リライティング日:2025年06月16日
DNAの基本構造(二重らせん・塩基配列)をわかりやすく解説。ポリマー・ヌクレオチド・塩基対の仕組みからDNA鑑定の基礎知識まで、seeDNA専門スタッフが丁寧に説明します。
はじめに
弊社の高精度親子鑑定に使われているDNA鑑定に関わる事柄について、何回かに分けてなるべく簡単な言葉で説明したいと思います。とても単純化しているので専門家が見ると怒り出すかもしれませんね。
まずはDNAの形と特徴について説明します。その後に実際の鑑定の考え方をお話ししたいと思います。難しい言葉が出てきますができるだけ分かりやすく説明したいと思います。理解できなければ筆者の力不足です。
DNAという言葉はニュースやドラマなどでもよく耳にしますが、「実際にどんな形をしていて、何がどうなっているのか」を正確に理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。DNA鑑定を受けるかどうかを検討されている方にとって、DNAの基礎知識を持つことは結果を正しく理解するための大切な第一歩になります。本記事では、DNAの物理的な構造から塩基配列の読み取り方まで、できるだけ噛み砕いてお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
ご不明な点やご質問などございましたらお気軽に弊社のフリーダイヤルまでお問い合わせください。専門のカスタマーサポートチームとの無料相談ができます。
DNAの形と特徴について

下記は、Wikipediaからの引用です。
デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid、DNA)は、2本のポリヌクレオチド鎖が互いに巻きついて二重らせんを形成しているポリマーである。このポリマーは、すべての既知の生物と多くのウイルスの発生、機能、成長、および生殖のための遺伝的命令を伝達する。(1)
出典:『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』
ポリマーから順に解説を試みましょう。大雑把に言うと、ポリマーとはたくさんのモノマーが集まった大きな物質です。モノマーとは似たような性格を持った小さな物質のことです。モノマーのモノは英語で”mono-“と書き「1つの」という意味を持ちます。モノレール(monorail)、モノトーン(monotone)のモノですね。
ポリマーの名づけ方はモノマー名の前にポリを付けます。となるとポリヌクレオチド鎖とは、モノマーがヌクレオチドで、「鎖」が付いているので直線状の物質になります。ついでに言うと方向性を持っています(5’→3’と書いてあることが多いですね)。DNAとして存在する場合には二本のポリヌクレオチド鎖は反対向きに並びながら、お互いの周りをまわるようにらせん階段のような形になっています(図の下半分)。
このらせん構造は「二重らせん(ダブルヘリックス)」と呼ばれ、1953年にジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックによって発表されたモデルが有名です。二重らせんを発見したこの功績は分子生物学の出発点とされ、遺伝情報がどのように保存・伝達されるかを理解するうえで画期的なものでした。(2)
日常生活でDNAと聞くと、「遺伝子」とほぼ同じ意味で使われることがありますが、厳密にはDNAは物質そのものを指し、遺伝子はDNA上でタンパク質の設計情報が記録されている特定の領域を指します。ヒトのDNAには約30億の塩基対が含まれますが、そのうちタンパク質をコードしている遺伝子の領域は全体のわずか約1.5%程度とされています。残りの大部分はかつて「ジャンクDNA」と呼ばれていましたが、近年の研究で遺伝子の発現調節など重要な役割を果たしていることが次々と明らかになっています。(3)
DNAの塩基配列とは
Wikipediaから引用した図を使ってもう少し詳しくDNAをみていきましょう(1)。
図ではポリヌクレオチド鎖の鎖(主鎖と言います)は、水色のリボンで描かれています。リボンの中にある五角形にSと書かれた糖と、〇にPと書かれたリン酸が交互に並んでいます。鎖の中の一つ一つの糖から横に窒素含有核酸塩基(シトシン: C、グアニン: G、アデニン: A、チミン: T)のうちの1つが突き出ているイメージですね。塩基のAとTもしくはCとGは相性が良く塩基対(base pair)と呼ばれるペアを作ります(図の中央の小さい方の四角で囲まれたところ)。塩基対を中心に二本のポリヌクレオチド鎖は逆方向に整列し二本鎖DNAを作ります。
この塩基の組み合わせルール(AとT、GとC)は「シャルガフの法則」とも呼ばれ、DNAの正確な複製を可能にしている根本的な仕組みです。細胞が分裂するとき、二本鎖が一時的にほどけて一本鎖になり、それぞれの鎖を鋳型(テンプレート)として新しい相補鎖が合成されます。Aの向かい側には必ずTが、Gの向かい側には必ずCが配置されるため、元と全く同じ二本鎖DNAが2セット出来上がるのです。
DNA鑑定でよく言われる塩基配列の解析とは、塩基の並び、つまりG, A, T, Cの並びを読んでいく作業です。塩基の並びは5’→3’方向に読んでいきます。図を例に読んでいくと、左側のポリヌクレオチド鎖では5’→3’方向は上から下なので、AGTACGと読めます。では右側のポリヌクレオチド鎖では・・・・、実は特別な場合を除いて読まなかったりします。なぜなら必ずAとT、GとCは常にペアを作るのでどちらのポリヌクレオチド鎖でも同じ情報を持っているからです。
Wikipediaからの引用の最後の文を単純化しますと『DNAは生物の設計図で、「G」と「A」と「T」と「C」の四文字で書かれた本』という理解で十分だと思います。
言い換えると、ヒト※のDNAはヒトを生み出すためのすべての情報を持っているということです。
※ カタカナで「ヒト」と書くと人格を持たない生物としての呼び方になります。人格を持つ「人」と区別するために使ったりします。
DNAの塩基配列がDNA鑑定に使われる理由
ここまでDNAの構造と塩基配列の基礎を解説してきましたが、ではなぜこの塩基配列がDNA鑑定(親子鑑定)に使えるのでしょうか。その理由は大きく2つあります。
- 個人ごとに異なる配列パターンが存在する ― ヒトのDNAの大部分は全人類でほぼ共通ですが、一部の領域には個人間で異なる反復配列(STR: Short Tandem Repeat)が存在します。この反復回数の違いを比較することで、個人を高い精度で識別できます。(4)
- 親から子へ遺伝するルールが明確である ― 子どもは父親と母親からそれぞれDNAの半分ずつを受け継ぎます。そのため、特定のSTR領域を親子間で比較すると、「この反復パターンは父親由来か、母親由来か」を明確に判別でき、親子関係の有無を科学的に証明できるのです。
つまり、DNA鑑定の根幹にあるのは「塩基配列の個人差を正確に読み取る技術」であり、この技術があるからこそ、法医学における犯罪捜査から、家族関係の確認、さらには遺伝性疾患のリスク評価まで幅広い分野でDNA解析が活用されています。(2)
DNA鑑定で知っておきたい基礎用語まとめ
ここでは、これまでの解説に登場した重要な用語を整理しておきましょう。DNA鑑定について調べたり、結果レポートを読む際に役立ちます。
- DNA(デオキシリボ核酸) ― 遺伝情報を担う二本鎖の高分子。すべての細胞の核内に存在します。
- ヌクレオチド ― DNAの最小構成単位(モノマー)。糖(デオキシリボース)・リン酸・塩基の3つから成ります。
- 塩基対(base pair) ― AとT、GとCが水素結合で結びついたペア。二重らせんを安定させる構造的基盤です。
- 二重らせん(ダブルヘリックス) ― 2本のポリヌクレオチド鎖が逆方向にねじれ合った、DNAの特徴的な立体構造です。
- STR(Short Tandem Repeat) ― 2〜6塩基程度の短い配列が繰り返される領域。反復回数は個人ごとに異なり、親子鑑定の主要な検査対象となります。
- 塩基配列解析(シーケンシング) ― A・T・G・Cの並び順を読み取る技術。次世代シーケンサー(NGS)の登場により、高速かつ低コストで大量のDNA情報を解読できるようになりました。(3)
これらの基礎用語を押さえておくだけで、DNA鑑定の結果報告書や、検査の仕組みに関する説明がぐっと理解しやすくなるはずです。
| 用語 | 意味 | DNA鑑定との関わり |
|---|---|---|
| 塩基対 | A-T、G-Cのペア | DNA構造の基盤 |
| STR | 短い反復配列 | 個人識別の主要マーカー |
| シーケンシング | 塩基の並びを読む技術 | 鑑定精度を支える技術 |
よくあるご質問
Q1. DNAの「二重らせん」とはどのような構造ですか?
A. 二重らせんとは、2本のポリヌクレオチド鎖が互いに逆方向に並びながら、らせん階段のようにねじれ合った立体構造のことです。鎖どうしは塩基対(AとT、GとC)の水素結合によって内側で結ばれており、この構造のおかげでDNAは安定的に遺伝情報を保存できます。1953年にワトソンとクリックによって提唱されたこのモデルは、現代の分子生物学やDNA鑑定技術の基盤となっています。
Q2. A・T・G・Cの4つの塩基にはどんな役割がありますか?
A. アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類の塩基は、DNAという「生命の設計図」を記述するための「文字」にあたります。この4文字の並び順(塩基配列)がタンパク質の設計情報や遺伝的な指示を伝えます。AとT、GとCは必ずペアを組むという相補性のルールがあるため、細胞分裂時にDNAが正確にコピーされる仕組みが成り立っています。
Q3. DNA鑑定ではDNAのどの部分を調べるのですか?
A. 親子鑑定で主に調べるのは、STR(Short Tandem Repeat)と呼ばれる短い塩基配列の繰り返し領域です。この繰り返しの回数は個人ごとに異なっており、子どもは必ず父親と母親からそれぞれ1セットずつ受け継ぎます。複数のSTR領域を比較することで、99.99%以上の精度で親子関係の有無を判定することが可能です。
Q4. DNAと遺伝子は同じものですか?
A. 厳密には異なります。DNAは遺伝情報を保存している物質そのものを指し、遺伝子はDNA上でタンパク質の設計情報がコードされている特定の領域を意味します。ヒトのDNAには約30億の塩基対がありますが、タンパク質をコードする遺伝子の領域は全体のわずか約1.5%程度です。残りの領域にも遺伝子の発現調節など重要な機能があることがわかっています。
Q5. DNA鑑定に必要な検体はどのように採取しますか?
A. 最も一般的な方法は、口腔内の粘膜を専用の綿棒(スワブ)で軽くこする方法です。痛みはほとんどなく、短時間で完了します。seeDNAでは口腔スワブのほか、毛髪・爪・歯ブラシなど多様な試料にも対応しており、お客様のご状況に応じた最適な検査方法をご提案しています。採取キットはご自宅へ郵送でお届けすることも可能です。
seeDNA遺伝医療研究所の安心サポート
seeDNA遺伝医療研究所は、国際品質規格ISO9001とプライバシー保護のPマークを取得している安心と信頼のDNA鑑定・遺伝子検査の専門機関です。
家族や親子の血縁関係、パートナーの浮気などにお悩みでしたら、DNA鑑定の専門家が、しっかりとご安心いただけるようサポートいたしますのでお気軽にお問合せください。
【専門スタッフによる無料相談】

著者
親子DNA鑑定(STR)担当A
所属:株式会社seeDNA 検査部
【参考文献】
(1) Wikipedia, 2003年2月(2) ヒロクリニック, 2025年5月
(3) 医書ジェーピー, 2018年3月
(4) PR TIMES, 2022年9月