13トリソミー(パトウ症候群)

13トリソミーとは「パトウ症候群」とも呼ばれる染色体異常の先天性疾患で、クラウス・パトウらにより発見、報告されたため、パトウ症候群と名付けられました。
13トリソミー(バトウ症候群)は、1/10,000~1/20,000で、女児に多い(男女比1:2)染色体異常症です。

原因

パトウ症候群(13トリソミー)は、13番染色体が通常の2本ではなく3本存在することによって発生します。
この染色体異常は、次のようないくつかの原因で起こります。

<標準型>
親の生殖細胞(卵子または精子)の形成中に染色体が正しく分離されず、余分な13番染色体が子供の細胞に含まれるようになります。
これにより、13番染色体が3本含まれることになります。
パトウ症候群(13トリソミー)の約80%が、この染色体の分離異常が要因と言われています。

<転座型>
13番染色体の一部が別の染色体に転座(移動)することで発生します。
両親のいずれかが転座型の染色体を保有している場合、13トリソミーが遺伝する可能性があります。
パトウ症候群(13トリソミー)の約15%が、この転座型と言われています。

<モザイク型>
パトウ症候群の約5%で見られるケースで、体の一部に染色体異常がある細胞と正常な染色体数を持つ細胞が入り混じっています。染色体異常がある細胞の割合によっては、パトウ症候群としての症状が軽くなる場合があります。

パトウ症候群は親の生殖細胞が形成される過程で起こる染色体の変化であるため、予防することはできません。母親が高齢である場合にリスクが高まることが知られていますが、若い母親から生まれる子供にも発生する可能性があります。

症状

パトウ症候群(13トリソミー)は、以下のような特徴的な症状がありますが、個人によってその症状が異なります。

<身体的特徴>
・小頭症
・眼の異常
・口唇口蓋裂
・手足の異常

<認知と発達>
・重度の知的障害
・発育の遅れ

<健康問題>
・先天性心疾患
・呼吸器系の疾患
・腎臓、胃腸の疾患

妊娠初期にパトウ症候群が発覚した妊娠では、高い確率で流産もしくは死産となると言われています。
出産後の生存率は1ヶ月で約50%、1年で約10%というデータがありますが、成人後も存命するケースもあります。

治療法

パトウ症候群の根本的な治療法は現在のところありませんが、様々な病状に合わせた医療的ケア、療育的支援が行われます。
最近では、新生児集中治療、心臓手術などの医療により、生命予後が改善するというケースが増えてきていると言われています。

<新生児集中治療>
新生児の心拍数、呼吸数、血中酸素量、血圧などを24時間体制で監視し、状況に応じて人工呼吸器、内服薬、点滴などの様々な治療を施します。

パトウ症候群の子どもに必要な医療的ケアや療育的支援、家族への支援を考えていくことが大切です。