DNA鑑定であなたの性格がわかる?その真実を解説!
2021.08.12
DNA鑑定で性格はわかるのか?
以前『ダイエットにDNA鑑定は利用できますか??』というタイトルで 結果的には現時点では利用できないということをご紹介しました。
DNA鑑定については様々なイメージが先行し、いったい何ができて何ができないのかイマイチわからないという方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、「DNA鑑定で性格はわかるのか?」というお題で、その仕組みとともに真実を解説していきます。
そもそも性格というのは、生まれ持った生物学的な気質性格と後天的な環境要因によって作られます。
生まれ持った気質性格は、長年の生活の中で後から身についた環境要因の性格と比べて変わりにくいのが特徴です。
3大気質と脳内神経伝達物質の分泌量に遺伝的な傾向
個々の性格に対する特定の遺伝子があるわけではありませんが、性格と遺伝の関連性は古くから研究がなされており、性格は脳内神経伝達物質の影響を受けやすいことがわかっています。
脳内神経伝達物質とは、脳の神経細胞同士で生命活動に必要な情報のやり取りをするためのホルモンです。
ワシントン大学医学部精神科のロバートクロニンジャー博士らの研究によると、新奇性追求、損害回避、報酬依存という3大気質と脳内神経伝達物質の分泌量に遺伝的な傾向があることがわかっています。
新奇性追求は脳内神経伝達物質の一つドーパミン、損害回避はセロトニン、報酬依存はノルアドレナリンの分泌と関連付けられています。(参考リンク1)
まず新奇性追求が高い人は、好奇心旺盛で衝動的、浪費傾向といった行動の活性化に関する遺伝的傾向があります。
この気質性格はドーパミンの分泌と関係があり、ドーパミンは快感や多幸感、興奮、意欲に関する機能を担うホルモンです。
ミュンヘン医薬品研究所のロナイ博士らの調査によると、このドーパミンを受け取る受容体を産生するDRD4という遺伝子の型と新奇性追求が関連することがわかっています。(参考リンク2)
次に損害回避が高い人は、用心深くリスク回避に長けている反面、将来に対する不安が強く疲れやすいといった行動の抑制に関する遺伝的傾向があります。
この気質性格はセロトニンの分泌と関係があり、セロトニンはドーパミンが興奮させるのとは反対に精神をリラックスさせたり、頭の回転をよくしたりするホルモンです。
大阪大学大学院医学系研究科精神科の橋本博士らの調査によると、COMTというドーパミンの働きを抑制する遺伝子の型と損害回避が関連することがわかっています。(参考リンク3)
報酬依存が高い人は、情にもろく、共感的で社会において関係性を作るための行動と持続に関する遺伝的傾向があります。
この気質性格はノルアドレナリンの分泌と関係があり、ノルアドレナリンは集中力や判断能力を上げ、頭が冴える覚醒作用のあるホルモンです。
弘前大学大学院医学系研究科精神科の土峰博士らの調査によると、Clockという体内時計を調節する遺伝子の型と報酬依存が関連することがわかっています(参考リンク4)
まとめ
以上のように、DNA鑑定において生まれ持った根本的な気質性格を予測することはある程度は可能といえます。
例えば、新奇性追求が高く損害回避が低い人は思い立ったら素早く行動できるタイプ、逆に新奇性追求が低く損害回避が高い人は慎重で準備を整えてから行動するタイプなどです。
まだ研究数の少なさや男女差があったりしますが、今後神経伝達物質と性格を遺伝子で解析した研究がより進んでいけば、DNA鑑定によって根本的な性格を予測できる精度は高くなると考えられます。
日本人は性格というと血液型占いを好みますが、DNA鑑定によって個々の性格を診断する日もすぐ近いのではないでしょうか。