21トリソミー
(ダウン症候群)

21トリソミーとは、「ダウン症候群」として知られている先天性疾患です。ジョン・ラングドン・ダウン医師が発見、報告したことから名付けられました。21トリソミー(ダウン症候群)の出生率は1/800から1/1000と言われています。
ダウン症候群(21トリソミー)は、新生児におけるトリソミーの中でも最も多い先天性疾患としても知られています。

原因

21番目の染色体の異常な分割が原因で、通常の2つ染色体が3つ存在することによって起こります。この染色体が通常より1本多い染色体異常のことをトリソミーと言い、ダウン症は21番目の染色体が3本あることから21トリソミーとも呼ばれています。

ダウン症候群(21トリソミー)は染色体の構造により、標準型・転座型・モザイク型の3つに分類されます。

<標準型>
ダウン症の約95%のケースで見られるタイプで、21番染色体が通常の2つではなく3つ存在することで発症します。
卵子または精子の形成過程で染色体が正しく分離されないことによって起こります。

<転座型>
全ダウン症の約3~4%で見られるケースで、染色体の一部が切れて他の染色体に付着する染色体転座が原因となります。21番染色体の一部が別の染色体に結合することによって起こります。

<モザイク型>
全ダウン症の約1~2%で見られるケースで、体の一部に染色体異常がある細胞と正常な染色体数を持つ細胞が入り混じっています。染色体異常がある細胞の割合によっては、ダウン症としての症状が軽くなる場合があります。

症状

個人によって異なりますが、いくつかの共通の身体的特徴と健康上の問題があります。

<身体的特徴>
・平たい顔立ち
・大きい舌
・目がつり上がっている
・横に流れる模様の指紋
・手のひらの横一直線の深いしわ

<認知と発達>
・成長の遅れ
・言語発達の遅れ
・学習障害や知的障害
・注意力や集中力の問題

<健康上の問題>
・心臓病、特に先天性心疾患
・聴覚障害
・視覚問題、例えば斜視
・消化器系の問題。免疫系の弱さによる感染症への感受性
・甲状腺機能低下症などのホルモン関連の問題
・白血病や他の血液疾患のリスクが高い

これらの症状は、個人によって異なる程度で現れることがあります。また、ダウン症のある人々は多様な能力と個性を持っており、適切な支援とリソースを提供することで、多くの場合、充実した生活を送ることが可能です。

治療法

ダウン症は遺伝的な先天性疾患状態であり、根本的な原因を治療する方法はありません。
しかし、ダウン症の人々の健康、成長、発達を支援するために多くの介入が行われます。主な治療には以下のようなものがあります。

<理学療法>
遊びを交えた活動を通じて、日常生活で必要な動作の習得を楽しく促進します。例えば、乳幼児期にはハイハイや寝返りといった基本的な動作を、また幼少期から学齢期にかけては歩行、走行、階段の昇降といったより複雑な動きを練習します。

<作業療法>
絵を描く、勉強する、体操をする、服を着替える、はさみや箸を使うといった実際の日常活動を通じて、必要なスキルを身につける訓練を行います。これらの活動を通して、日常生活での動作能力を向上させることが目的です。

<言語聴覚療法>
動物や食品などが描かれたカードを利用して言葉の発音や理解を練習します。このアプローチは、言語能力の向上に重点を置き、コミュニケーションスキルの発達を助けます。

ダウン症の人は、一人ひとりの個性があり、それぞれのぺースで成長していきます。 ダウン症候群の子どもに必要な医療的ケアや療育的支援、家族への支援を考えていくことが大切です。