ぎながら、慎重に次のステップを判断することをお勧めします。
よくあるご質問
Q1. DNA鑑定の結果が間違うことは実際にあるのですか?
A. はい、非常にまれではありますが、DNA鑑定で誤った結果が出ることはあります。主な原因としては、キメラ(一人の体内に異なる遺伝情報が存在する状態)によるものと、検体の取り違えや分析ミスなどのヒューマンエラーが挙げられます。実際にキメラが原因で父子関係が否定されたケースや、人為的ミスにより家族崩壊が起こった事例が報告されています。(2)(5)
Q2. DNA鑑定の結果に納得できない場合はどうすればよいですか?
A. 結果に疑問がある場合は、別の検査機関で再度DNA鑑定を行う「セカンドオピニオン」を受けることをお勧めします。 一つの検査機関の結果だけで重大な判断をするのではなく、複数の専門機関の意見を参考にすることで、誤判定のリスクを軽減できます。seeDNAでもセカンドオピニオン割引キャンペーンを実施しています。
Q3. キメラとは何ですか?DNA鑑定にどう影響しますか?
A. キメラとは、一人の体内に遺伝的に異なる2種類以上の細胞が存在する状態です。双子の受精卵が発生初期に融合することなどで生じ、本人が自覚していないケースがほとんどです。DNA鑑定では、口腔粘膜や血液から採取した細胞のDNAと、生殖細胞(精子・卵子)のDNAが異なるプロファイルを示すことがあり、親子関係が否定される誤判定につながる可能性があります。(3)(4)
Q4. 誤ったDNA鑑定の結果で法的手続きが進んでしまった場合、取り消せますか?
A. 一度確定した判決を覆すのは非常に困難です。確定判決を覆すには「再審」という特別な手続きが必要ですが、再審が認められる要件は厳格に定められており、実際に認められるケースは極めて限定的です。そのため、DNA鑑定の結果を法的手続きの根拠とする前に、信頼性の確認やセカンドオピニオンの取得を慎重に検討することが重要です。
Q5. 信頼できるDNA鑑定機関を選ぶポイントは何ですか?
A. 信頼できる検査機関を見極めるためのポイントとして、ISO9001などの国際品質規格の取得状況、分析する遺伝子座の数、プライバシー保護体制(Pマーク取得など)、検査実績や専門スタッフの有無などが挙げられます。 また、検査前のカウンセリング体制や、結果に対するアフターサポートが充実しているかどうかも重要な判断基準です。
Q6. DNA鑑定の結果が子どもの心理に与える影響はどの程度ですか?
A. 誤ったDNA鑑定結果が子どもに与える心理的影響は深刻です。研究によれば、親子関係の否定を経験した子どもは自己肯定感の低下、ショック、裏切り感などを長期的に抱える可能性があることが報告されています。 特に思春期の子どもにとっては、アイデンティティの形成に大きな影響を及ぼし、対人関係の信頼感の低下や学業成績の低下につながるリスクもあります。(1)
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著者
岡本妃香里
2014年に薬剤師の資格を取得し、大手ドラッグストアで主に市販薬や化粧品の販売を担当。
その後、2018年に医療ライターとして独立し、出生前診断や子どもの健康、医薬品、健康食品などの記事執筆に携わる。
【参考文献】
(1) 遺伝子検査・DNA鑑定のseeDNA, 2026年2月(2) seeDNA, 2025年12月
(3) Frontiers, 2024年9月
(4) SpringerLink, 2017年10月
(5) Global Freedom of Expression, 2016年4月